2023(令和5)年12月9日(土)~2023(令和6)年1月14日(日)までという短めの期間ですがね、研究で得られた知見に基づいて再現された大和国高松塚古墳の漆塗木棺が奈良県立橿原考古学研究所附属博物館で特別公開されています。
展示室ひとつを占めた、空間を贅沢に用いた展示でした。
L字型の自立式パネルには、簡潔ながらも写真を用いて研究成果についての説明がなされています。
再現された漆塗木棺、遠目からでも艶々の仕上がりであることが判ります。
触ったり、担いだり、蓋を開けたり・・・ができない様に、立入禁止となっています。
近付いて写真を撮ろうとすると、こちらの姿がうっすらと映ってしまうくらいの艶やかさでした。
艶々の漆塗、斯様に光を反射しているのです。
美しい漆塗に目を奪われがちですが、金色の飾り金具も鮮やかです。
被葬者の頭部もしくは足下にあたる面(小口:こぐち)には、緻密な細工が施されている飾り金具が装着されているのです。
〝近寄っちゃいけないよ〟と主張しているロープの手前から、飾り金具を観ています。
この距離でも、飾り金具は緻密で丁寧な細工であることが判ります。
見苦しくない程度に両手を伸ばし、飾り金具に接近して撮りました。
溜息が出る程の美しき装飾です。
漆塗の下地と飾金具の色で、距離をとって観ると気付き辛いのですが、接近すると中央に赤色の琥珀が填め込まれ、更に飾金具の透彫の下に光沢のある緑色が見えるのです。
この綺麗なエメラルド・グリーン、何と玉虫の羽なのです。
2つの飾金具のうちの一方(頭部側か足下側かは判断できません)だけだそうですが、玉虫の羽を据え〝輪廻〟を表現したのだそうです。
木棺に玉虫の羽が貼り付けられていた痕跡があるということではなく、再現にあたっての創作だそうです。
こうした研究者の〝遊び心〟って素敵ですね。