十一面観音立像 2021 Limited(イSム Standard 期間限定 完全受注生産)

此方は毎年恒例となっている「Liimited」シリーズのうち、2021年版の「十一面観音立像」です。2020(令和2)年10月に発売された、大和国室生寺(むろうじ)モデルの十一面観音像の特別彩色Ver.です。期間限定受注制作品ということで2021(令和3)年6月3日(木)~20日(日)といつもの如く短めの期間ではありましたが、今回の申し込みはこれまでの「Liimited」の中では群を抜く程の多さであったといいます。申し込みの後に代金持参でロジスティックセンターをうかがった際、注文数が多いため納品は9月になってしまう予定と聞きました。「慌てなくてもゆっくりで構いませんよ」と言いましたが、8月末に納品していただきました。特別彩色する篁千礼氏とすれば、速やかにこの限定版・十一面の仕事を完結したいでしょうからね。お疲れ様でした。

イSム様公式ブログには「通常、お客様からのご注文で一体だけこのような彩色をすると30万円はくだらないのですが、ご注文分をまとめてお願いすることで、お求めやすい価格を実現しました。」とあります。だんだん〝お求めやすい〟のハードルが高くなっていると思うのですが、世間の皆様は如何なのでしょうか?

でも、この「十一面観音立像 2021 Limited」の仕上がり具合は最高に素晴らしいのです。
モデルとなった室生寺・十一面観音はとても人気のある仏像で、目つき・顔つき・表情から〝活きているかの様な〟佇まいを持っています。その「ゴールド&極彩色」版ですし、イSム様公式HP等に掲載されていた紹介写真に心を鷲掴みにされた方、とても多かった様です。

室生寺モデル十一面観音の「ゴールド&極彩色」版の全体像はこの様になっておりまする。

後述しますが、「十一面観音立像 2021 Limited」最大の特徴は、着衣の彩色が重ね塗りとなっているところにあります。単純なベタ塗りではないので〝布の軽やかさ〟が見事に表現されています。それでいて極彩色。もう〝無敵〟な観音像なのです。

華やかな光背を背にして360度、まわってもらいましたよ。

 

 

光背を外すと、これまたガラッと印象が変わってしまいます。
具体的にはこんな感じ。

ギラギラ感満載の光背を外すと、観音の着衣に施された彩色に集中することができます。
各パーツ毎の観察は、後ほどおこなっていきますね。

光背を外した状態でも360度、まわってもらいました。

 

光背が有る・無しで、かなり印象は異なります。どちらとも美しきことに変わりはありません。

 

では、頭部の様子を観ていきましょう。

頭髪は鮮やかな「ラピスラズリ」、深みのある濃紺です。
頭上の化仏は頭頂部に1面、天冠台に沿って10面がぐるりと並んでいます。
10面はいずれも金色に塗られた小化仏が彫られている宝冠を被っています。

天冠台には輪っかが備え付けられており、金色の鎖が通され、顔の前方には装飾が垂れ下がっています。〝溜め息が出る〟ほどの素晴らしき繊細な造形です。

小さい画像ですが、ぐるっとまわして頭部の様子を観てみましょう。

石としての「ラピスラズリ」は神秘的な力を有すると考えられ、儀式・呪術でも用いられるのだそうです。〝第三の目〟(サードアイ)を開く叡智の石でもあるといいます。
その様な艶やかな瑠璃(るり)色で頭髪が彩られているところが〝神々しさ〟ポイントのひとつとなっています。

「金消粉」(きんけしふん)という、金箔を細かく擦り潰して粉状にした、蒔絵(まきえ)粉のなかで最も細かいものを使用しているのだそうです。
こうして観ると華やかな金色ですが、光沢が低いものの明度(めいど)が高いため、金のベタ塗りとは異なる独得な肌の質感が表現されています。

室生寺金堂・十一面観音は造像から千年以上も経過し、彩色の剥がれ・退色・汚れが顕著になっていますが、顔に遺っている顔料は後世の補修によるものといいます。しかしながら〝逆に〟生々しい表情になっている不思議な像です。
十一面Limited2021は肌を金消粉で塗られているので並べてみるとだいぶ印象が異なります。輪郭・膨よかさなど、本物に準拠して成形されているのが判ります。瞳を小さくして、白目がハッキリと見えていれば本物と〝瓜二つ〟になったでしょう。

 

胸元から大腿部の辺りにかけて瓔珞(ようらく)が垂れています。
十一面Limited2021の〝神々しさ〟ポイントのふたつめは、着衣の彩色仕上げです。
 ・両肩に掛かっている衣  → 金地に淡い緑を浮かせる
 ・左肩から腰元に流れる衣 → 金地に淡い朱を浮かせる
 ・腰元に巻かれる帯    → 濃いめの緑、裏地は赤
 ・下半身に纏っている裳  → 本朱に金を浮かせる、裏地はエメラルドグリーン
 ・腕に掛かる天衣     → 金地に瑠璃色を浮かせる
 ・身体に纏っている天衣  → 金地にエメラルドグリーンを浮かせる
この彩色方法によって優雅さは勿論のこと、立体的で透け感を伴う軽やかな布の表現が見事になされています。

左手、親指と中指で水瓶を摘まみ持っています。
水瓶には金箔が貼られていますね。
身体に塗られている金消粉とは同じ金色でありながら鮮やかさが違います。

身体の内側から水瓶を観ています。
親指と中指で水瓶の口を摘まみ持っている様に見えていましたが、人差し指も水瓶の口に添えられていました。
画像の左端に見えている瓔珞(ようらく)、そして腕釧(わんせん)・臂釧(ひせん)にも金箔が施され、水瓶と共に鮮やかな輝きをたたえています。
腕の金消粉と腕釧・臂釧の色合いが異なっているのが明確に判るだけでなく、まるで本物の金の装飾具に見えてしまいます。

身体の外側から水瓶を観ています。
この角度からも左手の人差し指が水瓶の口に添えられ、更に小指の付け根でも水瓶を支えているのが判ります。
肌の金消粉が落ち着いた色合いであるため臂釧・腕釧の鮮やかな輝き、そして腕に掛かっている瑠璃色の天衣がそれぞれ主張していますが、背景の身体の衣とも相俟って総合的に調和がとれています。

左手・甲の側から観ています。
人差し指が水瓶の口に添えられているのが判ります。
水瓶が指3本と小指の付け根で支えられているのが判ります。
光の当たり方で、手の甲の彩色と水瓶の金箔が同じ様に見えています。実際は同じ金色でもかなり風合いが違っています。

右手は、掌を前方に向けて指先を下に垂らしています。これは衆生(しゅじょう)の願いを成就させるという「与願印」(よがんいん)を結んでいます。
手首の輪っかの様な膨らみも、何かしらの意味があるのでしょうな。

 

次は胸元の様子を観ていきましょう。
首元から下へと垂れている細かく華やかな装飾は瓔珞(ようらく)といいます。
瓔珞に金箔を施しているといいますが、肌の金色と変わらぬ様に見えます。菱形っぽい装飾が強めに光っているのでしょうか、ここに金箔が貼られているか否かは画像では判断できかねます。
肩の淡い緑、左肩から腰へ斜めに流れる朱をのせた条帛の彩色が見事です。先にも触れましたが、こうした彩色で〝布が透けている様子〟を感じさせるなんて将に「神業」の領域ですな。

臍(へそ)下になっていますが「輪宝」(りんぽう)が金箔を纏って輝きを放っております。
輪宝はもともとインドの兵器(武器)で、車輪の形状をしつつ八方に鋒端(ほうたん)を出しており、〝理想の国王〟転輪王(てんりんおう)が所持する七宝(しちほう)の1つとされています。転輪王が出現すると、輪宝が率先して外敵を撃破するそうです。金輪宝・銀輪宝・銅輪宝・鉄輪宝の4種類があるといいます。
本物は黒っぽくなってしまっていますが、こちらは金箔が施されているのでキラッキラですね。本物に準じ、下方・右側が破損状態が再現されています。
よーっく観察すると、瓔珞の垂れている鎖状の装飾に金箔が貼られている様にも見えます。

上半身の、金地に本朱をのせた条帛は淡い色合いでしたが、輪宝の下に見える帯に相当する濃い緑色の布、そして下半身に纏っている裳の大腿部から膝にあたる箇所は濃い色合いになっています。朱が強くなっていることで上半身と膝下の衣の透け感が強調されています。金地に彩色を乗せたり、濃淡の加減をすることでポリストーン製なのに〝布の軽やかさ・柔らかさ〟が見事に表現されています。何と素晴らしきことでしょう。

下半身の裳は、表が金地に朱をのせた表現ですが、腰元の裏地がエメラルドグリーンに塗られています。赤系と緑系の彩色は案外相性が良いので、美しいです。縦にたなびく裳の裏地は普通の緑といった感じ。同じ裏地でも形状・位置によって色を変えることで「美」を追求することができています。これまた素晴らしいっ。

大腿部と膝元に掛かっている天衣も上部が淡い緑、下部がごく僅かに濃いめにされた緑が金地にのせられています。こうした微妙な濃淡がつけられることで布の質感・立体感が際立ちますね。

膝周辺および足元の様子です。
裳には翻波式(ほんぱしき)の細かい襞(ひだ)が丁寧に表現されています。
下半身に纏っている布の裏地は濃い緑になっています。下半身に纏っている裳も、裏地の色が違うということは別パーツであることを意味しているのですね。
裳は濃淡をつけた朱によって〝透け感〟が出ています。

足元、足の指が・・・長いっ。
蓮台の平面がエメラルドグリーンで彩られています。
彩色を復元した光背と調和がとれて、これまた綺麗です。

 

では、背面にまわってみましょう。

光背を外して観た背中は、案外むっちりしていました。
着衣の表現も、金地に淡い緑・朱をのせた表現です。腰裳も正面は鮮やかな緑色でしたが、背面は金地が目立っている〝軽めの緑のせ〟となっています。細かいところですが、裏地が赤くなっていますね。
臂釧には金箔が施されているので、輝いていますね。

腰元から臀部にかけての彩色です。
・・・何と緑の、そして朱色の腰裳に「木目表現」がなされていますっ。
前方を観ただけでは判らない、そして光背を外さなければ判らない。
極論すれば、箱から出して光背を装着する際に、注意力が光背を差し込む枘孔(ほぞあな)に向けられていれば〝気付くことは無い〟かもしれないこの表現。
金地にのせた朱色の濃淡によって木目が際立ちます。これが〝神々しさ〟ポイントの三つめとなっています。んーっ、彩色技術の超絶さに溜め息が出てしまいます。

更に目線を下ろすと、木目表現とさざ波の如き布の襞、そして淡くて金色を随所で覗かせるかの様にのせられている朱色の加減・・・。華麗な布の表現が素晴らし過ぎます。

 

台座の様子を観ていきましょう。
本物の框座(かまちざ)の下段は後補の円形で、それを再現しています。
框座の上には反花(かえりばな)には丁寧で繊細な繧繝彩色(うんげんさいしき)が施されています。これが蓮台の美しさが際立たせる表現になっています。
蓮弁も一枚一枚しっかりと造られています。

 

 

光背を装着し、ちょいと上から観てみました。
金を下地に、緑・朱とちょっとした瑠璃色で全体のバランスが整えられています。
此方の十一面観音は、篁千礼氏の配色バランスの妙技を以て華麗優美な姿となりました。
上から観ることで、金地にのせられた朱色の濃淡で生み出された衣の質感がよく見て取ることができます。
今更ですが、彩色技術というのは凄く、そして素晴らしいものであることを実感しています。

 

本物の光背に残存する唐草模様(からくさもよう)を繧繝彩色で再現したそうです。
像本体もさることながら、この光背も恍惚の極みを感じさせてくれる豪奢な雰囲気を発する力強いものとなっています。
因みに本物の光背は、1838(天保9)年に補作されたものです。

宝珠形の中で模様・線・色彩の組み合わせによる〝芸術〟が凝縮されています。

唐草模様って〝地味〟な印象を固定観念で持っていましたが、コレでその認識は引っくり返されてしまいましたよ。

花の模様も鮮やかですね。縁には金箔が2重に貼られていますね。

光背を下方から見上げてみました。エメラルドグリーンのラインがまるで浮き出てきそうです。

 

光背を差し込んだ状態で、下から見上げてみました。
本物は約2mなので、ここまで見下ろされることはありませんが、迫力があります。

角度を変え、3方向を向けて見上げてみました。うん、カッコいい。

 

光背を外して、3方向で見上げてみました。
光背有とはまた違った印象になりますが、像の配色の妙がとてもよく判りますな。

 

光背にピントが合ってしまった画像で、観音がピンボケになってしまいました・・・が、これはこれで迫力を感じるものになったと感じています。

 

 

十一面観音Limited2021が、余りにも華やかなお姿でしたので、最近迎えた吉祥天2体と記念撮影をしてみました。なかなか洒落た絵柄になりました。

 

 

 

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