此方は神奈川県鎌倉市の「山海堂」様で購入した「七星剣」(前期型)です。
〝前期型〟は便宜上の表現で、柄が「鮫皮」を巻いているものを指しています。ある時期から柄は鞘と同じ「若狭塗」仕上げに代わってしまいました。これを便宜上〝後期型〟として区別します。
この「七星剣」は〝在庫・入荷予定無し〟となっており、入手は極めて困難となっています。需要が有れば制作してもらえるかも知れませんが、まず刀身が特殊(直刀)ですので。
もし新規制作を承けてもらったとしても時間がかかることでしょう。
また、何処かで特注を承けてもらえれば製作は可能でしょうが、価格は怖くて想像しません。
「七星剣」の商品名は鎌倉「山海堂」様が命名された呼称で、〝聖徳太子の御剣〟をイメージされていた様です。
聖徳太子関連の「七星剣」といえば2通り
①大阪府四天王寺所蔵
→長さ62.1㎝の切刃造の鉄剣だそうです。国宝に指定されています。
刀身に北斗七星、雲形文、龍頭、白虎・・・などが刻まれているとのこと。
鎌倉時代には拵えが無かったといいます。
②奈良県法隆寺所蔵
→七曜剣などとも呼ばれる銅剣だそうです。
刀身には北斗七星の他に雲形文、日、月が刻まれているとのこと。
嘗ては法隆寺金堂・持国天が持っていたそうです。
これが聖徳太子の幼少期の〝守刀〟だった伝わっています。
現在は法隆寺・大宝蔵殿で公開されています。
が想定されます。
刀身の彫刻が明確な画像に辿り着くことができませんでした。ネット上で人間国宝の方が再現したものの画像を拝見しましたが、ちょっと違うかなと。
でも忠実なる再現という訳ではありませんし、歴史上の人物名を冠すると大体その要素は不明確であることが多いので、寧ろ聖徳太子に関連付けて上古直刀をイメージした商品を制作・販売していたことの評価は高いと考えます。この様な表現になってしまいましたが、この「七星剣」のことを大絶賛をしています(だから購入しています)。
柄頭の金具は、このスタイルの(居合刀の)直刀によく用いられる物です。
反りのある(居合刀の)太刀だと、もう少し装飾が派手になったものを見たことがあります。鳥頭形の金具を装着すると「鳥頸太刀」と呼ばれます。
現存するこの形の太刀を見ると、実戦用としてではなく儀仗用(儀礼・儀式での装備品)であることが判ります。
この鳥頭型の柄頭金具に柄をはめ込むために柄の先端部分が絞られています。真横から見て鍔元の幅と比較してみると幅の違いが顕著に区別できます。
縁金具も〝この手の直刀/太刀〟で用いられる一式揃えのものです。鯉口金具とセットになっていることが後ほど判ります。
縁金具に近いところへ目釘と一体化している菊花図紋目貫が据えられています。
鮫皮を貼った柄地には目貫を縮小した3つの菊花図紋飾鋲が装着されています。裏側も同様です。
鍔は太刀鍔ですが、余り目にすることの無い珍しい形態の物が装着されています。
通常の切羽に太刀型切羽を鍔の凹部にはめ込む形のものです。
横から見ると、この鍔は結構分厚いものです。
同じ形の縁金具・鯉口金具(+切羽2枚)で、この珍しい太刀鍔を挟んでいます。
鯉口金具の側からの画像です。
こちらの側からも、鍔が太刀型切羽+通常の切羽で分厚い鍔を挟んでいることが判ります。
足金物に太刀緒の様子です。
特に変わったところは無く、太刀緒がキツメに巻かれています。
鞘に装着されている装飾金具です。
宝石をイメージしたイミテーションがはめ込まれています。
柏葉を入れ、縁・鯉口金具と揃いの装飾を付けた石突金物(太刀鐺)が装着されています。
渡巻より鞘尻を見た、鞘の様子です。
上下総覆輪に各種金具を装着していますので、鞘だけでもなかなかな重量になっています。
裏側の様子はこの様になっています。表側とほぼ同様ですが、
鞘の裏側の装飾金具には、これまた宝石をイメージしたイミテーションが埋め込まれています。
鞘の裏側の渡巻より鞘尻を見た、鞘の様子です。
表裏で宝石(イミテーション)の色と形態が異なっています。形についてはちゃんと意味がありますよ。
いよいよ、刀身(七星剣だから剣身?)を見ていきます。
差し表側です。この画像だと見えにくいのですが、刀身に彫刻がなされています。
差し裏側の様子です。刀身に彫刻はありません。
彫刻が施されていない、差し裏側の刀身です。
刃渡り二尺三寸五分(約71㎝)の真鍮直刀で、刃文は直刃です。
鞘を払った時の鍔元の様子です。
鎺は金色無地で、銅色の通常切羽が装着されています。
彫刻が施されている、差し表側の刀身の様子です。右側が切先になります。
雲形文が4つ彫られており、切先側2つの雲形文の間に〝控えめ〟な北斗七星が見えます。
せっかくの七星剣なので、もっと主張の強い北斗七星で良かったのではないでしょうか?
「七星剣」は模造刀業界史に残る、素晴らしい取り組みであると極めて高評価をしています。こういった珍しい拵えの太刀(打刀も含む)、もっと開発してもらいたいですね。金具の型の制作という開発費が掛かる為、現実的には難しいのでしょうけれど。
○HKの「大河ドラマ」とか、上古直刀を使わざるを得ない時代物の映画などを人気の俳優を投入して制作して連動グッズとして販売すれば良いのに・・・。
と考えたりもするのですが、かつて○HKは時代劇ドラマで「聖徳太子」「大化の改新」「大仏開眼」がありましたが、単発放送(2回)では連動グッズ販売には繋がらないでしょうし、まず世間に浸透することは困難ですね。因みに○HKの時代劇ドラマの存在は知っていましたが何れも視聴はしていませんでした。てへ。
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