美術刀特注 薩摩柄 赤微塵塗鞘

此方は、武装商店様に特注でお願いした美術刀です。

全体を赤系色で格好良くまとまった一振になりました。

ちなみに、この特注の納品までチョットありまして、その旨は「武装商店」様HP2010(平成22)年3/1紹介「美術刀ですが、柄のサイズが大きめです」に記されております。

                               (画像は「武装商店」様HPより)

納品連絡を受け、店頭での確認の際に、柄下地合皮の色を「茶色」(赤っぽく見えますが)と指定していた物が「黒」だったので注文依頼を見直していただいたところ〝色の指定違い〟であったことが判明、発注をしなおしていただきました。黒合皮の商品紹介で他に「茶色もできる」ということでしたので、〝茶色合皮がどの様な感じ〟かを試してみることと赤系色にまとめた特注としようという意図があったため、店主様・美術刀担当者様に「造り直してもらえます?」と頼んでみたら快諾していただきました。いつもであればチョット違っていても購入してしまうのですけれどね。ちなみに黒合皮の方は、間もなく買い手がついたとのことでした。良かった、良かった。

 

                            (画像・左側は「武装商店」様HPより)

柄下地・黒合皮もカッコいいのですが、右側の茶色合皮で色合いのイメージを考えた作戦が見事に成功しました。当時の新しい塗りであった「微塵塗」も赤黒かったため、じっくり観察すると別色なのですが、トータルで赤く調和がとれているので、武装商店様にはお手数をおかけ致しましたが、再注文を受けていただいて有り難かったです。

 

それでは、各パーツ毎に見ていきます。

丸型の柄頭を装着した薩摩柄としました。
薩摩柄は一尺(約30㎝)ほどで、通常美術刀の柄よりもだいぶ長めになっています。
これまで美術刀の特注を幾つもお願いしてきましたが、だいたいは薩摩柄でお願いしています。

 

前出の柄下地ですが、薩摩柄の柄下地は基本形が「黒合皮」になります。選択肢は「黒合皮」「茶色合皮」の2択で、薩摩柄にすると目貫の装着は無しとなります。長さだけで存在感がありますから、柄下地合皮と柄巻の色(模様も込みで)の組み合わせで、自分好みのデザインを考えると楽しいです。

この美術刀では「茶色合皮」と後述する黒っぽい「赤微塵」とのバランスから、柄糸は黒地赤斑としました。

 

鍔は〝長い〟薩摩柄の存在感に負けない「大車輪」鍔を装着しました。
薩摩柄に大車輪鍔は極めて〝相性が良い〟のです。
本来は、薩摩柄の商品には栗型と鍔を結ぶ紐が付属していたのですが、薩摩柄を用いた特注の際に「紐は要りません」としています。現在、紐の付属がどの様になっているのかは特注をする際に問い合わせてください。

 

反対側から薩摩柄と大車輪鍔を見ています。
鯉口には黒色プラスチック製の物が填められています。
現在、美術刀の鯉口は金属製(黒・金・銀)で、お好みの色を指定することができます。
また、特に指定をしなければ同色の〝蓋の様な〟鐺金具が付いてきます。

 

6/9紹介「美術刀紹介・特注 カマス切先刀身 金銀微塵・黒散塗鞘」のところでも触れた「微塵塗」(=ラメ塗)という2009年に新開発された新規の鞘塗を試してみました。
指定時は「赤微塵」でしたが、暗めの赤ラメ塗での納品でした。
〝暗い赤ラメ〟は想像していなかったので、この暗い派手な鞘塗にハマってしまいました。

 

下緒は臙脂色に黒斑を付けました。
この〝赤と黒のエクスタシー〟の為にある下緒です(誇張し過ぎました。一般に市販されている物です)。
鞘尻には鍬型の鐺金具を付けていただきました。先にも触れましたが現在、美術刀の鐺金具は鯉口と同色蓋式金具の装着が基本です。その金具が、どうしても当方の美的感覚に合わないので、必ず鍬型の鐺金具を指定します。その分、価格に反映されますけれどね。

 

最後に抜き身の姿を。
刃文は「互の目」でお願いしました。この特注をお願いした時、まだ美術刀の刃文の種類は現在ほど多くはありませんでしたので、安定的な格好良さを重視して互の目にしたことを覚えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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