「株式会社MORIT」様のイSム表参道店が、2023(令和5)年に10周年を迎えられました。
部外者なのですがね、大変目出度く、嬉しきことです。
これを記念し、「表参道店 10周年記念特別キャンペーン」の一環として
「Limited」シリーズの記念モデルをS-Classとスタンダードの2サイズで発売
が実現しました。
(「イSム」様 公式HPより)
(「イSム」様 公式HPより)
背景が変わると大分、印象も異なってきますね。
彩色師の篁千礼氏による
毘沙門亀甲をあしらい、辰砂と古代緑青が目をひくカラーリング
が伝統と最先端的創造が融合・調和している、素晴らしい仕上がりとなっています。
よく観察すると、実に細やかな塗り分けが為されていて、将に芸術品と呼ぶに相応しい毘沙門天です。
受注期間が2023(令和5)年11月1日(水)~30日(木)となっていた、イSム表参道・イSムWEBショップ限定「完全受注生産」の逸品でした。
2024(令和6)年1月下旬の納品でしたよ。
勿論、東松山のロジスティックセンターへ迎えに行きました。
連れ帰った表参道店10周年 Limited「毘沙門天」の華麗な姿がこちらです。
特別に光を当てている訳ではありません。
通常光を受けて、この様に〝輝いている〟のです。
箱から出てもらいました。
光背や戟を装備する前の姿を、くるっと回してご覧いただきましょう。
表参道店10周年 Limited「毘沙門天」本体の煌びやかな勇姿を楽しむことができますよ。
胸甲の金円の周り、大和国東大寺の正倉院紋様を参考にした花模様が描かれています。
甲冑には毘沙門亀甲が施されています。
銀色の人字紋の中に古代朱「辰砂」が差されています。
金・銀・銅そして緑青が、諸所で丁寧に塗り替え/重ねられることで、得も言われぬ美麗な姿になています。
鎧の縁の部分には緑青の上に金・銀で「唐花模様」が施されています。
流麗な「唐花模様」、鎧の縁にぐるっと巻かれていますよ。
ご覧の皆様、お気付きでしょうか?
胸 甲:正倉院紋様を参考にした「花模様」
甲 冑:人字紋中の「辰砂」
甲冑の縁:金・銀の「唐花模様」
・・・何れもS-Classの表参道店10周年 Limited「毘沙門天」に見える特徴でございます。
そうなのです。
S-Classだけの特徴的模様を、Standardサイズで再現していただいたのです。
以前の「毘沙門天 2020Limited」で学ばせていただきましたのでね。
Limitedシリーズですと
S-Class
Standard
で模様が異なることを。
今回、お願いするにあたって
「追加料金が掛かっても構わないので、S-Classの模様をStandardに描いてもらえませんか?」
と、かなり強引にお願いをしたのです。
何時もお世話になっているスタッフ様からブランド・マネージャー様に取り次いでいただき、上記の条件のもと、唯一の(?)表参道店10周年 Limited「毘沙門天」Standardになりました。
こうした依頼は本来、受け付けてもらえないとのことでした。
感謝感謝にございます。
さて、光背と三叉戟を装備した状態で、例の如く360度まわってもらいます。
諸事情もあって、細かくコマ割りをしています。
結果として、小さな画像になってしまいました。
致し方無いのですよ。
しかし、それでは興醒めなので、
4方向から全体像を載せておきますね。
今回の表参道店10周年 Limited「毘沙門天」は、後ろ姿の格好良さが突出しています。
さぁ、それぞれのパーツの様子を観察していきますよ。
先ずは頭部・顔です。
毘沙門天Standardは、角度を変えると表情の変化が顕著になるという特徴があります。
顔面が銅で塗られていますが、表情を構成する凹凸により、単に通常の光を当てているのにもかかわらず、艶やかかつ生気溢れる印象を醸し出しています。
ほんのちょいと上から観ているだけで、頬の辺りが締まっている印象になります。
単髻を固定する布。
勇ましく左右に反っている状態ですが、金・銀で塗り分けられています。
こうした細やかな手間を各所に施しているので、毘沙門天に生命力を宿しているのです。
彩色で像の生気を表現しているとは、何と素晴らしいことでしょう。
毘沙門天の視点と同じ高さで、角度を変えて観ています。
この高さで観ると、頬周りのふくよかさが強調されるのです。
S-Class毘沙門天は顔全体がスリムに調えられて格好良いのですが、Standard毘沙門天は頬から首にかけてのズシリと安定した重厚感が魅力です。
「河越御所」が〝毘沙門天はStandardサイズに限る〟と評する所以ですよ。
「目力」(めぢから)の強さをご覧いただきましょう。
各種・毘沙門天によって瞳の描き方は特徴的です。
大きな瞳が黒・金色で綺麗に描かれています。
〝瞳は仏像の命〟ですからね。
素晴らしいことにございまする。
毘沙門天Standardの魅力〝ふくよかさ〝愛でながら、視点を下ろしていきます。
顔の艶やかさが、まるで活きているかの如きです。
この位置から見上げると、願成就院モデルの毘沙門天は精悍さを増すのです。
篁千礼先生の彩色により、活きた毘沙門天が誕生しています。
アーティストの技巧・表現力とは何とも不可思議なものですね。
先にも触れましたが、鎧の胸部にS-Classの特別彩色を施していただきました。
この花模様が無くても、充分に華やかであったことでしょう。
Standardサイズですので、S-Classの模様を小さくすることは物理的に手間が掛かったことでしょう。
我が儘なお願いを受容していただきスタッフの皆様、篁千礼先生、誠に有り難うございました。
願成就院モデルの毘沙門天は、
左手:宝塔
右手:三叉戟
を持っています。
それぞれの持物を観察していきましょう。
左の掌には、金色の宝塔が載せられています。
宝塔には金箔が施されています。
照り返しから、塗った色ではないことが判ります。
鮮やかな宝塔の様子をご覧いただこうと撮った画像ですが、顔にピントが合ってしまい宝塔がボケてしまいました。
こちらの画像も、顔がくっきり、宝塔がぼんやりとなってしまいました。残念・・・。
金も場所によって塗り分けられていますし、更に金箔も用いられています。
単に派手ということではなく、彩色を重ねることで金属っぽさの強調や布の質感・躍動感も表現されています。
それでいて調和のとれた煌めく姿なのです。
受注期間が一箇月であったことで、特別彩色をお願いすることができました。
様々な幸運も重なって、この毘沙門天を迎え入れることができたのです。
では次、右手に携えた三叉戟です。
先端部分には宝塔と同様に金箔が貼られています。
本物準拠の造形です。
柄をもっと太くしたり、三叉戟の先端をもっと大きくしたりするといいのに・・・と思いますがね。
上半身の各パーツを観ていきましょう。
毘沙門天の造形自体は、通常版のものと同じです。
緑青と金・銅色って相性がよろしいのですね。
肩当の様子です。
彩色を重ねることで、金属っぽさのみならず鎧の頑強さも伝わってきますね。
左肩から左腕にかけての様子です。
上腕部に見えている鎧の下着「棉甲」(めんこう)と呼ばれますが、肘から広がる袖の部分と色が塗り分けられています。
表参道店10周年 Limited「毘沙門天」は、随所で色の重ね/塗り分けが為されています。
メタリックの顔料を用い、布の軽やかさを表現するという言葉で説明するのが難しい状態ですが、それをこの様に目の当たりにできているのです。
嬉しきことです。
先程からちら見えしていますが、前腕部に装着している籠手。
緑青の濃淡だけでなく、縁取りも古美の表現が為されています。
肘から先の、広がりをみせる袖口の様子です。
表側と裏側で彩色を変えているところも、布が靡いている様を際立たせていますね。
後方から脇の部分を観ると、棉甲の袖の様子が判り易いです。
銀色をベースに、凸部分に淡く金色がのせられています。
もとがしっかりと凹凸がついている箇所ですが、凸部分に淡い金色を被せることで布の軽やかな立体感が伝わってきます。
こうして仕上げられた状態を観て感動している訳ですが、こうした配色・彩色を体現される篁千礼先生の発想・技巧には感服つかまつりまする。
袖口の塗り分けも綺麗ですがね、鎧の毘沙門亀甲が前方だけで、後方は古美を感じさせる銅色塗りというのもお洒落です。
オリンピック・カラーの「毘沙門天」2020Limitedにも同様の塗り分けが見られます。
こうした大胆な区切りは、それぞれのLimited版の特徴・個性になっていますね。
次の「毘沙門天」Limitedは、どの様な模様になるのでしょうか?
とても楽しみにしております。
では、右側を観察していきましょう。
襟甲を観ると、複数の顔料を重ねて古美の仕上げとしています。
前方からは目立たない箇所ですが、全く妥協していませんよね。
仕上がりから彩色時の集中力を感じ取れるという、驚愕の技術の賜物ですね。
全体的にピンボケとなってしまいましたが、肌の部分/防具の部分/布の部分がそれぞれ丁寧に複数の彩色を重ね/塗り分けしていることが一目で判る画像です。
いったん乾かしてから、違う色を重ねている作業工程が目に浮かびます。
しつこいですがね、複数の彩色の重ね/塗り分けが判る画像です。
彩色が仕上がるまで、どれ程の時間を要したのでしょうか?
画像だと、こうして部分的にしか見ることができませんが、実物を前にすると他の部分の様子も視界に入ってくるのですよ。
これは筆舌し難い楽しみ、喜びなのでござるよ。
右の袖口、金色のベタ塗りではありませんよ。
彩色で経年の変化を表現されているのも篁千礼先生Limited版の魅力ですね。
右脇後方から見上げています。
派手な画像に見えませんが、各所が緻密・丁寧な彩色が為されていることが判る画像です。
購入しなければ、こうした楽しみ方はできませんからね。
甲冑の華麗な前面を楽しんでまいりましょう。
もう説明は不要でしょう(笑)。
表参道店10周年 Limited「毘沙門天」は、S-ClassもStandardも高額でしたからね。
期間限定受注ですから、機会を逃すと入手は不可能となります。
かなり前、ブランド・マネージャー様に
「Limited版って、申し込みそびれてしまった場合でも受け付けてもらえるのですか?」
と質問したことがあります。そうしたら
「お受けできますが、価格がかなり高くなります。」
とのお答えをいただきました。
まとまった数を同じく彩色するのと、1体だけ特別彩色を施すのでは料金が変わってしまうという理由だそうです。
それを聞いてから、Limited版は頑張って限定期間のうちに申し込むことにしました。
〝オトナの遊び〟は、案外過酷なものなのですよ。
では次、足元に注目していきましょう。
下衣の垂れ具合、柔らかさを感じさせますよね。
後方から腰に巻き付け、前方で合わせる形状の鎧です。
何枚も重ねている鎧ですが、それぞれに模様・彩色が丁寧に施されています。
表甲の縁に描かれた金・銀の「唐花模様」、この有無によって像自体の印象がかなり異なってきます。
諸事クリアしなければなりませんでしたが、依頼して良かったと実感しています。
膝元から脛当・沓までの様子です。
脛当の緑青は濃淡で塗り分けられているのですよ。
よ~く注視してみると、濃い緑青/淡い緑青の別が判りますよ。
どうです?
緑青の濃淡、お判りいただけたでしょうか?
濃い緑青が黒っぽく、淡い緑青が深緑に見えています。
足首を覆っている裾、銀色のベタ塗りではありませんね。
重ね塗りをして古美の風合いを表現しています。
垂れている衣、金色で塗られていますが、造形の凹凸に合わせて彩色が調整されています。
その上で古美感が出されていますのでね、布の膨らみと風に流れる柔らかさが伝わってきます。
毘沙門天に踏み付けられている邪鬼を観ていきましょう。
邪鬼2匹とも、毘沙門天の沓の銅色(カッパー)と同色ですね。
シャレのつもりは全くありません。
毘沙門天の右足に踏まれている邪鬼。
おっ、しっかりと瞳が描かれています。
毘沙門天の左足に踏まれている邪鬼。
必死に右腕を伸ばし、毘沙門天の三叉戟を支えています。
こういうところは運慶の茶目っ気ですね。
こちらもしっかりと瞳が描かれています。
邪鬼の瞳、この有無によっても像の印象が変わっていたことでしょう。
瞳があって善哉善哉。
上半身を3方向から観ています。
あれやこれやと視点を変えても楽しみますし、こうして角度を変えた画像を並べても楽しんでいます。
Limited版は原則ひとり一体の受注ですからね。
こうして画像を並べ、複数体が並んでいるかの様にして遊んでいます。
そうだ、最後にLimited版に付いてくる「木製プレート」を立てて画像を撮りますね。
プレートには「Bishamon-ten isumu Omotesando 10th Limited」と刻印されています。
「河越御所」へ新たに迎え入れた豪華絢爛な「毘沙門天」Limitedのお話でした。
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