此方は「武装商店」様に特注でお願いした「大型独鈷杵目貫 朱鞘 長脇差」です。
武装商店・店主様と〝気合いの入った太刀〟と〝それに見合った脇差〟について相談に乗っていただきながらデザインを考えました。
柄巻は牛本革・黒、柄下地は赤鮫というのは決めていました。
2006(平成18)年5/6『「鍛人(カヌチ)」製品受注開始のご案内』で紹介された「同田貫藤原正国」(仮称)の朱鞘Ver.に用いられた〝強めの凸凹塗り〟に衝撃を受けていましたので、
(画像は「武装商店」様HPより)
鞘は、強めの凸凹塗りの朱鞘にすることと決定しました。
各金具は、揃いの太刀と合わせた手作り金具にしていただきました。
全体的に重装備を追求する方向性であったため、市販流通品の目貫では物足りなく感じたことから、武装商店・店主様に〝ゴッツい目貫〟の相談をしました。するとカウンターの奥から「こんなのあるんですけど、どうです?目貫じゃないんですけど、目貫として使ってみますか?」と法具としては小型、目貫としては大型の三鈷杵・独鈷杵を出してくださいました。
「おぉ、何と素敵なアイテムじゃないですかっ!それを投入させてくださいっ」
・・・そうしてできあがったのが、この長脇差です。
納品時に付けられていたのは黒の下緒でしたが、ネットで鹿革の黒・臙脂亀甲本印伝を見つけ、此方の長脇差に付け替えました。
刃文は、この時にハマっていた〝三本杉〟をお願いしました。
手造りの「兜金」(柄頭金具)です。手作業でひとつひとつ鎚目を入れた、燻し銀の金具です。納品時はもっと艶やかな燻し銀でしたが、数年も放置しておくと、黒ずみが強くなってしまいました・・・。でも、これはコレで味が出ています。
柄下地の赤鮫には「谷汚し」を施してもらいました。でも余り目立ちませんね。
分厚い金属板から造り上げていただきました。
中央部が盛り上がっています。実際にはそんな事をしませんが、ここで殴り付けるとノック・アウトさせること、間違い無しです。
兜金から鍔元を観た画像です。
黒い塗料を指した赤鮫と黒い牛本革の艶が、黒ずんだ燻し銀金具と〝絶妙の調和〟を魅せています。
小さな法具「独鈷杵」を目貫として埋め込んだ柄の中央部です。
立体的造形の独鈷杵でしたので、そのままでは柄に装着できません。なので、半分の薄さになるまで削って裏側を平らにし、鮫皮の上にのせています。とってもとても手間が掛かっています。
( 左:柄の差し裏 / 中央:柄を下から見上げた画像 / 右:柄の差し表 )
大型独鈷杵の目貫が据えられた位置は、通常の打刀仕様です。
もっと独鈷杵の厚さを残して、表裏ともに柄中央にしたら厳つさが増したかな?と思ってしまいました。
目釘が打たれたところから鍔元を観ています。
縁金具・鞘の鯉口金具も共に、鎚目入り燻し銀の手造り金具です。
黒染めの太刀切羽が、分厚い手作り喰出鍔を挟んでいます。
手造り喰出鍔が、太刀切羽+鎚目入燻し銀金具でガッチリと挟まれている様子が判ります。
削り目の模様が、鎚目模様と対比的に美しさを主張しています。
市販の鬼喰出鍔も格好は良いのですが、この長脇差には、この手造り喰出鍔で良かったと感じています。〝職人さんの仕事がし易い様に、お好きな様に造ってください〟とお願いすると、職人さんは素晴らしきお仕事をしてくださるのです。感謝感謝です。
丁寧に処理された鯉口に、分厚い鎚目入りの燻し銀金具が装着されています。
大きめの栗型が、鯉口金具とお揃いの胴輪金具上にのせられています。
〝戦場に携えていく〟ことを前提に造っていただいているので、いずれも強度重視の装備となっています。
「強めの凸凹塗り」でお願いしたのですが・・・、思った様なイメージにならぬ事もあります。
この画像だと鞘がとても長く見えますが、長脇差のものです。
鞘尻の方に向かって行くと、これまで観てきた物とお揃いの手造り鎚目入り「柏葉金具」が装着されています。朱色に燻し銀って、ここまで相性が良いとは思いませんでした。
そして石突金物です。これで突きを入れられると、やはりノック・アウトでしょう。
角度を変えて観ると、兜金と瓜二つの形状で造られていることが判ります。
太刀金具なので当然ですが、職人さんが大変な手間を掛けられて造ってくださった金具の数々・・・。心の底より、感謝の意を申し上げます。
鞘を払った抜き身の様子です。二筋樋が入っています。
切先から刀身中央部にかけての画像です。荒々しく不規則な「ギザギザ」(互の目尖り:ぐのめとがり)が妖しく、それでいて美しく輝いています。
この長脇差を頼んだ時、〝鎺に文字・文様を入れる〟というオプションが無かったので、銀色の無地になっています。総合的な色合いのバランスからの選択でした。
当面はこのままにしておこうと考えています。気が変わったら梵字を入れちゃうかもしれませんが・・・。
長脇差なので、そこそこ長いです(寸法は測っていませんが)。
そもそも〝戦場で脇差を抜く〟などということにはならぬ様、いろいろと手筈を整えて出陣するものです。抜くことを想定していませんが、〝抜いたら凄い〟という長脇差のお話でした。
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