至近距離で戒壇院「四天王」と逢ってきました。

暑くて人手が少ないとは言いながらも、東大寺は観光客が多ございます。
なので、早起きして東大寺境内の各所を巡ってきました。
その時の模様は別の機会にするとして、今回は耐震工事によって東大寺ミュージアムに移っている塑造「四天王」像との対面のお話です。
工事は3年間の予定ですが、もう1年半以上が経過してしまいました。〝あの四天王〟を至近距離で拝観できるのはあと1年チョイの期間となります。
〝あの四天王〟が東大寺ミュージアムに移ってから数度、奈良を訪れているのですが他の場所に遊びに行くのが精一杯で〝奈良に来たのに東大寺に寄らない〟という、普通では考えられないことが続いていました。今回も東大寺に立ち寄ることは予定していなかったのですが、〝早朝の東大寺〟を経験したところ思いの外〝東大寺への愛情〟が芽生えてしまい、日を改めて東大寺ミュージアムのみの拝観をおこなってきました。

とは言いながらも、南大門は通らなければなりません。ミュージアム開館時間に合わせて午前中の早い時間に到着しましたが、まぁまぁ観光客が居ました。そりゃ、国内トップクラスの観光スポットですからなぁ。

雄大な南大門の向こうに金堂(大仏殿)が辛うじて見えまする。

この左手側に、〝神の使い〟とされる鹿の行動についての注意喚起が立てられています。

 

「鹿が噛んできます」
解釈には補足が必要ですね。
 鹿は噛む力が強いので、持ち物を取られないように気を付けましょうね。
滅多矢鱈に鹿が噛み付いてくる訳ではありません。
鹿は寄ってくる人間に対して「食い物くれ~」って要求してきます。
鹿せんべいなどを買って与えようものなら「もっと食い物よこせぇ~」ってなります。
不運な場合、持ち物の口が開いていると、そこに顔を突っ込んできますよ。

「鹿が叩いてきます」
こちらも解釈には補足が必要ですね。
 四つ足の動物なので脚力が強いのですよ。体重もあるので気を付けましょうね。
いきなり前足(もしくは後ろ足)で蹴り上げてくることはありません。
鹿の目線より低い体勢だと前足で乗っかってくる危険性があります。
後ろ側から鹿に危険を感じさせると蹴り上げてきます。
あと急激な動作や突然の大きな音(叫び声)などで鹿は驚きますので、止めましょう。

「鹿が角で突いてきます」
またまた解釈に補足が必要ですね。
 鹿を刺激すると複雑な形状の角で突かれることがあります。気を付けましょうね。
いきなり突進してくることはまずありません。
座り込んでいる雄鹿(牡鹿)に異常接近したり、下を向いている雄鹿(牡鹿)に急に近付くと、結果として角で突かれてしまいます。
あと、子鹿にちょっかいを出して敵視されると角で突かれます。注意しましょう。

「鹿が突進してきます」
これまた解釈に補足が必要ですね。
 鹿を驚かせると鹿が突進してくることがあります。驚かせることがないようにね。
鹿がいきなり突進してくることはまずありません。
キレッキレのフェイントやダッシュ、カメラのフラッシュ、突然の大きな音(大声)などで鹿は群れで一気に動きます。そんな時は、鹿の群れの流れにのみ込まれない様にダッシュで逃げ切るか、冷静に群れの流れから離れて安全を確保しましょう。

因みに今回というかいつもなのですが〝鹿に興味が無い〟ため、鹿に対して此方から見向きもしません。向こうもそうしてきますがね。

鹿は、置いといて。
いやぁ、南大門の雄大さ。いいですわぁ。

 

阿形を正面から。

門を潜ってから見た阿形の姿。

吽形を正面から。

門を潜ってから見た吽形の姿。

門内に鹿が居ました。糞などで文化財を汚すなよ。

南大門の礎石って、自然石を柱の接触面のみ整えているのが判ります。
時代はかなり遡りますが本薬師寺の礎石加工と同じなのですな。
柱の表面も鉇(やりがんな)で整えられたんだろうなと感心しました。
根元の修理ってどうやって実行したんだろう・・・考えながら感動しました。

 

東大寺ミュージアムの入口ですよ。
右手の受付窓口で手続きを済ませ、白枠のところから入場します。

ミュージアム入口の右側には、大仏の手の原寸大レプリカが配されています。
実際の手は、距離があるのでじっくりと見えませんからね。

 

館内の仏像たちの様子は撮影できません。
戒壇院「四天王」の様子は、検索すれば新聞記事に掲載されている画像を見ることができますよ。

四天王と同じ目線という訳にはいきませんが、修理前の戒壇院の四隅に配置されていたところを見上げるのとは違って、四天王の姿を堪能することができました。

2体ずつ左右の壇に分けて配置されています。
正面からみて左側には、(左から)広目天・増長天が
正面からみて右側には、(左から)持国天・多聞天が
配されていて、真ん中(増長天と持国天の間)には入り込むことができ、像の横側を観察することができます。適度な弱めの照明が当てられ、彩色・模様の残痕を肉眼で見ることができました。
マスクを着用しての拝観で良かったです。だって、嬉しさと感動でニコニコしていましたもの(決してニヤニヤではありません)。
グルッとまわると、通路から四天王の後ろ姿を楽しむことができます。

あと1年ちょい、四天王は東大寺ミュージアムに居ますからね。
戒壇院に戻るまで最低1回、できることならば2~3回は肉眼で四天王を愛でたいですな。

 

さて、仏像コーナーを出てから売店・休憩所スペースに行きます。

以前は気付かなかったのか印象に残っていなかったのですが、「東大寺南大門模型」がありました。

青森県立南部工業高等学校の生徒さんたちが製作したそうです。青森ヒバ製で、縮尺は1/20。製作期間は1992~1994(平成4~6)年だって。

木組みが精巧なのですっ。

ほらっ、木の組み方が驚愕の緻密さ。

ちゃんと、金剛力士(阿形・吽形)まで居ましたよ。

 

もうひとつ、楽しみだったのが

「大仏蓮弁の線刻画」(ただしレプリカ)

休憩所の横っちょに配されているので、観光客の動きを観察しながら撮影しました。
決して「どいて」などと言いません。

本物はもっと大っきいですからね。

こうして画像整理をしていると、実際に大仏を観に行きたくなってきました。
帰還して間もないのに・・・。

次、東大寺を訪れた時は、大仏殿の受付を一番で通過し、人気(ひとけ)の無い大仏殿・大仏その他を愛でようと思います。

2022年08月17日