秀吉の指料「朱漆金蛭巻大小」と遭遇しました。

〝ある用〟がありましてな、東京国立博物館に行って来ましたよ。
気が付けば、とて久し振りの訪問でした。
最近何度も訪れているつもりなのですがね(笑)。

〝ある用〟は扨措き、常設展の話をしましょう。
折角、平日に仕事を休んで、でも朝早が辛くて予定より1時間程遅れて出立したのですよ。
雨降っているし、外国人観光客が仰山な列を成しているし・・・。
入場チケット購入のための行列でした。

この行列を見て、最初に考えたことは
 「もう、帰ろっ」
でしたからね。

併し乍ら、〝ある用〟を達成するには時間的猶予がありませなんだ。
致し方無く、外国人観光客の中に身を投じましたよ。
列を成す人びとのうち、外国人の割合は8割超、9割に近かったと感じます。
荒れた天候の中、よくもまぁ、こんなに集まったもんだこと(絶賛)と驚きでした。

人数から2時間程待つのか・・・ぐらいの覚悟をしていたのですが、ことのほかスムーズに進み、列に並んでから45分程度でチケット購入と相成りました。

〝ある用〟は置いといて、常設展エリアに入ります。
外国人観光客の多いこと・・・多いこと。
オリエンタリズム、ジャポニズム・・・西洋の方々にとって色々と魅力と感じる要素が満載でしょうからね。
何処を観ても、人集りでした。
それでも、その人集りの隙を見付けては展示物の前に立ち、画像を撮ってきました。

色々と撮ったのですが、今回のお話の主役は
  豊臣秀吉の指料「朱漆金蛭巻大小」(しゅうるしきんひるまきだいしょう)
にございます。

既に模造刀業界では製品化されています。
余り、市場には出回りませんがね。
居合刀ですと、本物に色合いを寄せた素敵な一振としては
  「有限会社 大澤刀剣」様
の「復刻名刀 豊臣秀吉」がありますね。

価格は8万超えと高級居合刀の範疇となりますが、欲しくなってしまいます。
だって、これまで
 長尾景虎の「山鳥毛一文字」
 長尾景虎の「姫鶴一文字」
 織田信長の「圧し切り長谷部」
 明智光秀の「明智拵」(黒革束巻)
 明智光秀の「明智拵」(溜漆打刀)
 徳川家康の「ソハヤノツルキウツスナリ」
 徳川家康の「日光助実」
と、文化財として伝存している刀をモデルとした居合刀を入手していますからね。

かなり前のことでしたが、秋葉原・武装商店の店主様と特注の件でお話をさせていただいた時、
 「この金の蛭巻を本物を意識して再現するのが難しいんですよね」
とアドバイスを頂戴しています。

鞘の
 朱 漆:本物を意識した色合いは可能でしょう(金はかかるでしょうが)。
 金蛭巻:キラッキラッにしたいですね。
     金属板を巻き付ける?(これがかなり難儀なのだそうです)。
     金箔で鮮やかな金色を再現する?(金はかかるでしょうが)。
 金色鐺:単純な金色塗りでお願いすれば、実現は可能でしょう。

でも、本物に見える鞘尻のくすみ具合を再現すれば、どうなのか?
綺麗に塗ってもらったところを、敢えて汚すのは職方(職人さん)が嫌がりそうです。
まぁ、本歌(本物)の完全コピーは望んでいませんのでね。

柄前を中心に考えましょう。
 柄 頭:市販のものを金色に塗ってもらえば実現可能でしょう。
 縁金具:こちらも市販のものを赤く塗ってもらえば実現可能でしょう。
 目 貫:本物は「雲龍」だそうで、龍の目貫を金色に塗ってもらえば実現可能でしょう。
 鮫 皮:本歌に倣って黒染めで。
 柄 巻:焦茶の牛革にしてもらいます。
 鍔  :市販の「金桐紋透鐔」を金色に塗ってもらえば実現は可能でしょう。

「河越御所」の居合刀、殆どが革巻ですからね。

本物の画像では「大小」揃えですが、大刀のみでよいのです。
考えているだけで楽しくなってきましたよ。

2024(令和6)年、〝夏の目標〟として「朱漆金蛭巻」の大刀を特注でお願いすることに決めました(笑)。

2024年04月09日