居合刀改造 信長左文字・蛭巻鞘

かなり前、奈良・東大寺前「鹿屋」様で購入した「信長左文字・蛭巻鞘」の改造を考えました。鞘は茶の渦巻塗と黒の蛭巻という珍しいパターンで、胴輪が2個付く半太刀拵でした。縁・柄頭・鍔も既製品の半太刀金具でした。改造後の姿は「武装商店」様HPで2008年11/10に紹介されています。

鞘の塗り・金具は当初のままです。

<img src=”信長左文字蛭巻鞘.jpg” alt=”信長左文字蛭巻鞘”/>



〈 改造ポイント 〉
元の柄巻は木綿茶色の柄巻、柄下地は白鮫皮であったものを柄巻を黒牛革(表)、柄下地は赤鮫の谷汚しへ変更していただきました。あとの細かいところは職人さんにお任せということでお願いしました。

 



〈 お任せポイント 〉

刃文は直刃に互の目重(二重刃文)。自分ではわからなかったのですが、元々の刀身状態があまり宜しくなかったということで差し替えていただきました。
茶色(木綿)だった柄糸を牛本革(表)に、柄下地の鮫皮は粒の小さい白のモノから親粒のある赤鮫へと変更し、鮫皮には「谷汚し」と呼ばれる処理を施してもらいました。
目貫は軍配図目貫へ変更、配色を揃えた柄・鞘塗の統一感を出す為、銅色だった切羽を黒の菊切羽へ変更していただきました(画像は「武装商店」様HPより)。

赤鮫は親粒のあるものを用いています。

柄から鍔元を見てみます。この太刀鍔は元々銅色の物でしたが、全体の色合いを踏まえて黒塗にしていただきました。黒の菊切羽が丁度良いアクセントになっています。

鞘から鍔・柄成りを見てみます。鞘の蛭巻塗と柄の赤鮫・谷汚し+黒革(表)柄巻の色合いが見事にマッチしています。金具を黒一色に統一し、軽めの谷汚しによって赤鮫の按配が良くなりました。因みに現在下緒は紫色に替えています。

 

改造完成後に店頭で現物を確認(写真左側)、その場で色合わせして臙脂色の下緒を選ばせていただきました(写真右側)。全体の色合いバランスがとても美しくなりました(画像は「武装商店」様HPより)。

改造後の姿は、一見地味ですがよく見ると華やかな拵えとなりました。因みに改造前の信長左文字・蛭巻鞘は「鹿屋」様WEBショップで取り扱いがありましたが、既に廃盤となっているようです。店頭で心を鷲掴みにされる一振りに出逢ったら、それは「運命」ですから逃す手はありません。逃してしまうと物凄い後悔の念に苛まれ、更に逃した一振りの画像などを見る度毎に落胆してしまいます。

改造後の納品時に教えてもらった事なのですが、改造の為に持ち込んだ素体は、偶然にもいつも改造をお願いしている職人さんが若い頃に手がけた物であったといいます。まさに奇しき縁で結ばれた改造でした。職人さんも懐かしがりながら積み重ねた経験に基づき、この依頼にあたり温かな心遣い込みの改造をしてくださったそうです。これを機に、この職人さんには数多くの改造・特注をお願いしていくことになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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