「有柄銅剣」ペーパーナイフ(肥前国)

此方は、佐賀県・吉野ヶ里遺跡展示室の売店で販売しているレプリカ「有柄銅剣」ペーパーナイフです。

 

 

(説明書の内容)
「有柄銅剣
  吉野ヶ里遺跡にある北墳丘墓に埋葬された甕棺の一つからガラス製の管玉と共に発見されました。全長44.3㎝。柄の部分も青銅で鋳造されたいわゆる有柄式の銅剣で、被葬者の身分とその地位の高さを示す副葬品です。出土状況が明らかなものとしては我が国唯一のもので、当時として最高の青銅器鋳造技術をもって作られており、弥生文化の技術水準の高さを知る上で貴重な資料です。
  このペーパーナイフは、その有柄銅剣を約三分の一の大きさで忠実に復元したものです。                                                                              吉野ヶ里基金」

吉野ヶ里遺跡内の「北墳丘墓」は、この集落の支配階級が埋葬された特別な墳墓と推測されています。異なる種類の盛土を何層も重ね、さらに締固めがなされる頑丈な人口造成の墳墓で、区域内からは14基の甕棺が出土しています。
この墳墓は、紀元前1世紀のものですが、造成後は墳墓として使用されなくなり、祖霊の眠る特別な場所と認識され大切に扱われていたようです。

14基のうち1002号甕棺から、ガラス製管玉とともに発見された「有柄細形銅剣」は、日本国内での出土では4例目となり、出土状況が明確な物としては唯一のもので貴重な事例となっています。また、この有柄銅剣は刃部に繊維が付着した状態で出土しました。分析調査をおこなったところ、銅剣に巻き付けられていたのは大麻と絹の2種類であったことが判明しています。

 

 

日本国内で出土する銅剣は、失われていますが木製の柄を装着していたことが判っています。吉野ヶ里遺跡出土の有柄銅剣は柄の部分まですべてが青銅製になっており、このペーパーナイフは吉野ヶ里・有柄銅剣をスケールダウンした現物に忠実な造形です。

 

刃部が中央・柄寄りの部分に窪みが見られる細形銅剣の造形が再現されています。

角度を変えて刃部を観察すると、なかなか鋭い造りになっています。

横から見るとペーパーナイフらしく刃部が研がれた状態になっています。ペーパーナイフとしては切れ味が良い方です。

 

把頭飾と呼ばれる十字形の部分の拡大です。
刃部と握りの間に鍔のような造形が備えており、柄には握りやすいように出っ張りが見えます。柄頭に相当する箇所には横に平らなパーツを組み合わせ、柄頭で挟んでいるようです。これはパーツ組み合わせではなく、一体化している造形だそうです。

 

 

 

 

把頭飾の部分を、角度を変えて観ています。
失われてしまいましたが木製の鞘に収められていたようで、帯剣をした時に十字形の部分は〝見せる〟箇所でした。そのために目立つ造形になっていたのではないでしょうか。
ちなみに、この有柄銅剣と一緒に確認されているコバルトブルーの管玉は、中国の原料が使用されていることが判っています。この管玉は木製の鞘の装飾だったと考えられています。

銅剣は金属としては軟らかいため実用的には耐えられず、鉄器へに取って代わられてしまうのですが、吉野ヶ里・有柄銅剣は、細形で鋭利なフォルムをしているので実用的な物であったことをうかがえます。

出土した有柄銅剣の3分の1のサイズではありますが、造形は本物に忠実な再現となっており素晴らしい物です。小さいながら、これほど出来映えが良い物を手にしてしまうと、〝原寸大〟が欲しくなってしまいます。

 

 

 

 

 

 

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