美術刀紹介・特注 カマス切先刀身 金銀微塵・黒散塗鞘

それまで美術刀鞘塗では梨子地塗が艶っぽい輝きを発していたのですが、2009年に問屋企画品「直江兼続半太刀拵」(白柄の物)が発売されたことで「ラメ塗」という選択肢が増えました。この当時は、この「ラメ塗」(=微塵塗り)が新鮮・衝撃的な鞘塗でしたので、これを導入した特注をしなければっ、と考えました。

「銀+色」の組み合わせが可能、仕上がりは粗めで梨子地とは異なる輝きがあります。当然、ロット毎や個体により仕上がりの色味に違いが生じてしまうのですが、理論上は可能性が無限に広がっていきます。

また「武装商店」様は2009年初めに「地に銀を用いたメタリック塗」というチャレンジをされています。

                     (画像は「武装商店」様HPより)

変則的な梨子地塗に対し、メタリック塗は均一な仕上がりで、新たな美しさを表現することができるようになりました。

さらに2009年末には「ラメ塗り」(=微塵塗り)を数種類の色で実験され、メタリック塗りとはまた違った趣を醸し出すことに成功しています。

 

                    (画像は「武装商店」様HPより)

今回は美術刀紹介と特注を合わせて、上記のうち「ラメ塗り」(=微塵塗り)に黒散らし(斑塗り:まだらぬり)を施した二振り
  武装商店様試作「試/虎鞘〇壱」(「武装商店」様HP2010年3/10紹介)
  美術刀特注「加藤清正拵」の鍔変更(大車輪鍔)
を比較します。

 

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まず「ラメ塗り」(=微塵塗り)の様子です。
鞘尻にピントが合ったため手前(左側)がボケてしまいましたが、〝怪我の功名〟で微塵塗りの荒さ(光る粒々の様子)が判るようになりました。

 

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実験での金ラメ(「武装商店」様HP2009.12.6紹介記事)よりも派手な塗りになったそうです。写真を見てカッコいいとは思いましたが、発表時には購入しませんでした。でも鐺が装着されていますし、〝同じ色味が出せるとは限らない〟ということを考慮して購入することとしました。売却済でなくて良かったです。

金のラメ塗りに斑塗りを被せることで、金ラメのギラギラ感が強調されています。
武装商店様HPにも「現物は画像より更に二割り増し派手に感じるかも。」とあります。ご興味をお持ちの方は、実際に特注をして手に取ってみてください。2割増し以上の派手さを感じるかも知れません。

 

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鍔は「笹竹図」です。あまり魅かれるデザインではなかったのですが全体像が格好良く、その中で色味のバランスも合っていたので善しとしました(〝購入した〟という意味です)。

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目貫は美術刀用の黒「龍図」です。美術刀用の金虎図は存在していなかったので致し方ありません。でも全体の色味のバランスがとれているので、これも善しとしました(〝購入した〟という意味です)。

 

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下緒は黒に金斑の物へと替えました。まさに、この一振りのために存在する色合いの下緒です(本来は逆ですが)。柄を上にして立てていたら、下緒に癖がついてしまいました。〝虎が駆け出している〟様です。

 

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刃文は変えられません。樋無しで、切っ先が通常の美術刀よりも鋭くなっています。

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方向転換していますが拡大すると、この様な感じです。
問屋では「大帽子」と表現しているとの事ですが、武装商店様では「カマス切先」(魳切先)と称しています。

美術刀はパーツの種類が限定されてしまいますので、数多く特注していくと似通ったものが増えてしまいます。でもこの様に刀身のバリエーション種類が豊富になれば、美術刀特注の楽しみが広がっていきます。

 

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鞘塗の様子です。
職人さんが手作業で散塗をされているので、全く同じ物は二度とできません。
下地の金微塵を黒で潰し過ぎない、絶妙の金・黒バランスです。素晴らしい。

 

さて次に、ほぼ同時期に特注でお願いしていた銀のラメ塗りに斑塗りを被せた一振りを見ていきましょう。

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一般流通品「加藤清正(大帽子)拵」に鐺金具を装着し、鍔を変えたものです。
居合刀の武田信玄・来国長(5/27の記事)でも言及しましたが、「どこが加藤清正?」という突っ込みはせず、格好良ければ良いのです。

 

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美術刀特注では好んで用いる大車輪鍔を装着してもらいました。

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目貫は、この加藤清正拵のために新規開発された銀の虎図です。
〝加藤清正の虎狩り〟に因んだものでしょうか。
残念ながら、現在ではこの銀虎図は無くなってしまったとのことです。

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下緒は黒に白斑の物へと替えました。まさに、この一振りのために存在する色合いの下緒です。柄を上にして立てていたら、下緒に癖がついてしまいました。〝虎が駆け出している〟様です。どこかで見た様な文章になってしまいました。

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鍔を大きい物に変えたので、少々手元の印象お長さの感じが虎鞘と少々異なりますが、同形態の刀身です。

 

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向きを変えて「カマス切先」の切っ先部分をご覧いただきましょう。
鋭利なので、刺突力した時の威力が強化されたように感じます。実際には刺突などをしませんが。

 

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鞘塗の様子です。
虎鞘と同様に、職人さんが手作業で散塗をされているので、全く同じ物は二度とできません。下地の銀微塵を黒で潰し過ぎない、絶妙の銀・黒バランスです。素敵です。

 

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いつもの様に、刀掛けにのせた二振りの姿です。

 

二振りの比較なので、太刀掛けに立ててみました。

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前に「金・銀の色違いを・・・」というお話を紹介した(5/4の記事)のですが、現実には金銀別々の例もあります。この時は、金が店舗企画品、銀が当方特注品でした。
金銀色違いの特注をすることは無いと思いますが、別の色違いは面白かったので既にお願いした事例があります。機会があれば、そちらも何れは紹介致しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

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