毛抜型(形)目貫 黒呂塗太刀

此方は鎌倉「山海堂」様で購入した、毛抜型(毛抜形)目貫を据えた黒塗太刀です。
山海堂様ではほぼ常時、数振の太刀の在庫があるので実際に手に取って吟味することができます。しかも山海堂様で取り扱われている太刀は柄反りの強い物ですから、本格的な太刀の雰囲気を楽しむことができます。なかなか店頭で、太刀を手に取らせてもらえる機会は多くありませんので、〝太刀好き〟や太刀購入をお考えの方は山海堂様に足をお運びいただくのが宜しいでしょう。
太刀の在庫が入れ替わった頃と予測して半年に一度、太刀を購入しにうかがっていました(ここ数年はご無沙汰になっていますが)。

 

さて、この黒塗太刀は常時「尻鞘」を装着しています。

甲冑製作をしているメーカーさんに尻鞘を頼むと4~5万円程度になってしまいます。勿論、材質がヤクや熊・鹿の毛といった高品質なものになるので、致し方ありません。
「そこまで本格的でなくても・・・」という場合は、フェイクファーで尻鞘を製作してもらうと良いでしょう。フェイクファーも色や模様・毛長に様々なバリエーションが出ていますので色柄等を指定するか、もしくは持ち込みをして製作という方法があります。
黒塗太刀に装着している尻鞘は、黒毛の中に銀毛が混じっているフェイクファーを秋葉原・武装商店様に持ち込んで製作していただいた物です。美術刀一振程度の費用が掛かりました。
画像では刀掛けへ横にのせていますが、毛並みに癖がついてしまうので通常は太刀掛けに立てています。

 

尻鞘を外して、抜き身の状態です。
金具は燻し銀で統一、柄・鞘が黒塗で〝渋い〟外装となっています。
刃文は互の目です。

 

この柄は、茎を短くすることで反りを強くしているそうです。
強度の観点からすると、茎を切ることで安定感は弱まってしまうのですが、振り回したり打ち付けたりしなければ問題はありません。
腰反りが強そうに見えるような画像を撮ってみました。

 

抜き身のみを刀掛けにのせると、この様な感じになります。
こうして見ると、刀身の反りは通常の居合刀と変わりませんね。

 

猿手に手貫緒が結び付けられています。
柄の中央部には「毛抜型(形)」の飾り目貫が埋め込まれており、鍔寄りに目釘一体型の菊花図紋目貫が据えられています。

 

鍔元の拡大画像です。
総覆輪に唐草彫りの縁金具、切羽・菊切羽、丸形の大切羽+丸形鍔となっています。

 

丸形鍔を左右から大切羽・菊切羽・通常の切羽で挟んでいます。
このあたりが本格的な太刀拵のたたずまいですね。

 

鎺は金色?だった様ですが、放置していたら部分的に黒く変色してしまいました。
拭き拭きするだけでは改善できませんでしたので、今後色々と試してみます。

 

鞘は、総覆輪を責金物と石突金物で挟んでいます。
黒呂塗だと、知らぬ間に当たり傷がつき目立ってしまいます。

 

総覆輪には、唐草文様が透き間無く彫り込まれています。

 

最後に、意図的に〝太刀の柄〟が伝わる様な画像をのせてみました。
「毛抜型(形)目貫」が入っていると、直刀から日本刀(反りを有する彎刀)への移行期の〝古い時代の太刀〟というイメージが強くなります。
居合刀の特注で、伝存する毛抜形太刀を製作するのは不可能(費用の面でか?)と言われたことがあります。ネット検索すると再現事例を見ることができますが、価格は提示されていません。恐らく高額なのでしょう。ですから、現状では「毛抜型(形)目貫」を装備している太刀と出逢ったら、既に所有している太刀と同一でなければ購入するように心掛けています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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