居合刀紹介 堆朱塗 毛抜型(形)目貫 小烏丸刀身

此方は、「武装商店」様HPで2013(平成25)年10/13「問屋倉庫の奥からこんにちはシリーズ。」で紹介された、「毛抜型(形)目貫 堆朱塗太刀 小烏丸刀身」(武装商店様での商品名は「堆朱塗長覆輪太刀拵 小烏丸」)です。

普段は、毛並みの短い焦茶色の尻鞘を纏わせております。

 

 

太刀掛けに立て掛けると、この様になります。
いつもは、もっと身長の低い太刀掛けを使っているので、尻鞘には当たらず、尻鞘の毛並みに癖付きはありません。

 

抜き身は、この様な切先両刃の小烏丸刀身です。

 

猿手が装着され、そこに手貫緒が結び付けられています。
太刀の柄としては、反りが緩やかになっている様です。

埋め込まれた「毛抜型(形)目貫」はあくまでも装飾で、縁金具寄りの目釘一体型・菊花図紋目貫が刀身を固定しています。

唐草文が彫られた縁金具に黒染切羽・円形大切羽が円形鍔を挟んでいます。
このスタイルの太刀は〝切羽の重ね〟が特徴なのですが、此方の太刀は切羽の重ねがありませんでした。

 

柄から黒染の円形鍔・小烏丸刀身を見た画像です。
太刀金具が燻銀で揃えられています。
珍しい堆朱塗の太刀ですから、太刀金具が金色でも色合い的には調和がとれていたと思います。問屋企画品でしたから、仕様変更をする余地はありません。

 

刀身の真ん中より先の部分から、両刃となっています。
棒樋と添樋が入っています。
この画像だと、あまり反りを感じることはありませんが・・・

真ん中あたりから反っていますね。

 

切先両刃部分の拡大です。
刃文は直刃に互目の二重刃文です。

よく観察すると、中央に見える鎬筋から、刃文の交差箇所と棒樋がずれていることが判ります。たいして気にはなりませんが、これが倉庫に眠っていた理由でしょうか?

 

燻銀の責金と石突金物です。燻銀だったからこそ、堆朱塗が際立った拵えになったのですね。

 

唐草文が彫り込まれた総覆輪です。燻銀というより銀ですね。

 

 

足金物の様子です。
上段が堆朱塗・小烏丸太刀の鞘、下段が武装商店様の「膝丸」です。
「膝丸」は佩刀時のバランスを考慮して一の足・二の足の間が幅広くとられています。
堆朱塗・小烏丸太刀は足金物の間隔が狭くなっており、佩刀時に安定を欠いてしまいます。

 

打刀拵の小烏丸刀身と抜き身で比較してみました。
こうして見ると、堆朱塗・小烏丸刀身は少々細身であることが判ります。
また〝反りが強くない〟と言ってきましたが、こうして見ると太刀らしく反っているのが判明しますね。

 

最近、取り扱った〝毛抜型(形)目貫〟の3振を抜き身で並べました。
シルエットはほぼ同じに見えますが、刀身で全くの別物であることが判ります。
上2振の小烏丸刀身も長さや反りが微妙に異なっているのを見て取ることができます。

 

一番上の堆朱塗柄の反りが緩やかであることが判ります。
下2振は柄の反り具合が同等ですね。釘一体型の菊花図紋目貫が小振の物であることも共通しています。
堆朱塗柄の菊花図紋目貫は、下2振よりもひとまわり大きな物になっています。
こうして見ると、下2振は同じロットで制作された物ではないか?と推測してしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

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