美術刀特注 「金熨斗刻青漆」大刀

何時、特注をお願いしたのかは忘れてしまいました。
「武装商店」様でお願いした特注の美術刀です。

「武装商店」店主様からご教示いただいた、1997(平成9)年に上野の東京国立博物館で開催された特別展図録『日本のかたな 鉄のわざと武のこころ』を入手して、それをもとに刀・太刀について学び、居合刀等の特注についての構想を練っていました。
この特別展が開催された頃はまだ幼かったこと、刀剣類にあまり興味を持っていなかったことを、今となっては大いに後悔しています。

図録『日本のかたな』に掲載されている写真を閲覧しながら、居合刀もしくは美術刀で再現可能な候補を考えていきます。
本歌(本物)と全く同じ物の再現は価格的にも不可能なので、ある程度を似せて既存の部品の組み合わせでまとめます。

今回採り上げるのは、図録『日本のかたな』に収録されている「金熨斗刻青漆」(きんのしきざみせいしつ)の大刀をイメージして特注した一振です。

筑後国柳川藩の初代播種・立花宗茂(たちばなむねしげ)の指料(さしりょう)として伝わる、寛永年間の製作の拵えと謂われています。

 

抜き身の様子です。

 

 

柄成りの様子です。
納品していただいた時は、黄色(金色風)の化繊柄糸が巻かれていました。
高級感を出そうと考え、化繊の柄糸を解き、キャメル(駱駝色)のヌバック(牛革の表側に鑢がけした物)を巻き付けました。
美術刀の価格が1万円超で、柄革が4~5mでだいたい5千円程度です。最近はこのような贅沢な遊び(改造)をしていませんが、数年前は柄巻の練習も兼ねて取り組んでいました。

 

薩摩柄なので、柄頭の金具はこの丸型一択です。
実戦で使った訳ではありませんが、すり傷がついていますね。

ちなみに柄革は、福岡県の「onigote.刀剣」様(現在閉店中?)から取り寄せた物を使用しています。
〝鹿革テイスト〟の牛革ヌバックの柄革で、しっとり感があり手に馴染みます。
駱駝色(キャメル)です。気持ち厚目の柄革です。

 

薩摩柄なので、目貫はありません。
厚目の柄革を巻いているので、柄が太めになっています。下方に見える鞘の太さと比較すると、如何に柄が太くなっているのかがお判りいただけるでしょう。

柄下地は、黒色の合皮シートです。
捻り巻きの様子は掲載しません。理由は横着して「菱紙」(ひしがみ)を入れずに巻いたので、菱形が綺麗に出ていないからです。
紙で自作せずとも、現在は樹脂製の菱紙が販売されていますので、この樹脂製の菱紙を使用することが多いです。ただ樹脂製・菱紙は紙製よりも厚いので、柄糸を巻き終えると柄が太くなります。スリムな柄を求める場合、面倒でも紙製の菱紙を入れましょう。

頻繁に柄を握ることはありませんし、況してや戦場に赴くこともありませんので、この柄の巻き替えをするのは暫く先のことになりそうです。
巻き替えする時には、柄下地の合皮シートは本歌を意識して金色を施した上でおこなう予定です。

 

「八つ木瓜に桐紋」鍔の金メッキ・ヴァージョンです。
本歌の鍔(形は判りません)が金色でしたので、色だけ合わせました。
金色の桐紋鍔はカッコいいので、これからも特注では使用していきたい物です。
現在は、お願いすれば居合刀用の切羽を入れてもらうことが可能です。その分、価格があがりますが。これを頼んだ時は、そういったオプションがありませんでした。残念です。

 

それでは鞘の様子を見ていきましょう。

鞘は「印籠刻」(いんろうきざみ)の加工が施されています。
本歌は腰元が「青漆」(せいしつ)といいますが、写真では黒漆に見えます。そこまで気にしていなかったので、鞘は単純に黒・金の切返しにしていただきました。

 

印籠刻が入っていますが、綺麗に黒・金の切返しが出来ています。

 

切返し部分から、金色に焦点を当てた画像です。
とても綺麗に金色が乗っています。刻みが良いアクセントになっています。

 

 

鞘尻には金色の鍬型鐺を装着していただきました。

本歌は丸鐺になっていますが、美術刀では似せた加工は不可能でしたのでいつもの様に鍬型鐺を装着しました。これはこれでカッコいいのです。

 

印籠刻みに黒・金の切返しは見事にハマりました。凄くカッコいいです。いつものことながら職人さん、有り難うございました。

 

差し表・差し裏は綺麗に仕上がっていますが印籠刻みの溝を彫る際、一周した彫りの合わせ目は微妙にズレてしまう様で、その箇所はあまり見えない鞘の下側にくるようになっています。また機械で木製の鞘を彫っているので、微々たる欠けも生じています。加工の作業上、こうした点は致し方ありません。

 

本歌の刃文は判りませんが、美術刀「千葉周作拵」の刃文(三本杉にも見える細かい乱刃)でお願いしました。

 

 

これまた何時のことか忘れてしまいましたが、居合刀用の鞘(豊臣秀吉の指料・金蛭巻朱鞘をイメージした物)が入手できたので、替鞘にしてみました。

おぉ、違和感が無いっ。

 

この金蛭巻朱鞘は、他の反りが合う居合刀・美術刀の替鞘としても楽しめます。
こうした遊びは楽しいです。

 

 

 

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