浄瑠璃寺門前「わらじや」吉祥天(紫彩色)

山城国の浄瑠璃寺を訪れるのは、だいたい朝の早い時間に出発して
 ・岩船寺から浄瑠璃寺へ
 ・いきなり浄瑠璃寺へ
というパターンです。
この行動をとると時間が早すぎて、浄瑠璃寺門前の店は営業をしていません。

そういうコトが続くと、浄瑠璃寺門前の店が営業している様子を見たくなるのです。
・・・ということで、何時もより遅めの時間で浄瑠璃寺を参詣した時、門前の土産物店「わらじや」様が営業中でした。

浄瑠璃寺の参詣を終えての帰り道、立ち寄らせていただきました。
色々と並べられていたのですが、折角なのでね浄瑠璃寺モデルの「吉祥天」を購入しようと考えました。
「わらじや」様の店内には、たくさんの「吉祥天」が並んでいます。
朱いの、白いの・・・同じ様な「吉祥天」が居るのですよ。

店内をぐるぐると巡り、隅っこの上の方に佇んでいたのが此方の「吉祥天」でした。

赤くも、白くもない。
・・・紫色の「吉祥天」ですよ。
店内で一体しか居ませんでした。
店のおばちゃんに声掛けして、この紫を纏った「吉祥天」を連れて帰ることにしました。

赤かったり、白かったりの吉祥天は一体二千円~三千円でしたがね。
この紫色の「吉祥天」は六千円でした。

大和国遠征の最終訪問地でしたのでね、軍資金も底をつくところだったのですが、出逢ったのも縁です。
おばちゃんに購入する旨を伝えると、店の奥からご主人が登場し「これはね、京都で造られたものなんだよね」等々、教えていただきました。

我々が未だ店内に居る間に、同じモノ(紫色の吉祥天)を補充していたのには閉口してしまいましたがね。

 

それは扨措き、この紫を纏った「吉祥天」の全体を観ていきましょうか。
360度、廻ってもらいました。

 

こんな感じです。
灰色の頭髪が特徴的ですね。

 

通常ですと黒髪ですがね。
灰色?
顔の周りだけ、ちょいと紫色っぽい色が混じっているのいでしょうか。
これでキャラクターが立っているのでよろしいでしょう。

 

頭部を、視点を変えながら観てみました。

像の材質・造り等がありますのでね、詳細な装飾を装備することは困難です。
でも「転法輪」を散らし、金色を差しているのは、なかなかな発想です。

 

 

目線を胸元へと移しましょう。

やはり緻密な「瓔珞」は難しゅうございますが、
しつこくならない程度で大小の装飾具を立体的に表現し、彩色しています。
本物の画像と比べると、だいぶ簡略化されていますがね。
材質・造りと値段を考慮すれば、最高の出来映えですよ。

 

胸元から膝上辺りまでの様子です。
本物と比べると多々相違点を見出すことができるのですが、それを気にさせないディフォルメがなされています。
製作上の制約があったとしても、「吉祥天」としての造形を〝調和を意識しながら〟為す表現力、素晴らしいですよね。
立派な作品となっていますよ。

 

左手には「宝珠」が乗せられています。
色の塗りがいまいち判り辛いため、宝珠っぽさがね・・・。

 

左手は掌(てのひら)をこちらに向け、衆生の願いを聞き届ける「与願印」(よがんいん)を示しています。
左手、土を焼いたものですが、何となく艶やかさを感じてしまいますね。

 

下半身の様子です。
粘土を型にはめて造っているのでしょう。
型をつくるための元を製作する段階で、どの様にディフォルメするのかが定まっているのですよ。
詳細は構造上省略なのでしょうが、それでも本物に備わっている特徴が失われていないと感じさせる造形は素晴らしいのです。

 

蓮台座(はすのうてな)は、この様な感じです。
いいんですよ、全体を観ればバランスがとれているのです。

 

 

後頭部を観ています。

こうして見ると、灰色の頭髪に見えます。
装束の色合いと、絶妙にマッチしています。

 

次は後方の様子です。

「瓔珞」の様子も表現されています。
彩色がなされていないのは、普段は見えない〝後ろ側〟だから?
恐らく、そうなのでしょう。

 

 

別にケチを付けている訳ではありません。
材質から所々に気泡・粗が見えています。

時間と心にゆとりが出たら、塗り直しをしようかとも考えたのですがね。
折角の〝紫を纏った「吉祥天」〟の趣・良さが損なわれてしまうと思い直し、現状維持となっています。
若しも手を加えるのであれば、同じ吉祥天をもう一体迎えにいきますよ。

 

 

角度を変えて、下から見上げています。
なかなか素敵な画です。

 

反対方向から。
粘土で造った人形ですが、長く浄瑠璃寺門前に居た訳ですからね。
善き雰囲気をも纏っておられますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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