美術刀特注 薩摩柄 青梨子地鞘

此方は「武装商店」様に特注をお願いした、長めの薩摩柄を用いた鞘を青梨子地塗りとした一振になります。

 

 

 

 

薩摩柄は、通常の美術刀の柄よりも長く、そして太くなっています。
原則、柄頭から鍔元までの太さは〝ほぼ均一〟なのですが、個体差があるので、物によっては弱めの立鼓(真ん中を絞り込む)があるように見える場合もあります。
柄下地は黒の合皮(他に茶色:柄糸の色によっては赤く見えます)で、目貫の装着は無く、柄頭は黒・丸型の一択となります。

柄を下から観た画像です。
目貫はありませんし、柄はほぼ均一の太さなので握り易い・難いということはありません。美術刀なので抜き差しをしない訳ではありませんが、飾り物なので握った時の感触よりも〝見た目〟を優先しています。

 

次は、鍔元を観ていきましょう。

この薩摩柄に合わせたのは「瓢箪透かし」鍔です。
はじめ〝瓢箪〟とは気付かずに、不規則な透かし鍔だとしか思っていませんでした。

 

 

3つの瓢箪の透かし図になっています。
表面は荒らした加工がされており、光の当たり具合で燻し銀のような輝きを魅せます。
大きからず・小さからずの程良きサイズで、これまで薩摩柄にこの瓢箪透かし鍔を合わせた特注を何振りかお願いしました。カッコいいですよ。

 

刃文は「互の目」です。
この特注当時、梨子地塗りの鞘は〝静かな美しさ〟というイメージを持っていたので、ゆったりとした細波の如き「互の目」刃文を選択しました。

 

下緒は、別の居合刀から外したイイ物を装着しています。
鉄紺の下緒が、青梨子地塗の鞘と善き調和をなしており、当面はこの美術刀に付けておくつもりです。

 

鞘には、プラスチック製の黒い鯉口が装着されています。
現在は金具になっていますので、柄頭・縁金具・鐺に合わせて選択することができます。
しかしながら、薩摩柄だと柄頭が黒一択なので、それに合わせて鯉口金具・鐺は自動的に黒色と限定されてしまいます。

栗型から鞘尻を観た画像です。
光が当たっていないと、下緒の鉄紺色と調和した濃い紺色に見えますが、

 

光を当てて、近づいてみるとこの様な感じになります。
おそらく二つとして同じ仕上がりになることは無いであろう、この青梨子地の美しさがこの画像からお判りいただけることでしょう。

 

「微塵塗り」(ラメ塗り)も綺麗ですが、「梨子地塗り」の美しさも甲乙付け難いのです。

 

 

 

此方は「青梨子地」の色合い比較のために今回の美術刀と、以前紹介した居合刀二振を並べたものです。
 上段‐色替え「姫鶴一文字」(新宿「魂琥李斗」様で特注)
 中段‐四神守護刀「青龍」(新宿「魂琥李斗」様で特注)
 下段‐今回紹介の薩摩柄 青梨子地鞘

居合刀と美術刀の鞘塗は同一で論じることはできないと思いますが、素人考えでは〝美しければ良い〟ので比較してみました。
同じ「青梨子地塗」であっても、この様に色味には個性が出て興味深いです。

 

5/18紹介「鞘に文字入れ?」で掲載した画像です。
この画像には今回の薩摩柄 青梨子地鞘が入っていませんが、ひとつ上の画像の下段と比較すると、美術刀の鞘塗りで同じ「青梨子地」とは言っても、ここまで色合いに違いが生じるのです。

やはり「青梨子地塗」は、奥が深いのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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