此方は上野・東京国立博物館の平成館特別展示室において、2011(平成23)年7月20日~9月25日まで開催された「空海と密教美術」展の売店で販売されていた、高野杉製「風」団扇です。

弘法大師・空海の自筆書状『風信帖』の冒頭にある「風」の字がプリントされた、杉材スライスを2枚重ねた団扇(うちわ)です。
価格は1,000~2,000円のあいだだったと記憶しています。
青地の『風信帖』が印刷されている袋に入って販売されていました。
2つ購入したのですが、保存用が〝行方不明〟なので、実用している物の画像を掲載しています。
裏面は、以下の様になっています。

購入当時は、袋に入った状態であっても、心地良い杉の香りが漂っていました。
袋から出して扇ぐと、新築和室で感じる様な杉の柱の香りを強く感じることができました。
残念ながらこの香りは、間もなく消え去ってしまいました。
おおよそ10年も経過してしまいましたので、現在はまったく匂いはしません。

正面・中央には弘法大師・空海の手による「風」の字が印刷されています。
『風信帖』は、国宝指定名称『弘法大師筆尺牘三通』(こうぼうだいしひつせきとくさんつう)といい、東寺(教王護国寺)が所蔵する、空海が良好に親交していた伝教大師・最澄に宛てた尺牘(手紙のこと)3通の総称です。
1通目…『風信帖』(ふうしんじょう)
2通目…『忽披帖』(こつひじょう)
3通目…『忽恵帖』(こつけいじょう)
はじめは5通があったといいますが、うち1通が盗難に遭い、もう1通は豊臣秀次(秀吉甥)からの依頼をうけて1592(天正20)年4月9日に献上したことが巻末奥書より知られています。
『風信帖』は、
風信雲書自天翔臨
披之閲之如掲雲霧兼
恵止觀妙門頂戴供養
不知攸厝已冷伏惟
法體何如空海推常擬
隨命躋攀彼嶺限以少
願不能東西今思与我金蘭
及室山集會一處量商仏
法大事因縁共建法幢報
仏恩徳望不憚煩勞蹔
降赴此院此所々望々忩々
不具釋空海状上
九月十一日
東嶺金蘭法前
謹空
という文面になっています。
空海が最澄ともうひとりの僧侶の3人で〝仏教について語り合いたい〟という意向を伝えたものです。
東寺の売店において、お手頃価格の蛇腹折り『風信帖』、なかなか高価な巻物『風信帖』が販売されています。
蛇腹折り『風信帖』は購入したのですが、現在〝行方知れず〟となっています。発掘すれば、ひょっこりと顔を出すかも知れません。

画像では正面から観ると万全な状態である様に見えますが、

横から観てみると「風」の字を中心に左右が彎曲しています。
また、スライスして貼り合わせた糊の粘着力が無くなり、剥がれてしまいました。
画像は、風流ではありませんが木工用ボンドで接着した状態のものです。
さらにヒビ割れや、小さいですが欠損した部分もあり、残念なことに購入当初の姿を保ってはいません。今後も、気付いた時に修理を重ねていくことにします。
京都の東寺や高野山金剛峯寺の売店で、恒常的に販売してもらいたい一品でした。
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