長物紹介 長巻 刃長一尺五寸

此方は、2008(平成20)年6/27に「武装商店」様HPで紹介された商品名「長巻 刃長一尺五寸」です。

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研究者の見解や現存史料の記載によって、「薙刀/長刀」と「長巻」については諸々の解釈・定義があるそうで、区別するポイントは明確になっておらず、一般的に〝同一の物〟と扱われることが多いとのこと。

単純な区別法としては、
 ①刀身に「横手」がある=長巻 / 刀身に「横手」が無い=薙刀(長刀)
 ②拵が太くて柄巻が施され、刀身長と柄が同じ程度のもの=長巻
  細めの柄に糸巻・革巻を施さず、蛭巻・籐巻があっても全面には施していない、
  柄が刀身長よりも遙かに長い=薙刀(長刀)
 ③大太刀を扱いやすく工夫発展させた「刀」=長巻
  長柄の先に「斬る」ための刀身を装着した「長柄武器」=薙刀(長刀)
・・・など、というところを観察すれば良いといいます。

 

こうした「長物」は、それ程多く市場に出回ることは無いだろう(ある一定の期間で終売となってしまうだろう)と予測し、早々に武装商店様を訪れ、店主様に
「つい先日紹介された長巻、まだ居ます?」と聞いたら
「買うんですか?」と逆に聞き返されてしまいました(笑)。

 

さて、各パーツを見ていきましょう。

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鞘は、鯉口金具と鍬型鐺が装着されている、黒石目塗のものです。

 

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右側の先が刀身、左側の先が柄という画像です。
刀身に掛かる負荷に耐えるため、茎に2本の目釘が打たれ、固定されています。
目釘が打たれているところは幅広の胴輪が、胴輪と胴輪のあいだには籐巻が施されています。

 

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向きが変わっている画像ですが、幅広の胴輪と籐巻の高さが均一です。
胴輪をはめて籐巻、籐巻を終えて胴輪をはめて・・・が繰り返されていることで、この部分を持った手に違和感を感じることはありません。
強く握ったとしても、滑らす時もスムーズに扱うことができます。

 

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長柄の部分には、黒呂の下地に黒石目の蛭巻が施されています。実際に戦場へ持参するのであれば、強度を高めるために細い薄めの金属板や、籐巻などをグルグルと施すのでしょうが、ここは〝蛭巻〟風の塗りで価格を抑える工夫がなされています

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強度は抜きにして〝蛭巻〟風の塗りでも充分カッコ良さが表現できています。
通常の居合刀の鞘でも〝蛭巻〟風の鞘塗はお洒落で素敵です。

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石突は槌目をつけた黒染めの物です。
「石突」というと、尖っていたり、扇型で刃部を備えている物をイメージしてしまいますが、この形は予想外に実戦的形態で、突き刺すというよりも〝突き倒す〟ことを意識しています。案外、コワいパーツです。

 

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鍔は、年輪鬼喰出鍔です。
脇差に装着すると年輪部分の主張が強すぎ、少々大きい感じがするのですが、この長巻の全長の中では違和感の無いサイズになっています。
鎺は黒染めの庄内鎺、切羽は黒染めの菊切羽が装着されています。
金具全体が黒染めで統一されています。

 

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刀身は、一尺五寸の「鵜の首造り」。
画像では長く見えますが、それは目の錯覚。実際は短いのです。

以前紹介した(6/3)「改造脇差 鵜の首刀身」と同じ長さなのです。

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 ( 左:長巻 一尺五寸  /  右:改造脇差 鵜の首刀身 )

 

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この角度からとか、

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この画像からだと、短い刀身であることがお判りいただけるでしょう。

 

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しっかりとした「鵜の首刀身」ですから、突くと確実に深く刺さってしまいます。
でも、力尽くで突く(刺す)と曲がったり、最悪折れてしまいます。
〝突き〟にも技術がありますから、昔の武士はある程度の身体構造に関する情報と、負傷した際の応急措置ができる程度の知識・経験を持っている訳です。

 

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単体だと、この「長巻 一尺五寸」がとても長いという印象を受けてしまいますが、

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通常サイズの居合刀と並べてみると、それ程長くはない。いや、〝意外と短い〟ことがお判りでしょう。

この長巻が発売された当時は、問屋企画品の薙刀は差込拭の物で、振り回すことなどできませんでした。少なくとも、この長巻は一体型太め・楕円形の柄ですので振り回しても折れることはありません。
実際に使用する(振り回す)ことはありませんが、こういう物が出ると欲しくなってしまい、結果的に秋葉原へ〝迎えに行く〟ことになるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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