大日如来 黄金箔仕様(京都浄瑠璃寺/BuddhismArt 株式会社謙信)

以前、紹介した株式会社謙信様が手掛けられた「BuddhismArt」シリーズのうち、京都・浄瑠璃寺のものをモデルとした「大日如来」像には、別Ver.が存在しています(いました)。
現在、謙信様の公式HPでは在庫切れとなっていますが、黄金箔仕様の大日如来というのが販売されていたのです。もう3~4年前あたりかと記憶していますが、既に在庫切れになって久しい、気になる逸品でした。

早めの駆足初詣で偶々、修理のため九体阿弥陀如来・中尊像が出張していることを受けて特別に灌頂堂本尊・大日如来像が浄瑠璃寺本堂の中央に鎮座しているのを目の当たりにし、帰って来てからAmazonで検索をかけてみたところ、通常版・大日如来の在庫を有している店舗を発見しました。12/30に発注し、1/1に到着しました。これが2/11に紹介した大日如来像です。ちなみに、これが在庫最後の1体だったようです。

通常版・大日如来が入手できたことにより、〝在庫切れ〟黄金箔仕様・大日如来の存在が妙に気になり、ネット上での捜索を始めました。すると間もなく楽天市場に登録されている店舗で、製造・発売元の謙信様HPでは在庫切れとなっている黄金箔・大日如来の在庫を有しているところを発見、即座に購入する手続きをとりました。年末・年始ということもあり、店舗からは音沙汰無しの状態が続きました。心の中では「在庫が無いのに管理がいい加減で〝在庫あり〟になっているのではないか?」とか「年明けになって〝申し訳ありません、在庫がありませんでした〟という詫びの連絡が来るのではない?」というネガティヴな考えが頭の中で浮かんでは消えていきました・・・。
半ば諦めていたところ・・・1月中旬に店舗から発送済の連絡があり、その2日後ほどで何と世間的には入手不能となっていた黄金箔の大日如来を迎えることができたのです。
もちろん、これが在庫最後の1体でした。

 

 

十数年ぶりに浄瑠璃寺を訪れたこと・・・
浄瑠璃寺本堂の中尊が出張中であったこと・・・
その代理として通常非公開の灌頂堂本尊の大日如来が浄瑠璃寺で我々を迎えてくれたこと・・・

これらがきっかけとなって、通常版・大日如来と黄金箔仕様・大日如来2体を入手することができたのです。
こうして今、振り返ってみると謙信様の大日如来2体を得るための京都・浄瑠璃寺訪問だったのかと感じています。

 

それでは、2021(令和3)年1月中旬に到来した黄金箔仕様の大日如来を見ていきましょうか。

蓋の真ん中が、光を反射しています。
これでは、何という文字が記されているのか判りませんね。

 

光っていたのは「黄金箔仕様」の文字。

 

この箱から現れたのが、・・・

この金色に輝く、目映いばかりの大日如来像にございます。

 

360度ではありませんが、転回させてみます。

 

 

表情のアップ画像です。
〝金色を塗った〟のではなく、〝黄金箔を貼った〟輝き。やはり違いますねっ。

 

2005(平成17)~2006(平成18)年にかけて公益財団法人住友財団の助成をうけ、東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻保存修理彫刻研究室による修理がなされました。
この時の修理・修復において、江戸時代の修理で重ね塗りされた泥下地・彩色が全て取り除かれました。
その結果、造像の際に顔面部の髪際、顎の先端、耳・膝の張り出し部分に「錐点」(きりてん)が打たれ、図面頭面に基づいた仏像製制作がなされていたことが判明しました。
錐点は、全体の輪郭や体付きの比率を整えることを目的とした座標点(目印の孔)のことです。

 

頭髪は高さのある髻が結われています。天冠台を装着していますね。
天冠台の上に宝冠を載せることが多いのですが、浄瑠璃寺・大日如来の宝冠は失われています。

 

天冠台の上縁が外側に反り返っています。
髪の毛の流れも丁寧に刻まれています。

 

耳の形状は、耳朶を長くした耳朶環状(じだかんじょう)となっています。
耳孔(じこう)は表現されていません。
耳の後方から肩にかけ、左右両方に垂髪を広げながら垂らしています。

 

左手の人差し指を右手で包み込む「智拳印」(ちけんいん)を結んでいる、金剛界(こんごうかい)の大日如来です。
右手で仏を、左手は衆生(しゅじょう:人々のこと)を表しています。
左右の腕には臂釧(ひせん)が、右手首には腕釧(わんせん)が嵌められています。

 

下半身は、右足を外にした「結跏趺坐」(けっかふざ)のスタイルになっています。

 

像の背面を見てみましょう。
条帛(じょうはく)は、左肩から右脇へと斜めにかけられており、左胸前において結ばれ、一端は左肩から背面へと垂らし下げられています。
折り返しが付いている裾(きょ)を着けて、更に腰布(こしぬの)を巻いています。

 

 

浄瑠璃寺の大日如来像は、圓成寺の大日如来像と像容が酷似していることはよく知られていました。
3次元デジタル計測をした結果、浄瑠璃寺と圓成寺の大日如来両像の輪郭は見事に一致することが判明しています。
2像のデジタルスキャニングから得られた計測データをもとに正中断面図を作成したそうです。正中断面図とは仏像の体軀を正中線で縦割りとし、それを側面からみた輪郭のことです。そして圓成寺の大日如来の膝張りと同寸に調整すると、浄瑠璃寺・圓成寺の大日如来像の正中断面図がほとんど重なり合うことが判明したといいます。
別に康慶の作で静岡県瑞林寺が所蔵する地蔵菩薩像の正中断面図とも一致したといいます。
これらを総合して考えてみると、
 浄瑠璃寺の大日如来像
 圓成寺の大日如来像
 瑞林寺の地蔵菩薩像
の3像は、康慶の図面により制作された、康慶が主催する工房の仏師が手掛けた像であるということになるのだそうです。

藪内佐斗司氏/髙宮洋子氏による「浄瑠璃寺灌頂堂大日如来坐像保存修復報告」
『東京藝術大学美術学部紀要』第45号(2007年12月)によれば、
浄瑠璃寺・大日如来像は1176~1186年あたりに、初期慶派の奈良仏師によって制作されたという推測がなされています。
造形的にも鎌倉時代の力強く張りのある体軀と比較すると、細身で衣文の彫りも浅いところ等から平安時代後期の定朝様を踏襲しているという分析がなされています。

 

偶々背景が暗くなって、箔貼りの像の輝きが強調された画像が撮れました。
しかも下から見上げているので、神々しさと優しげな迫力が伝わってきます。

株式会社謙信様のBuddhismArtシリーズは現在、大日如来像2種しか所有していませんが、他のラインナップも機会があれば購入して紹介したいと考えています。

 

 

 

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