年一回の篁千礼氏による特別彩色「Limited」シリーズ。
2025(令和7)年は山城国広隆寺モデル「弥勒菩薩」、通商「宝冠弥勒」の特別彩色でした。
注文受け付け期間は、2025(令和7)年6月12日(木)~6月25日(水)という、案外短いものでした。
期間内の予約注文をしたため、2025(令和7)年8月下旬に感性の連絡をいただきましたのでね、迎えにいってきました。

本物(山城国広隆寺モデル)は、赤松の一木造と伝わっています。
現存の状態は赤松の素地が殆どですが、各所に残存する金箔から、造像当初は全体が金箔で覆われていたことが確実視されています。
彩色師の篁千礼氏は、彩色のイメージが湧いてくるそうですよ。
何時もお世話になっているスタッフ様からうかがいました。
360度、回しました。

キラッキラして、眩しいの(笑)。
「弥勒菩薩 2025Limited」は金泥を幾重にも重ね塗りした深みのある金色のお身体をしていますからね。
ではね、頭から観察していきますよ。
先ずは、宝冠です。
「宝冠弥勒」の通称がありますからね。

山城国広隆寺の本物は、台上に御座しわすのでね。
こうして上から観ることは叶いませんの。
ちょいと目線を下ろし、

弥勒菩薩の「お顔」が見えるところまで移動しました。
頭髪部分は青く塗られていますが、下地の金色が判る様な重ね塗りです。
この青、「瑠璃」(ラピスラズリ)なのだそうです。
正式名称は存じませんが、調べてみても判らなかったので仮に〝透かし塗り〟としておきますね。
篁千礼氏の特別彩色Limitedシリーズ、ここ数作に〝透かし塗り〟が用いられ、溜息が出る程の美しさを演出されていますからね
造像当初は全身に金箔が張られていたと謂いますからね。

本物(山城国広隆寺の弥勒菩薩)は聖徳太子(厩戸皇子)が、外交顧問をしていた太秦氏の族長だった秦河勝に下賜したと謂われていますね。
秦河勝は、この像を秦氏の氏寺「広隆寺」に納めたのだそうですよ。
本物(山城国広隆寺の弥勒菩薩)は台上に御座しますから、この様にお顔に近付くことができません。

でも、こうしてインテリア仏像(仏像フィギュア)を手元に置くと、像容を手軽に学ぶコトができます。
現場では拝観することができない位置・角度から仏像を観察することができるのは、とても楽しい遊びでございますよ。
弥勒菩薩と、目が合ってしまいました。
こういうことも、本物とは実感できませんからね。
ちょいと寄って、斜めから観察しています。

あらっ、目の様子が、とってもリアルだこと。
目尻に赤味を注していることで、目に生命感が備わっていますね。

耳朶が顎の辺りまで垂れています。
これは衆生の声を聞き届け、救済するという意味を持っているのだそうです。
左右の斜めから観ています。

両の耳朶には大きな孔が開いています。
菩薩になる前に装着していた耳飾りの名残だそうですよ。
かなり大っきくて重たい耳飾りだったんでしょうね(笑)。
ちょいと引いて

右手を口元に寄せて、思案していますね。
思惟手(しゆいしゅ)」と呼ばれいます・
この姿勢で、56億7千万年後に衆生を救済するため物思いに耽っているのだと謂います。
神も仏も、時間の感覚が常軌を逸していますからね。
本物(山城国広隆寺の弥勒菩薩)の右手、諸事ありまして何度か補修されています。
イSム「弥勒菩薩」は、そうした痕跡は再現されていません。
まして今回扱っているのはLimitedシリーズですからね、金泥の特別彩色て、鮮やかな思惟手ですよ。
更に寄ってみます。

首に3本の皺(しわ)がありますね。
これは「三道」(さんどう)と云い、佛が悟りの境地に到達するまでの
「見」(けん)
「修」(しゅう)
「無学」(むがく)
3段階を表現しているのだそうです。
前の方へ回り込みます。

上半身に装飾品を身につけておらず、スッキリしています。
金泥の重ね塗りが、とても美しいですね。
金泥なので、単調なベタ塗りとは違っい、場所によって金色の表情が変化に富んでいます。
本物(山城国広隆寺の弥勒菩薩)は造像当初、金箔を纏っていたということですが、この金泥の重ね塗りとは違った印象だったことでしょう。
弥勒菩薩の斜め右前から観ています。

穏やかな姿勢で、素敵ですね。
頭髪の「瑠璃」、腰周りの「白緑」(びゃくろく:孔雀石からつくられたオパールグリーン)が、金泥と相性がよろしい様で。
では視点を下ろしていきます。

左手は、右足首を軽く押さえています。
下半身を覆っている裳(も)は、
辰砂(しんしゃ)
白緑(びゃくろく)
の絶妙なバランスで彩られています。
右足は、左大腿部に乗せられています。
「半跏」(はんか)というスタイルですね。

足の裏が・・・平べったいの。
指の付き方も、凹凸を余り感じない足の裏も不自然なのですが、横向きなので目立ちません。
正面から「半跏」の様子を観ています。

辰砂(しんしゃ)に金色等で描かれている円形の模様。
これは「生命の花」だそうです。
生命の創造パターンや宇宙の根源を表現しているとのこと。
壮大なスケールの話になっています。
赤系と緑系は相性がとてもよろしいので、裳の美しさが大変際立っています。
弥勒菩薩の後方に回り込みます。

頭髪は金地に「瑠璃」を乗せて表現しています。
「透かし塗り」なので、実際の肌と頭髪の重なり具合にも似た雰囲気が出ています。
・・・それはそうと、この記事を書いている際に偶然気付いたのですが、この「弥勒菩薩」2025Limitedの後頭部、顔が浮かび上がっている様に見えませんか?
篁千礼氏の遊び心?
それとも「河越御所」が屡々遭遇する怪奇現象?
断っておきますが、「河越御所」が手を加える様なことはありませんよ。
篁千礼氏特別彩色「弥勒菩薩」2025Limitedは、とっても高価なのですよ。
手を加えるハズ、無いぢゃないですか。
背中の様子です。

前方からだと気付きませんが、なかなかな猫背です(笑)。
その体勢で56億7千万年は辛うございませんか?
仏だから人知を超越していますか・・・。
腰周りの様子です。

裳が折り返し部分が「白緑」で塗られています。
菌の下地に「重ね塗り」されていますのでね、立体感が表現されています。
臀部は裳の表側、「辰砂」で彩られています。
円形の模様「生命の花」は、内側で三角形が描かれており、各三角形の交差点にはプラチナが注されているとのこと。
凹凸や襞(ひだ)の部分に合わせた描線が見事ですね。
「半跏」の正面から観ています。

裳の動きに合わせて「生命の花」が描かれています。
凄いんですよ。
機会でのプリントではありません。
篁千礼氏が、一筆一筆(ひとふでひとふで)丁寧に手描きされています。
描線と彩色、とても細やかであり、描線もほんの僅かですが太さが違ったり、歪んだりしているところもあるのですが、そこが〝温かみ〟に繋がっています。
物凄く美しいのですよ。
余りにも素敵なので、寄っちゃいます。

上部は、者の折り返しが「白緑」で塗られ垂れています。
下部は、裳の裾が揺らめいて、裏地の「白緑」が見えています。
柔らかい布の動きが伝わってきますね。
「生命の花」中、▼の交差点にプラチナが注されているのが判りますね。
かなり手間がかかっています。
弥勒菩薩がダイアに座っている様子を、右側から観ています。

「辰砂」の裳に描かれた「生命の花」。
岩・襞に合わせて、見事に描かれています。
流石はプロフェッショナルの技巧ですね。
また、寄って観ます。

造形も細やか、彩色も繊細・・・高額になるのは・・・致し方ありませぬn。
「弥勒菩薩」の真後ろに回っています。

「弥勒菩薩」が座っている台座は「榻座」(とうざ)」と云います。
この「榻座」には、紫色にパール粉を乗せて華麗さを演出しています。
シースルー生地が掛けられている感じが伝わってきますね。
紫色にパール粉を乗せた「榻座」、横から観ています。

柔らかな布生地の様子、彩色で表現されているのですよ。
これまで篁千礼氏の特別彩色を数多拝見してきましたが、〝彩色に感動する〟という素晴らしい体験をさせていただいております。
彩色の技術って、凄いんです。
「榻座」の下部の様子です。

裾の翻っている様子、こうして塗られています。
框座(かまちざ)との境目②「白緑」がわき出しているかの様に塗られています。
通常では思いも寄らない、彩色の専門家ならではの感性・技巧ですね。
「榻座」、左側の様子です。

金泥・辰砂・白緑・紫(+パール粉)が絶妙な調和を見せていますね。
難とも美しい・・・、将に芸術品ですよ。
突出した框座(かまちざ)に、左足が乗せられています。

一見しては気付かなかったのですが、「イSム」様公式HPで確認すると、
白緑と紫のコラボ
が為されているとのこと。
確かに、2色が交互に塗られていました。
篁千礼氏による特別彩色「弥勒菩薩」2025Limitedの華麗なるお姿。
皆様、お楽しみいただけたでしょうか?

全体像からも「麗しさ」を体感していただけることでしょう。
斜め下から見上げています。

インテリア仏像(仏像フィギュア)があればね、こうして多訪問から仏像の姿を堪能することができます。
篁千礼氏のLimitedシリーズ、期間限定の完全受注生産となっておりますが、受注生産の受付期間が終了しても「イSム」様に相談すれば応じてもらえるんですよ。
但し、価格はほぼ倍(もしくはそれ以上)になるそうです。
また、篁千礼氏のお仕事状況にもよるというので、感性は随分と先のことになるようですよ。
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