特別企画① 「安底羅大将」像の比較検証

東京・日本橋「奈良まほろば館」様に居るという「国宝 十二神将像」。
なかなか機会が無く、実物を見たことがありません。
セット販売でしか対応してもらえないというので、精神的ハードルが高くなっていることも機会を乏しくしている原因です。
でも、以前ネットで持ち物が紛失した状態という1体を、極めて安価に入手することができました。
「払子」は仏具の一種で、獣毛・麻などの繊維を束ねて柄をつけ法要の際に虫払いをする物でしたが、のちに煩悩を払う法具となったと謂います。
大事な払子を失ったために迎えることができた「同朋舎メディアプラン」安底羅大将が右側です。左側はイSム「掌」の安底羅大将。2体を見比べてみましょう。

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    ( 左:イSム「掌」)安底羅大将  / 右:同朋舎メディアプラン版 安底羅大将 )

サイズは勿論、姿形はそっくりです。

「掌」安底羅が白っぽく感じるのは、胡粉入りの塗料で彩色をしているからです。一見しただけでも粘土造形の表面のざらついた質感が表現されています。
「同朋舎」安底羅は通常彩色での表現ですので、表面が滑らかで艶(光の反射)が出ています。

 

新薬師寺の安底羅は、肌の色に似せた赤い顔料が比較的良く残存しており、ところどころ赤みがかった彩色が剥落し下地の漆塗りが、また彩色自体が剥落して塑土の地が見えています。
掌・安底羅の顔全体には黒っぽい彩色が施されています。よく観察すると赤みがかった黒の彩色です。
同朋舎・安底羅の顔は塑土の地をベースに漆の下地が顕著に残っている箇所を彩色で再現しています。

     ( 左:イSム「掌」)安底羅大将  / 右:同朋舎メディアプラン版 安底羅大将 )

色つきの水平線で、各部位の位置を比較してみました。

 

僅かながら「掌」安底羅の身長が高く、ほんの少々〝小顔〟であることが判ります。
右腕は「掌」安底羅のものが短く表現されています。
こうして観ると、他にも〝高さ・長さの違い〟を見て取ることができます。

      ( 左:イSム「掌」)安底羅大将  / 右:同朋舎メディアプラン版 安底羅大将 )

角度を変え、斜め上から観てみます。

「同朋舎」安底羅の方は各部位の境目がはっきりと判ります。
「掌」安底羅の部位境目が明確ではないのは、表面に胡粉入り彩色が施されているからです。

鰭袖など〝布の翻り〟といった動きがある箇所も、ほんの僅かですが相違を見出すことができます。

また、垂れ下がった裳の残彩色も「掌」安底羅は赤味を強めとしています。「掌」安底羅は赤味を随所で再現しているのが特徴と言えるでしょう。


背面に回ってみましょう。

      ( 左:イSム「掌」)安底羅大将  / 右:同朋舎メディアプラン版 安底羅大将 )

「掌」安底羅の方が若干腰高になっています。スマートな造形になっているということですね。

特に顕著な違いが、

       ( 左:イSム「掌」)安底羅大将  / 右:同朋舎メディアプラン版 安底羅大将 )

〈 目立つ順に相違3点を挙げています 〉
赤枠・赤文字…甲冑を締めている紐の再現は共通ですが、
        「同朋舎」安底羅の背面には結び目があります。
        「掌」安底羅の背面に結び目はありません。

青枠・青文字…表甲の腰~臀部にかけて、
        「掌」安底羅には鱗状の模様が彩色で表現されています。
        「同朋舎」安底羅は彩色残痕表現はありますが、鱗状模様の再現はありません。

緑枠・緑文字…青枠・青文字との連動で、甲の形態は同様ですが後頭部に
        「掌」安底羅には線刻模様が彩色で表現されています。
        「同朋舎」安底羅には特に模様等の再現はなされていません。

制作時の設定や技法によって彩色残存状況の彩色復元に相違が生じていますが、それは優劣ではありません。
「同朋舎」十二神将を画像で初めて見た時は衝撃でした。12体が揃っている現物の壮観さに未だ触れていませんが、今回の比較検証によって「掌」十二神将との違いに気付いてしまいました。販売が継続しているのであれば、購入の機会をうかがってみようと思います。
また、「掌」十二神将の胡粉塗料を用いた彩色による彩色残存状態の復元という極めて高度・難度の高い彩色は、各像個別の観察でも実感していますが素晴らしいものです。
職人さんが見本を参考にしながら、ちょっとした個体差は生じるのでしょうけれども、手作業の塗りによってこの造形を創り上げていることは驚愕の職人技であることは力説させていただきます。
イSム様には、これからもこの素晴らしい技術を以てインテリア仏像を生み出していただくことを期待しております。

因みに、新薬師寺・安底羅の背面の結び目はどうなっているのか?その点を確認するため、また新薬師寺を訪れようと考えています。
勿論、豪勝の十二神将も迎えに行く予定ですよ。

 

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