山城国晴明神社(京都府)

2020(令和2)年末の、ちょっと早めの駆足初詣で訪れた「晴明神社」のお話です。

陰陽師・安倍晴明(あべのはるあきら:921~1005)は1005(寛弘2)年に85歳で亡くなりました。古典文学作品には彼の逸話が、同時代の公家の日記には彼の活動の様子が記載されています。

安倍晴明が没してから2年後の1007(寛弘4)年、一条天皇の勅命により彼の邸宅跡に社殿が創建されました。創建当初の広大な敷地は次第に縮小され、現在は一の鳥居が堀川通に面し、二の鳥居は葭屋町通(よしやまちどおり)に面する構造になっています。一の鳥居前に京都市バス「一条戻橋・晴明神社前」停留所がありますので、 バス利用が確実です。

堀川通に面した入口にある晴明神社の碑です。旧字体なので風情がありますね。

幕末以降、氏子の皆さんが中心となり社殿・境内の整備が進められ、1950(昭和25)年には堀川通に面するように境内地が拡張されたそうです。

晴明神社
〒602-8222
京都府京都市上京区堀川通一条上ル晴明町

一の鳥居に掲げられている社号額には五芒星の社紋が据えられています。

一の鳥居の左右にどっしりと構えています。
右側の口を開けている(阿形)のが獅子、左側の口を閉じている(吽形)のが狛犬だそうです。

一の鳥居をくぐると、左手にミニサイズの一條戻橋があります。式神も控えています。
こちらは1995(平成7)年に掛けなおされた一條戻橋の旧親柱・部材を使用して造られたものだそうです。

一條戻橋にはいろいろな逸話が伝わっています。
この再現・一條戻橋では感じることはありませんが、ここから南側約100m程にある堀川に架けられている渡れる一條戻橋の近辺には日によって、人によって〝感じる〟ものがあるかも知れません。

歩みを進めると右手側に「日月柱」と呼ばれるモニュメントがあります。

〝陰陽〟を表現しているのだそうです。

 

ここを抜けると、車一台が通れる程の葭屋町通があります。
葭屋町通に面して二の鳥居が建てられています。

二の鳥居の社号額は、1854(安政元)年に〝最後の陰陽頭〟土御門晴雄(つちみかどのはるたけ/はれお/はるお)が揮毫したもので1985(昭和60)年まで二の鳥居に掲げられ、それ以降は本殿にあった社号額を2017(平成29)年に新調(忠実再現)して再び二の鳥居に掲げられたのだそうです。

二の鳥居に並んでいる晴明神社の碑・その2です。
創建当初の境内は、東は堀川通、西は黒門通、北は元誓願寺通、南は中立売通まであったといわれ、かなり広大な敷地を有していたと考えられています。

               (Googleマップをもとに作成)

しかし度重なる火災、特に応仁・文明の乱による戦禍、更に1586(天正14)年から始まった羽柴秀吉による聚楽第の建設などにより境内の規模は縮小していき、社殿も荒廃したままの状態が続いた様です。

二の鳥居の左手側には「千利休居士聚楽屋敷趾」の碑があります。
聚楽第建設にあたって羽柴秀吉から千利休(千宗易)はこの地に屋敷を与えられたといいます。晴明神社境内にある「晴明井」から湧き出る水で茶を点てたことが想像できます。

 

桔梗紋が据えられている四神門の扉です。
神社が開いている時間は開かれていました。参拝時間外は閉じられているのでしょう。

 

二の鳥居をくぐり、すぐ右手の奥に「晴明井」(せいめいい)があります。

手前には北斗七星を象った石が埋められています。

水は飲用が可能だというのですが、コロナ禍ではなくともこの状態では飲むことはできかねます。

 

手水舎に居る龍の口からは水がチョロチョロと流れていました。

 

コロナ対策ということで、ほとんどの手水舎では水を溜めていない状態が多いです。
この様な枯(かれ)手水舎であっても、各寺社は工夫をされていますよね。

晴明神社では、

白石の中に晴明桔梗が並べられています。こうして神社の特徴や性格を表現しているのを観るのは楽しいことです。

 

はい、やっと本殿に辿り着きました。

主祭神は、「安倍晴明御霊神」です。
現在の本殿は1905(明治38)年に再建されたもので、彼方此方に晴明桔梗が遇われています。
まあまあな参拝者が居ましたが、隙を突いて正面から撮影することができました。
普段なら必ず人影が入ってしまうくらい人気の神社です。

1988(昭和63)年に刊行された夢枕獏氏の伝奇小説『陰陽師』が単行本としてシリーズ化(文庫本は1991年刊行)され、1993(平成5)年には岡野玲子氏の漫画『陰陽師』(単行本は白泉社から)で一気に安倍晴明の知名度が高まりました。この晴明ブームをうけ、2001(平成13)年には野村萬斎氏主演の映画「陰陽師」が、2003(平成15)年に同じく野村萬斎氏主演の映画「陰陽師Ⅱ」が上映され人気を博しました。
漫画化・映画化によって、京都の晴明神社を訪れる参拝客は急激に増えたといいます。

本殿右手側には「厄除桃」が配されています。
魔を払う力を持つ桃のモニュメントは、参拝客に撫でられ艶が生じていますね。

本殿左手側には祭神の安倍晴明の座像が配されています。
有名な肖像画をモデルに造られたといいます。ちょっと違う佇まいになっているように感じてしまいます。平面を立体化するのは極めて難儀な行為ですからね。

参拝客が脚を触って撫でていくので、脚に艶が生じています。

陰陽師・安倍晴明の膝元ということで晴明桔梗だけでなく、陰陽を象ったものを彼方此方にあります。

本殿右側には楠の神木がズッシーンと立っています。
樹齢300年以上といいますから近世になってからのものですね。
神木に触れることを促していますが、触れるだけにしましょう。撫でるなどすると擦れて樹皮が痛みますからね。

 

さてさて、授与所(売店)では朱印(書き置き)をもらいました。

朱印帳・神社版は晴明神社から始めたので、思い入れが深いのです。
ここ最近はコロナ禍の影響により、朱印帳への書き込みをしてもらえないのが残念です。
書き置きの挟み込みが増えてきているので、どこかで貼り付けて整理をしないとなりません。

そして今回の参拝では「鈴まもり」2体を購入しました。

お洒落にコーティングされた、綺麗な白色と桃色の鈴に五芒星が施されています。
涼やかな音色が心地良く、それでいて鳴らした音が鋭く飛んでいくようなイメージを受けます。これは善きグッズを手に入れたと喜んでいます。

 

 

これまでは単独で訪れることが多かったのですが、今回は複数の連れがおりました。
堀川通の反対側から歩み進めたので、通り過ぎてしまいました。〝避けられているのか?〟と一瞬感じたのですが、携帯ナビで無事到着しました。
境内に入りましたが、以前訪れた時と雰囲気が違っていました。そもそも祭神とされている人物の職掌・性格を鑑みれば、歓迎してくれる様なことはありませんから。
特に願い事をするでもなく「また来る」と言って、境内を後にしました。

 

 

 

 

 

 

 

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