兜跋毘沙門天(イSムTanaCOCORO 300体限定)

東寺モデル「兜跋毘沙門天」は、既にS-Classサイズで2021(令和3)年10月27日で発売されています。
併し乍らS-Classということで価格は驚異の297,000円(税込)。
オトナが一箇月働いて得られるギャラくらいですから、敷居が高いのです。
値上げされたら30万の大台を突破してしまいます。

「東寺の全面協力のもと」に制作されたS-Class兜跋毘沙門天が、2024(令和6)年1月30日にスケール・ダウンして発売されました。
購入し易いTanaCOCOROサイズですよ。
購入オーディションの様子は、先日掲載しましたが、今回は連れ帰ったTanaCOCORO「兜跋毘沙門天」の様子を見ていきます。

TanaCOCOROサイズということで、高さは約20㎝。
本物の身長は189.4㎝。
身長の割に顔が小さく、大凡8頭身(宝冠から足首まで)の腰高なので異国情緒(外国人らしさ)が強調されています。

 

例の如く360度、まわってもらいましょう。

 

 

 

TanaCOCORO「兜跋毘沙門天」は、小さいながらも造形がこと細かいのが特徴です。
この造形は中国・唐代に流行し、中国産の桜材で造像され、入唐僧によって日本へもたらされたと推測されています。

 

頭には大きな宝冠を被っています。

正面には孔雀が据えられ、

 

左右にはそれぞれ武装した人が表現されています。

 

宝冠は、現在4面構成ですが

4面ののうち、後方の1面は後世の補作と考えられています。

 

視点を下ろして、顔を観ていきましょう。

外国人らしい面長の顔をしています。
眉間は盛り上がりを、眉はうねりを見せています。

大きく目を見開いています。
本物は瞳に黒色石を嵌め込み、隙間に練物を埋め込んでいます。
TanaCOCORO「兜跋毘沙門天」は、点をうつように瞳を表現しています。
もっと瞳は大きくすると良いと思うのですが、大きくし過ぎると〝圧が強く〟なってしまうので、部屋で飾るのであれば、これくらいが丁度良いのかもしれません。
只でさえ目尻が吊り上がっているので、目力(めぢから)は抑えめが良いのでしょう。
やや口を開けていますね。

 

目線は左手の宝塔あたりを見ています。
斜め下から見上げると、視線が合ってしまいます。
S-Classほどではありませんが、充分に〝睨まれている〟感を受けてしまいます。

兜跋毘沙門天は、裾長の金鎖甲(きんさこう)を纏っていますが、その上には中国風の革鎧を重ねているデザインとなっています。

 

肩から胸甲を貫き、腹部の獅噛までが縦のベルトで繋がっています。
身体全体が引き締まっており、特に腰高のベルトを獅噛が咥えています。
獅噛にはしっかりと瞳が描かれています。
こうした細やかなところが、獅噛の険しい表情を際立たせているのです。
素晴らしい。

単にゴチャゴチャしている訳ではなく、鎧の構成を精密に表現しているのですよ。
凄いですよね。

 

左腕全体も、

 

右腕全体も

段々の防具を装着しています。
この段々が「海老籠手」(えびこて)と呼ばれています。
兜跋毘沙門天の兩腕は細いのですが、この海老籠手によって細目の腕を厳つさでカバーしています。

 

海老籠手により、腕に隙間がありません。
この様な防具を装着して腕の可動域は確保できているのか・・・なんてのは杞憂です。
静止した造形物ですから、心配は要りませんよ。

 

両肩には「獅噛」(しかみ)があり、

 

そこ(獅噛)から、海老籠手を装着した腕が出ています。
獅噛にそれぞれ瞳が描かれていますよ。

 

左の掌(てのひら)には

「宝塔」を乗せています。

もとは木製の宝塔を持っていたそうですが、残念なことに現在は失われています。
イSムTanaCOCORO「兜跋毘沙門天」では、失われた宝塔が補われていますよ。
真ん中には金箔が貼られていますね。
芸が細かい。

 

右手には

三叉戟を携えています。

こちらも後補だそうですよ。

 

獅噛が咥えているベルトで革鎧が抑えられている表現になっています。

腰の獅噛は牙をむき、造形上ですが重たいであろう金鎖甲を腰元で引き締める役割を果たしています。
本物の獅噛は右眉、そして嵌め込まれた木製の瞳が後世の補作だそうです。
制作当初、獅子の髭・表情は緑の彩色が為されていた様ですよ。

 

このボコボコが、鎖を編み込んだ裾長の「金鎖甲」(きんさこう)です。
その上に革製の中国風の鎧を重ねています。
余計なことですが、実際にこうした構造の鎧を重ね着すると動きにくいですよね。
異国人の好みは理解し難いので、構いませんがね。

この造形を考慮すると、衣の上に金鎖甲を重ね、更に革鎧を重ねています。
歩く際に歩幅が狭くなってしまいますね。
馬に跨がるのも難しいでしょう。
でも、その様なことは気にしなくても良いのです。
伝説では、地中から突然現れた自然を超越した存在らしいですからね。
歩いたり、乗馬のことなぞ無用なのですよ。

 

地面から沸いて出た「地天」が、兜跋毘沙門天の足元を支えています。
涼やかな表情の「地天」は重そうな兜跋毘沙門天を兩の掌で支えています。
地天が従えているのは「毘藍婆」(びらんば)/「尼藍婆」(にらんば)という2匹の鬼です。

地天/毘藍婆/尼藍婆は3材から造りだされた説と、1材から彫り出された説があります。
どっちなのでしょうね。

 

兜跋毘沙門天の足元は

 

 

海老籠手ならぬ海老脛当(えびすねあて)?
一分の隙もありません。

 

 

 

ゴツゴツした前面と比べると、後方の造形は、見えないからか〝すっきり〟しています。
これも武人いや、武神の心得を表現しているのでしょうかね。

 

 

東寺「兜跋毘沙門天」は、〝謎の多い〟木像といいます。
東寺の『東宝記』によると、もとは平安京羅城門の二階に安置されており、羅城門倒壊後に東寺へと移されたと伝わっています。
しかし研究者による『東宝記』の内容検討、兜跋毘沙門天像の様式調査などから疑義が指摘されてもいます。

また、僅かに残存する彩色から、
 金色:宝冠/海老籠手/金鎖甲/沓
 赤色:中国風の鎧(胸部・兩肩の獅噛・腰廻り)、金鎖甲の下に着る衣、脛当の装飾
 緑色:宝冠装飾の下地、胸甲を吊すベルト、腹の獅噛、金鎖甲の縁、脛当
と推測されています。
なかなか煌びやかお姿だった様ですよ。

TanaCOCORO「兜跋毘沙門天」は、発売と同時に迎えにいくことができました。
2024(令和6)年のうちに、S-Class「兜跋毘沙門天」を「河越御所」に迎えることができるよう、諸事尽力する所存です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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