特別企画③ 聖林寺モデル「十一面観音」(新版)購入のオーディション

イSム様は、大和国聖林寺モデルの「十一面観音」を2013(平成25)年4月に販売を終了されました。〝手に入らなくなった〟状態になると欲しくなるのが、人間の哀しい性(さが)です。多くの再販要望が寄せられたといいます。その結果、2021(令和3)年3月に再版が実現しました。2021(令和3)年6月からおよそ3箇月、聖林寺・十一面観音立像が初めて大和国を出て上野の東京国立博物館に出張することになっています。善きタイミングでの再販となりました。

再販版(新版)は、
 ・新しい型での制作か?
 ・彩色に変化があるのか?
をイSム様に問い合わせたところ、「同じ型で、特に彩色も以前と同じ」というご回答をいただきました。ですから〝違いが無いのであれば、今回は見送ろう〟という決断をしました。

そんなある日、イSム様公式HPで新版の十一面観音(聖林寺モデル)を写真で見てみました。「ん?」と違和感を覚えたので、旧版の写真と見比べてみました。

左側が旧版の十一面観音、右側が今回再販された(新版)十一面観音の画像です。
まず、一目で「金色の明るさ」が全く違います。
これを〝同じ物(仏)〟と見做すか否か・・・。
中々、悩みました。
気が付かなければ、知らなければ、この様な悩みに直面することはありませんでした。
・・・でも、気付いてしまった。
この比較画像が脳裏に焼き付いてしまったので、事あるごとに眼前に浮かび上がってきます。
うわぁー、悩むっ。

・・・ん? これは聖林寺モデルの十一面観音からのメッセージではないのか?
次第にその様に考えるようになり、ロジスティックセンターに連絡を入れてしまいました。

「同じと思っていたのですが、写真で見たら〝どうしても違う物(仏)〟と気付いてしまったのです。お忙しいところ畏れ入りますが、旧版を連れていきますので、新版と比較させていただけますでしょうか?多分、新版を購入すると思いますけれど。」
するとご快諾いただきましたので、旧版を連れて東松山のロジスティックセンターを訪問させていただきました。

約10年前に連れて帰った十一面観音が、里帰りをしました。感無量な表情をしていますね。

いつも快くご対応くださいますスタッフの皆様、有り難うございます。
社長もいらっしゃって、「いつも、お世話になっております。十一面観音の件でうかがわせていただきました。よろしくお願い申し上げます。」と挨拶させていただきました。

比較用として新版・十一面を3体、ご用意してくださいました。
お忙しいところ、御丁寧に有り難うございました。

左端が連れて行った旧版・十一面、他の3体が新版・十一面です。

光の当たり具合もありますが、もう既に新版が旧版と〝違っている〟ことが判ってしまいました。

 

早速、誰を新たに連れて帰ろうかというオーディションが始まりました。

手前が面接官の旧版・十一面、奥のこちらを見ているのが新版・十一面の受験番号①です。

 

面接官が歩みを進め、新版・十一面の受験番号②の前に来ました。

 

更に面接官は、新版・十一面の受験番号③の前まで進みました。

面接官の旧版・十一面と協議しました。「選抜が難しいな」というのが共通意見でした。

いつもお世話になっている広報担当者様に「ちょっと、選ぶのが難しくて悩むんですう。」と伝えたら、
「倉庫から、もうちょっと持ってきましょうか?」
と提案をいただきましたので、甘えちゃいました。
倉庫から2体が追加で登場し、全5体からの選考となりました。

 

 

面接官と、追加された新版・十一面の受験番号④。

 

面接官と、追加された新版・十一面の受験番号⑤。

 

右側の2体が、オーディション追加の新人(新仏)です。
小っちゃな画像ですが、5体とも煌びやかで、現場ではとても華やかながら迫力を感じて気持ちが高揚し、なおかつ感動していました。
3体で悩んでいたのに、5体になったら尚更悩みが深くなってしまいました。

しかしお仕事中の事務所にお邪魔している身でありましたので、5体の全体を観察しながら、チェック・ポイントを3つ設定して選考作業に入りました。
上の画像、左から順に受験番号①・②・③・④・⑤としています。

 

事務所の方(ほう)から、顔見知りのスタッフの方々が旧版と新版の比較作業を見に来られました。
並べて見て頂くと、皆様は口を揃えて「違う」とおっしゃいました。
旧版を里帰りさせたことが意味ある行為であったことを実感しました。

 

〈チェック・ポイントⅠ〉胸部・腹部の比較観察

受験番号①
 腹部、金色の乗りが散らされています。
 胸部の金箔に入ったヒビ割れが全体的に強く出ています。

 

受験番号②
 腹部、金色の乗りが散らされています。
 胸部の金箔に入ったヒビ割れが。右胸は淡く、左胸がハッキリとしています。

 

受験番号③
 腹部、金色が布の縁に合わせて乗せられています。
 胸部の金箔に入ったヒビ割れが。全体均等に細かく出ています。

 

受験番号④
 腹部、金色が布の縁に合わせて乗せられつつ、散らしも伴っています。
 胸部の金箔に入ったヒビ割れが。大きくに出ています。

 

受験番号⑤
 胸部・腹部、金色が散らされています。
 胸部の金箔に入ったヒビ割れが。大きくに出ています。

審査対象にはしませんでしたが、水瓶の金箔罅割れ表現に、それぞれの個性がありました。

 

 

〈チェック・ポイントⅡ〉顔面の比較観察

受験番号①
 額の金箔が剥がれた箇所が、いびつなハート形。
 左顳顬に薄いが太く長い剥落ラインがあり、その下は縦線の強いヒビあり。

 

受験番号②
 額の金箔が剥がれた箇所が、頭髪と接して逆三角形。
 左顳顬に太く長い剥落ラインが左頬のラインと繋がり、その下はマス目のヒビあり。

 

受験番号③
 額の金箔が剥がれた箇所が、いびつなハート形。
 左顳顬に太く長い剥落ラインが頬と繋がっていない、その下のヒビは縦線が強い。

 

受験番号④
 額の金箔が剥がれた箇所が、菱形。
 左顳顬に細く長い剥落ラインがあり、その下のヒビは縦線が強い。

 

受験番号⑤
 額の金箔が剥がれた箇所が、ハート形。
 左顳顬に太く長い剥落ラインがあり、その下のヒビは縦線が下げられ太くなっている。

 

 

〈チェック・ポイントⅢ〉首の後ろの比較観察

受験番号①
 概ね金箔が良好に残存している。
 罅割れあり。

 

受験番号②
 概ね金箔が良好に残存している。
 罅割れが強くはない。
 首の付け根に擦れ跡を再現する剥がしが見い出せる。

 

受験番号③
 概ね金箔が良好に残存している。
 罅割れが薄い。
 首に縦の擦れ跡を再現する加工が見い出せる。

 

受験番号④
 概ね金箔が良好に残存している。
 罅割れが入っているが少ない。
 首に縦の幅広い擦れ跡を再現する加工が見い出せる。

 

受験番号⑤
 概ね金箔が良好に残存している。
 罅割れが細く少ない。
 首に縦の幅広い擦れ跡を再現する加工が見い出せる。

審査対象にはしませんでしたが、肩の布に施されている金箔のヒビ割れは、それぞれ個性がありました。

 

うーん、とっても悩むっ・・・。

 

最終的に、連れて行った面接官の旧版・十一面との特徴比較を行い、旧版・十一面と相違点が多い者(仏)を連れて帰ることにしました。

左側が面接官の旧版・十一面、右側が選考を勝ち抜いた新版・十一面です。

 

 

上の画像の右橋には、今回のオーディションで〝河越御所セレクション〟に洩れてしまった諸君(諸仏)が写っています。
誤解しないでいただきたいのは、洩れてしまった彼らは単純に連れて行った旧版・十一面と共通点が幾つかあったというだけで、彼らに不備があった訳ではありません。
店頭に並んでも全く問題の無いインテリア仏像たちです。

 

それにしても、複数の仏たちを並べていただいて、その中から好みの仏を選ぶことができるという、素晴らしく楽しい遊びを満喫させていただきました。

社長をはじめロジスティックセンターのスタッフの皆様、いつも長い時間お邪魔してしまい申し訳ありません。感謝致しております。
でも、仏像について色々とご教示いただき、また購入の順番等について相談にのっていただき有り難く存じております。
不定期ですが、今後もうかわがせていただきますので、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

さて、新版・十一面を連れて帰ってきたのですが、前置きが長くなってしまったので像についての観察記事はまた別の機会に掲載することと致します。

 

 

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