十二神将(イSム「掌」・限定生産)

イSム十二神将初回発売の2015年以前は、一般に販売されている新薬師寺の十二神将といえば
  選択肢1:新薬師寺で販売している豪勝の十二神将像
  選択肢2:奈良まほろば館で販売している同朋舎メディアプランの十二神将像
のどちらかでした。

中央区日本橋にある「奈良まほろば館」に並んでいた十二神将は、同朋舎メディアプラン(倒産)が発売したものだそうです。最初は個別販売をしていたそうですが、伐折羅だけが売れて在庫バランスに不具合が生じ、セット販売のみとなったといいます。
私は奈良まほろば館で勢揃いしたこの十二神将を生で見たことはありませんが、セットで35万円超という、購入にかなりの躊躇がともなう価格でした。

「株式会社MORITA」様の旧本社(現埼玉ロジスティックセンター)に伺い、色々とインテリア仏像について教えていただいているなかで偶々十二神将の話となった折り、株式会社MORITA様で企画・制作した物を同朋舎メディアプランに納品したという裏話を知りました。単純に「どう違うのか?」を問い合わせたところ、大きさはほぼ変わらないけれども色彩が異なるというお話でした。

イSム十二神将は公式HPにも謳っているように、
 ・リアリティへのこだわり
 ・実物に忠実に、丁寧に再現
 ・極彩色の名残に着目して色味を表現
 ・初の胡粉を塗料に混ぜ込み、経年による荒れた塑像表面の質感を実現
した、驚異の軍団でした。
本尊・薬師如来は別の話として〝自邸に十二神将が揃う〟というのは憧れでした。
発表された写真を見せていただき、新薬師寺に並んでいる十二神将と何等変わりが無い、素晴らしい造形だと感じたのを覚えています。初回販売時の価格は25万円弱でしたから、同朋舎十二神将よりもおおよそ10万円も低い価格で、本物に忠実な護法の軍勢が揃ったのです。

                        (画像は「イSム」様HPより)

さらに2017年の第3回発売時に新薬師寺の本尊・薬師如来像も加えられ、大和国新薬師寺の内陣すなわち「東方浄瑠璃浄土」が再現できるようになりました。さすがイSム様、仏像愛好者のツボをおさえておられます。

さて、イSム十二神将像それぞれの観察は、次回の更新から始めることとし、今回はその造形からグループ区分をしていきます。

〈 姿 勢 〉
12体のうち、腰を右側に捻った姿勢は7像(宮毘羅/毘羯羅/招杜羅/伐折羅/安底羅/迷企羅/摩虎羅)、腰を左側に捻った姿勢は5像(真達羅/波夷羅/頞儞羅/珊底羅/因達羅)です。
また洲浜座の隆起に左片足を踏み上げているのが1像(迷企羅)、右片足を踏み上げているのが1像(真達羅)です。

〈 装 備 〉
12体のうち、兜を被っているのが4体(因達羅/安底羅/波夷羅/頞儞羅)、炎髪が8像(迷企羅/珊底羅/真達羅/招杜羅/摩虎羅/宮毘羅)です。

 【兜4者】
  兜を装備しているのは、左から因達羅/安底羅/波夷羅/頞儞羅です。

 

 【髪結6者】
髪を結って髷にしているのは、左から迷企羅/珊底羅/真達羅/招杜羅/摩虎羅/宮毘羅です。

 

【総逆毛2者】
全ての頭髪を逆立てているのは、左から毘羯羅/伐折羅です。

 

12体のうち、襟の廻りにスカーフ状の布を巻いているのが4体(招杜羅/伐折羅/迷企羅/摩虎羅)です。

12体のうち、腰帯が布製の造形となっているのが11像で、伐折羅像のみが「石帯」装着の造形となっています。

12体は、いずれも甲冑の下に裳を付けている造形となっています。

〈 持 物 〉

【弓矢2者】
弓矢を装備しているのが左の波夷羅、矢を手にしているのが右の頞儞羅です。

 

【剣3者】
左から招杜羅/宮毘羅/伐折羅です。
なお、宮毘羅が手にしているのは剣ではなく直刀と判断することができます。

 

【法具3者】
法具を持っている3体。左から、
三鈷杵を手にする毘羯羅、宝珠と宝棒を持つ真達羅、両手で払子を持つ安底羅です。

 

【鉾2者】
長物、三叉槍(三叉戟)を持つ2体。右から因達羅/珊底羅です。

 

最後にイSム十二神将の造形の特徴を表にまとめてみました。

では、次回からイSム十二神将像の特徴を1体ずつ観察していきます。

 

 

 

 

 

 

 

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