特別企画④ イスム十一面観音(聖林寺モデル) 新旧版の比較検証

ここ最近、イスム様の聖林寺モデルの十一面観音旧版・新版についての記事を続けて掲載しました。新版を連れ帰ってから、当家には聖林寺モデルの十一面観音が2体並ぶことになりました。理想は〝イスム様で発売されているインテリア仏像を全て揃える〟ことなのですが、こうしてロット違いや廃盤・新版の買い直し、特別彩色の購入などをしていると、まったく理想に達することがなく、落胆していることが多いのです。

 

さて、これまではイスム様公式HPに掲載されている聖林寺モデルの十一面観音の旧版・新版の写真を並べて比較してきました。
今回は、実物2体を並べての比較をしていきます。

まず正面から観た、2体の様子です。

左側:十一面観音の旧版 / 右側:十一面観音の新版。
金色の部分だけを〝ぱっと見〟で見比べれば、新版の金色の発色が明るいものであることが判ります。

 

左側:十一面観音の旧版 / 右側:十一面観音の新版。
こうして並べて観ると、旧版の首元から胸にかけての金箔がかけられた部分に経年による埃の堆積をイメージさせるようなくすみが表現されているように見えます。

 

左側:十一面観音の旧版 / 右側:十一面観音の新版。
顔の表情を正面から観ています。
旧版は額の金箔剥落箇所が大きく、新版では小さめとなっています。ここは個体差が著しい箇所でしょう。似ていても全く同じにはならない〝個性〟となるところですね。
顔面のヒビ割れ具合は旧版が強く入れている様に見えるのに対し、新版のヒビはソフトな印象を受けます。
旧版は鼻筋にに剥落を施しているのに対し、新版の鼻筋には剥落が施されていません。
首元の金色部分を比較すると、やはり旧版には塗りで〝くすみ〟が表現されています。

 

左側:十一面観音の旧版 / 右側:十一面観音の新版。
ピントが新版に合っているため、少々旧版がぼやけています。
旧版が胸の曲線に合わせて金箔部分も波打っているのに対し、新版は右脇から左胸の条帛が掛かっているところまでほぼ真っ直ぐな直線になっています。旧版の方が本物を意識しているように感じます。
肩から腕にかけての条帛にかけられた金箔は、旧版はあまり剥がしを施していないのに対し、新版は襞に合わせて剥がしをしっかりと入れています。

 

左側:十一面観音の旧版 / 右側:十一面観音の新版。
胸板の下から腹にかけて。旧版はダイナミックな塗りを施していますが、新版は胸・腹と条帛の凹凸に合わせて丁寧な塗りがなされています。

 

左側:十一面観音の旧版 / 右側:十一面観音の新版。
旧版・新版ともに水瓶に指されている蕾は3つで本物準拠です。
水瓶の金箔ヒビ割れは、旧版・新版ともに独自の形状で、本物と全く同じにはなっていない様です。ここも〝個性〟となるところです。

 

左側:十一面観音の旧版 / 右側:十一面観音の新版。
旧版・新版ともに真横・左側から観ています。
水瓶を持つ左の前腕部の金箔剥落は旧版が強め、新版が弱めとなっています。
下半身に纏っている裳の襞が共にしっかりと表現されていますが、旧版は不規則な剥落面を再現しているのに対し、新版は襞に合わせた剥落になっています。新版の方が綺麗に見えますね。

 

左側:十一面観音の旧版 / 右側:十一面観音の新版。
旧版・新版ともに真横・右側から観ています。
おっ、この画像から旧版・新版の相違点が見出せました。
旧版は胸から首元にかけての〝反り〟が強くなっています。そのため顎周辺と天冠台の被り方に違いが出ています。
旧版は上半身が反っているため頭部が顎を引いて前を向く状態になっています。天冠台が台座とほぼ水平の状態で据えられています。頭上の化仏の位置が若干波打っている様に見え、垂直に立てられている頂上仏面がほんの僅かですが小さい様です。
新版は上半身の反りが無く、顔面を横から見たラインは額が出ていて顎が低くなっています。天冠台は後頭部にかけて斜めになっています。頭上の化仏は天冠台の傾きにかかわらず綺麗に並んでいます。頂上仏面が旧版よりも少々大きくなっています。
新版は上半身が反っていない分、頭部が前のめりになっています。

 

左側:十一面観音の旧版 / 右側:十一面観音の新版。
上半身に反りがある旧版、反りが無い新版という違いにより、ほんの僅かですが新版の方が身長高めになっています。
首元から頭部の角度に違いがあるのが、この画像からも判りますね。

 

左側:十一面観音の旧版 / 右側:十一面観音の新版。
同じ角度からの画像を撮っていなかったのですが、胸から腹にかけての様子を比較した画像です。
金箔の残存状況が旧版・新版それぞれ個性が出ています。
この部分は本物と全く同じに再現することは難しいところで、本物には臍がありますが、旧版・新版共に臍がありません(笑)。

 

左側1枚:十一面観音の旧版 / 右側2枚:十一面観音の新版。
旧版が金箔残存状況が淡い感じで、新版は剥落部分と残存箇所の差が目立つように再現されています。
因みに本物は裳から足元の裾にかけて、ほぼ金箔は剥がれています。イスム十一面は、全体の色合いと美しさを考慮して、デフォルメをかけているのです。

 

左側:十一面観音の旧版 / 右側:十一面観音の新版。
肩に掛けられた布に金箔が貼られていますが、旧版・新版共に剥がしとヒビ割れが独自に施されています。
首のヒビ割れや擦れ具合も、ほぼ全く同じにはならない〝個性〟が出るところです。

 

左側:十一面観音の旧版 / 右側:十一面観音の新版。
腰元の様子です。
旧版・新版ともにキュッと腰が括れています。この造形は共通ですね。
腰布の金箔剥がし具合が、若干〝個性〟が出ています。
因みに本物は、この箇所の金箔はほとんど剥落しています。

 

左側:十一面観音の旧版 / 右側:十一面観音の新版。
旧版・新版共に〝綺麗な金箔残存状況〟を表現しています。
新版の方が、金色の発色が鮮やかであった訳ですが、後方の裾については旧版の方が発色鮮やかになっています。新版が淡い感じになっています。
旧版・新版の両方を購入すると、こうした発見があって楽しいのです。
因みに本物は、擦れたりヒビ割れたりでイスム十一面の様に綺麗とは言えません。

 

左側:十一面観音の旧版 / 右側:十一面観音の新版。
顔を正面から観た時、ヒビ割れ具合に目が行ってしまいますが、イスム十一面・顔で注目すべき場所があります。それは・・・

 

・・・左横顔(眉尻から頬にかけての剥落状態)です。
左側:十一面観音の旧版 / 右側:十一面観音の新版。

旧版は強めに擦って眉尻から頬まで太いラインを付けています。耳朶の手前にヒビ割れのラインが交差しています。
新版は細いラインを入れる道具を使って金箔を剥がしたい箇所を複数回なぞっている様です。耳朶の手前はラインが交差していますが、ほぼ碁盤の目状になっているので不自然さが際立っています。距離をとって見ると気になりませんが、近くで見ると〝ラインを入れた〟ことが目に付いてしまいます。
因みに本物の当該箇所は、旧版・新版いずれとも違います。ここの再現は難しい、というか不可能ですから致し方ありません。

 

左側:十一面観音の旧版 / 右側:十一面観音の新版。

イスム様から発売された聖林寺モデルの十一面・旧版/十一面・新版の比較をしてきました。今回の比較検証で、十一面・旧版の上体が反っていることが判明しました。一見では判らない事ですが、並べて比較することでの発見は楽しい試みでした。
当家には〝ロット違い〟や〝通常版と特別彩色〟という比較検証の対象が幾つかあります。また、機会があれば「特別企画」として採り上げたいと考えています。

 

 

 

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