薬師如来坐像 浄瑠璃寺(イSムStandard 限定100体)

今回は、2021(令和3)年12月22日に発売された「薬師如来坐像」のお話です。

文化庁・宮内庁・読売新聞社が協力して取り組む「紡ぐプロジェクト」の2020(令和2)年度文化財修理助成事業の対象に京都浄瑠璃寺・本尊の重要文化財「木造 阿弥陀如来坐像」が選定され、修復作業が進められました。ついこの間(2021年末)、浄瑠璃寺に参詣してきましたが、本堂の中央に阿弥陀如来坐像が戻ってきていましたよ。〝留守にしていた九体寺〟を見ているので、本来の居場所に座っている阿弥陀如来を目にして嬉しかったですね(でも小さい2体が修理中で留守でしたが)。

因みに「紡ぐプロジェクト」の【修理リポート】国宝「木造阿弥陀如来坐像」(九体阿弥陀)の中尊が修理終え1年ぶりに本堂へ(https://tsumugu.yomiuri.co.jp/restore/report-kutaiamida-chusonmodoru/)に修復作業の過程がまとめられています。是非、ご参照ください。

さて、イスム様が「浄瑠璃寺×イスム プロジェクト」と題して掌・吉祥天2種に続き、浄瑠璃寺三重塔に安置されている重要文化財「薬師如来坐像」をモデルに薬師如来坐像を制作・発売されました(国宝「阿弥陀如来坐像」は第3弾です)。

現・浄瑠璃寺〝東の本尊〟として三重塔に祀られている薬師如来像は、一木造でいわゆる「藤原時代」としては古様の造像とされており、浄瑠璃寺草創時の本尊と考えられています。

 

国宝「三重塔」は総高(縁上から相輪頂上まで)16m、日本国内の三重塔遺構としては小振りのうちになります。
全高の3割7分程が相輪で、これは三重塔遺構としては最も長いのだそうです。
しかしながら、この相輪は当初からのものではなく、明治時代に全面的改鋳がなされたもので、当初からこの長さであったかどうかは不明なのだそうです。

ともあれ、浄瑠璃寺三重塔は素敵な姿をしておりますなぁ。

 

ついこの間=2021(令和3)年末、浄瑠璃寺を訪れた時の様子です。
三重塔の扉は普段閉じられていますが、正月三箇日・春秋の彼岸中日・毎月八日に好天であれば扉が開かれ、その姿(薬師如来)を拝観することができるといいます。残念ながら未だ、このタイミングに遭遇していませんの。

 

モデルとなった浄瑠璃寺三重塔・薬師如来の制作年代は、南北朝時代の書写本『浄瑠璃寺流記事』にある浄瑠璃寺創建の年=1047(永承2)年と推定されています。

 

 

写真を並べて見ました。本物をイメージしながら、良き再現がなされていますね。
2008(平成20)年11月、国宝「三重塔」や重要文化財「薬師如来坐像」の損傷を文化庁が現地調査をおこないました。前月(10月)より三重塔内の壁画、木造の薬師如来像に野生化したアライグマの爪による傷跡が多数つけられていたことが判明したことを受けての調査でした。同様の被害は他の歴史有る著名寺院でも問題となっていました。
およそ1年後の2009(平成21)年12月、6月から半年間の修復作業を経て薬師如来は三重塔へと戻されました。

三重塔が開扉される時、是非とも本物の薬師如来を拝観したいですね。
季節を変えてまた浄瑠璃寺を参詣する予定ですので、開扉に合わせて行くことを考えています。天候は大丈夫っ、遊びで遠出をする際は、行き先を晴天・好天に変えてしまいますのでね。

 

さて、光背を外してみた姿です。
浄瑠璃寺〝西の本尊〟阿弥陀如来と比べると、やや硬い印象で、謹厳な様を感じさせるといわれています。
因みに、この薬師如来像の本物は、檜材の一木を割り矧(は)いで、頭部・体軀の根幹部を一旦割り離し、頭部は前後に割って内刳(うちぐり)し、体軀も内刳を施して背板を当て、その上で腕・脚部等を矧付(はぎつ)けているのだそうです。簡単に言えば〝中が空洞〟になっているということです。

 

360度、まわっていただきます。

 

 

肉髻(にくけい/にっけい)は、高く大きく造られています。
小粒の螺髪(らほつ)が刻まれていますね。
眉間中央に大きめの白毫(びゃくごう)が据えられています。

 

眉は強めの弧を描き、彫眼の眼は細く鋭いものになっています。
鼻筋もすっきり高くなっています。
唇もしっかりとしており、艶やかに紅が注されています。
口髭・顎髭ともに彫り込まれ、墨入れがなされています。

 

左右の斜め前から、顔を観ています。

頬や顎は丸みをもっていますが、鋭い眼・視線から〝厳しい表情〟の印象を与えますな。

 

下から見上げると少々面長っぽく見え、鋭い眼・視線から、やはり〝厳しい表情〟と感じてしまいます。

 

 

後頭部の様子です。
前方の螺髪は規則正しくブツブツしているのが見て判るのですが、後ろから見ると後頭部中央を中心に馬蹄形(U字)を描くようにブツブツしていますね。
首もとの金箔剥落状況の再現は、単なる仏像フィギュアではない証明ですね。こういうところを見ると嬉しくなります。

 

 

本物は顔や体軀の肉身部には金箔がおされ、着衣には朱色を塗り、所々に円花文を散らしていますが、これらは後世の補修だといいます。
光背も近世における補作だそうです。
イスム薬師如来坐像は、落ち着いた色合いにして「浄瑠璃寺の仏さま」という印象を伝えていますね。

 

開いた胸も、施無畏印の右手も、経年を思わせる落ち着いた金の彩色になっています。
良く観ると、ちゃんと「手指縵網相」(しゅしまんもうそう)が表現されています。
多くの人々を救済するためですよ。

 

 

結跏趺坐(けっかふざ)の様子です。
身体の肉付きもよく、下半身の厚みも充分で、組んでいる足もほぼ対象で美しく、像全体に安定感をもたらしています。

 

掌に乗せられた「薬壺」(やっこ)は後補なのだそうです。

 

掌が斜めに傾いているので、薬壺が滑り落ちそうです。
左手は差し込み式ですね。

 

まずは薬指が滑り落ちる薬壺を支えていますね。
中指も薬壺を支えようと動いている様子が表現されています。

 

薬壺を支える・支えようとしている左手の中指・薬指も後補なのだそうです。

 

 

なかなか浄瑠璃寺三重塔の薬師如来の背中を観る機会は無いでしょう。
写真では確認しておりませんが、イスム様は本物の造形や様々な資料を参考にインテリア仏像を制作されています。
本物の後ろ姿は、この様になっているのでしょう。

 

因みに、外した光背はこの様な感じ。

 

光背の裏側は、こんな感じ。

 

 

 

蓮華八重の高い台座は、ほとんど造像当初のままの状態だそうです。
本物と同等に、かなりの長い年月が経過したかの様な台座になっていますね。

 

下から見上げています。そう、コレっ。
目立たない、通常は見えない箇所に物凄い労力を投入している作業が、どなたにも一瞬で理解していただける画像です。
しかも彩色・古美(ふるび)仕上げっ。つい2週間前に発売された、新商品なのにですよっ。
この台座を構成する葉っぱの裏側を観て、「この薬師如来像、買って良かった」と実感しましたね。

 

細かいだけでなく、しっかりと〝昔から伝えられてきた文化財〟感が伝わってきます。
ただ汚したり傷つけたりではない、経年を感じさせる見事な加工彩色です。

 

ちょっと、この画像だと先に観た2例と同じく大称賛とはいきませんが〝よく頑張っている〟ことは伝わってきます。

 

 

 

 

 

 

これからも続く〝浄瑠璃寺シリーズ〟ということで、

薬師如来と吉祥天を並べてみました。居場所は別ですが、共に長き時間を超えて現在の我々を魅了してくれています。
でも、ちょいと寂しい感じが・・・。

 

 

・・・本物は絶対にこの様に並ぶことはありません。
でもインテリア仏像を連れ帰ることで、こうした〝浄瑠璃寺ごっこ〟を楽しむことができるのです。

 

 

 

2人の吉祥天にちょっと前に出てもらいました。
薬師如来の色合いが、本物っぽくなった感じです。

 

 

薬師如来購入の先着サービスでいただいた手拭いと一緒に撮りました。

 

 

 

 

 

 

次(今春)は国宝「阿弥陀如来坐像」をモデルにした、大きめの阿弥陀如来の発売です。

                                 (「イSム」様公式Twitterより)

いよいよ自邸で浄瑠璃寺の〝東の薬師〟〝西の阿弥陀〟を並べて遊ぶことができるのです。
阿弥陀如来の情報解禁および発売を楽しみに待ちましょうかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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