みかえり阿弥陀(イSム「掌」)

2013(平成25)年12月にイSム様より発売された「みかえり阿弥陀」のお話です。
「みかえり阿弥陀」のモデルは、京都東山の禅林寺本尊、重要文化財の木造・阿弥陀如来立像です。

本物の像高は77,6㎝。かつては鎌倉時代の作とも言われたそうですが、像の作風や構造といった特徴に注目すると平安時代末期の造像と推定されています。

 

360度、転回させて観ます。

背景を黒くすると、金色多めの像は映えますね。

 

像の正面から観ています。
後でも触れますが、TanaCOCOROシリーズであるにも関わらず光背の緻密さが尋常ではありません。
光背を付けていると、顔の向きによりますが正中線が左側(向かって右側)に寄っていることが判ります。

 

少々、斜め前から観ています。
左側に見返っていますので、身体が左側に寄っているのがよく判ります。

 

顔の表情が見えるところから観ています。
光背の前への反りが、本物よりも若干強めになっています。

 

〝外方向かれた感じ〟の図。
光背の装飾と後頭部からうなじ・腹にかけての滑らかな面が美しいです。

 

光背を外して、後頭部の様子を観ています。
頭頂部が段々になっていますが、頭頂部の膨らみは「肉髻」(にくけい/にっけい)といいます。
この瘤(こぶ)の様な盛り上がりは〝悟りの境地に到達した証〟で、仏の智恵を象徴するものだそうです。

 

ちょいと正面に近い方に廻って観ます。
頭のブツブツは、螺髪(らほつ)と呼ばれる右巻き螺旋状の髪型で、これも〝悟りの境地に到達した証〟だそうです。

 

右耳を正面にして観ています。
耳朶(みみたぶ)が長く垂れ下がっていて、孔が空いています。これを「耳朶環状」(じだかんじょう)といいます。
この孔に装着されたイアリングの一種である耳璫(じとう)はピアス式の装飾で、釈迦が王族だった頃の名残りといわれています。

顔面から首元、そして胸にかけての金色が美しいです。
胸に見える擦れ具合を見ても、この部分については金箔を貼っている様ですね。

 

ピントが耳に合ってしまったため、顔の表情と頭髪部分がモワッとしてしまいました。
それでも顔面の金色が綺麗です。
眉間中央の突起が「白毫」(びゃくごう)と称される右巻き螺旋状の白く長い毛で、伸ばすと1丈5尺(約4.5m)もあるといわれています。

本物が頭部の右側を若干大きめに、それに対して左側を小さめにしてバランスを整える工夫がなされているそうですが、イSム「みかえり阿弥陀」もその顔のバランス比をしっかりと再現されているのが判ります。

 

ちょっとブレてしまった画像ですが、顔の右側がふっくらとし、左側が扁平になっている様子が見て取ることができますね。

 

普通だと光背があるために見えない角度からの姿です。
肉髻・螺髪・耳朶環状などがハッキリと見えますね。

 

見返っている時、完全なる背後から観た画像です。仏(如来)ですから〝見えない〟ことは無いのでしょうが・・・。
金色が鮮やかな皮膚の部分と、漆黒の衣のコントラストが絶妙ですね。
左肩から背中に流れる条帛に残る金箔残痕の再現具合も良き調和をなしています。

 

 

偶々ですが、白毫が煌めいている様に見える画像が撮れましたので載せておきます。
像が醸し出す神々しさが伝わってきますね。

 

 

左手の親指・人差し指で輪を象っています。これを「上品」(じょうぼん)と呼びます。
先にも触れた様に、顔から腹にかけての金色は金箔を貼っているようですね。左腕の箇所も金箔を貼って剥がしているようです。

 

塗りも合わせているのでしょうが、やはり金箔を貼っていると上品さが増して嬉しいですね。

 

どの指で輪を象っているのかは問わず、右手を挙げ、左手を下にさげ、どちらも掌を見せているスタイルを「下生」(げしょう)といいます。

この阿弥陀如来像のような「上品下生印」(じょうぼんげしょういん)のことを特に「来迎印」(らいごういん)と呼んでいます。阿弥陀如来が西方極楽浄土から迎えに来る時の印相です。

 

動きの少ない裳(も)ですが、金箔貼り付けで本物と見間違うかの様な装いが再現されています。

 

足が黒いところも、金色の衣との対比となって良い表情になっています。

 

 

光背を外して、後方の全体像です。
金箔剥がしの技法で、とても美しい後ろ姿になっています。

 

とても美しいので、腰元かた裾まで・・・

 

・・・そして裾の拡大を載せてみました。
台座に見える横長いほぞ穴は、光背を差し込むものです。

 

取り外し可能な光背です。
TanaCOCOROシリーズなのに化仏や飛天、水煙の再現が容赦ありません。
溜め息が出てしまう程の緻密さを誇る光背になっています。

 

TanaCOCOROのサイズで、この再現です。
イSム様の技術の素晴らしさが、この画像からお判りいただけることでしょう。

 

台座は2段になっています。
小さいのに、細やかなところまで丁寧に形づくられています。

 

 

金箔の残存・剥落具合もバランス良く表現されています。
さすがに本物の残存・剥落具合と並べてみると〝違う〟と感じてしまいます。
でもサイズ・価格を考慮すれば、これは大いなる敢闘がなされていると高く評価することができるでしょう。

 

 

「永観遅し」

1082(永保2)年2月25日早朝、永観(ようかん)が勤行をしていたところ、阿弥陀如来が壇上から降りて永観とともに行道を始めたといいます。
驚きの余りに行道を躊躇してしまった永観に対し、阿弥陀如来が振り返って上記の発言をした時の姿を象っているのが、この禅林寺本尊・阿弥陀如来立像なのだそうです。
TanaCOCORO「みかえり阿弥陀」のこの表情からも、「○○遅し」と声を掛けられそうな感じがしますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

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