居合刀特注 小柄・笄付ソハヤノツルキウツスナリ

武装商店様企画特注の「ソハヤノツルキウツスナリ」(6/6紹介)は、「完全な写しを作るのが目的ではない」ということで小柄・笄両櫃はコスト・制作期間の観点から省略された物でした。また本歌が二尺三寸三分なのですが、「比良八荒」で採用された二本樋幅広刀身・二尺五寸を用いて、やはりコストを上げないようにした一振でした。刀身は短くすると価格がその分、上がるのだそうです。

充分、この「天正拵ソハヤ」で満足をしていました。
そんなある日の武装商店・店主様との話の中で、
「ソハヤを本歌に合わせてつくろうという話があるんですけど、興味あります?」
という魅力的な情報をいただきました。当然の如く、
「買いますっ!」
と即答した訳です。

 

それから結構な時間が経過し、納品していただいたのが、此方の短い〝スーパー・ソハヤ〟でした。

はじめの「天正拵ソハヤ」と異なるのは
 ・小柄笄両櫃を備えている
 ・本歌に合わせて二尺三寸ほど
と、より本歌のソハヤに近づけたところです。

刀身は、「天正拵ソハヤ」と同様に「比良八荒」で採用された二本樋幅広刀身となっています。

本歌の刀身は、表裏に幅広の棒樋と添樋が茎の中ほどまで掻き流されており、鋒(きっさき)は猪首鋒(いのくびきっさき)となっています。

居合刀で本歌の刀身をつくるのはほぼ不可能で、予算的にも完全なる写しを求めた訳ではありませんから、二本樋幅広刀身を短くすることで、これまた充分納得・満足の一振になりました。

 

 

このスーパー・ソハヤ用に新造していただいた水牛角製の大型柄頭に、黒い牛本革(バックスキン)が巻き掛けられる天正拵となっています。

 

左が「天正拵ソハヤ」、右が短い〝スーパー・ソハヤ〟の柄前です。刀身の長さにより、柄の長さが違っています。スーパー・ソハヤの柄が若干太くなっています。

 

 

柄の差し表(上)・差し裏(下)です。天正拵らしく立鼓を利かせた柄となっています。
縁金具は、このスーパー・ソハヤ用に新造し、鍔と同様に赤銅鍍金を掛けた、手入れに注意が必要な物となっています。手間が掛かりますが美しい仕上がりです。
柄下地は黒鮫、目貫は龍図で、小柄・笄も市販品の龍図を装着し、ここはパーフェクトな写しを求めた訳ではないため既製品で済ませています。

 

本歌ソハヤは「赤銅磨き地鍔」を装備しています。
しかし、その再現をするとなると価格高騰に繋がってしまうので「天正拵ソハヤ」同様、薄目の円形銅地鍔を赤銅鍍金したものを装備し、独特の青味がかった黒い艶を魅せています。

 

鎺の表には、徳川家康所用ということで「三葉葵」を彫り込んでいただきました。

 

鎺の裏には、不動明王を表す梵字「カンマン」を彫り込んでいただきました。

 

抜き身は、二本樋入の幅広刀身を本歌に合わせて短くしていただきました。
幅広刀身は、たとえ短くとも充分な斬力があります。

 

 

 

 

 

こうして当家では「ソハヤノツルキウツスナリ」の大小という、夢のような揃えができています。

ご覧の様に大小とは言っても、通常の大小よりも長さの差はありません。
二振とも極太で重量がありますので、二本差しをして歩くと左側に寄ってしまいそうです。

 

こうして並べて見ると、スーパー・ソハヤの方が太い柄であることが判ります。
スーパー・ソハヤは小柄・笄を装備しているので、「天正拵ソハヤ」よりも価格はまぁまぁ高くなっています。

 

抜き身で大小を並べ、比較した画像です。
ソハヤ大も、ソハヤ小も幅広刀身なので・・・二刀流は不可能でしょうね。

 

鎺は表側が、どちらも「三葉葵」になっています。
徳川系の刀で、鎺の表裏にレーザー彫刻を入れていただく際、表には「三葉葵」とすることに決めています。

 

 

 

 

 

 

小規模ながら「徳川展」を開催致しました。

上段:今回の短い小柄笄付「天正拵ソハヤ」(スーパー・ソハヤ)
中段:「天正拵ソハヤ」(ソハヤノツルキヲウツシテミタナリ)
下段:小柄笄付「日光助真」

 

抜き身で並べました。刀身のバランスを考慮して、
上段:「日光助真」
中段:短い「天正拵ソハヤ」(スーパー・ソハヤ)
下段:「天正拵ソハヤ」(ソハヤノツルキヲウツシテミタナリ)
と配置を替えています。いずれも鎺が「三葉葵」となっており、徳川展っぽい画像です。

 

配置を替えず、差し裏を手前にしてみました。
鎺に刻まれた梵字は、それぞれ異なります。

 

縦の画像にしました。
左:「天正拵ソハヤ」    → 降三世明王の梵字「ウーン」
中:短い「天正拵ソハヤ」 → 不動明王の梵字「カンマン」
右:「日光助真」      → 四天王の広目天・増長天の梵字「ビー」
を刻んでいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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