帝釈天(イSム Premium:ポイント交換限定品 交換終了)

2012(平成24)年6月末よりCLUBイスムポイント10,000ポイントで交換が開始された「帝釈天~Premium~」のお話です。以前(8/14)紹介した「帝釈天(M-ARTS リアル仏像 キャンペーン非売品 廃盤)」と造形は同じ、彩色を施した物です。

 

2020(令和2)年8月4日付で「出荷終了のお知らせ」が発表されました。
シャープな造形が格好良かっただけに、交換が終わってしまったということは心底残念に思います。

 

恒例の回転させて、全方向から帝釈天像を観ていただきましょう。

 

 

実際、東寺(教王護国寺)の立体曼荼羅において帝釈天は講堂内西端(正面向かって左端)に配置されていますので、正面から像の右側の半跏状態を近くから拝観することができます。ですから像の左側・背面は見えないのですが、この様な実物に忠実な再現をしている仏像フギュアを入手すると通常では見えない部分も楽しむことができます。

2019(平成31)年3月26日~2019(令和元)年6月2日の間、上野・東京国立博物館平成館で開催された特別展「国宝 東寺‐空海と仏像曼荼羅」では東寺帝釈天騎象像はほ360度いずれの方向から拝観することができましたが、回転台にのせてまわすと帝釈天の色々な表情を楽しむことができています。

 

一面二臂の凜々しい姿です。

帝釈天は古代インド神話において「シャクラデーヴァーナーム・インドラ」(釈迦提桓因陀羅)と呼ばれ、〝天空を神格化した〟ものとされています。また、大地に恵みの雨をもたらす天候神/雷霆神として、更に戦闘神の性格も備わっているそうです。
また、天界・忉利天にある善見城の主でもあり、眷属たちを使役しながら人間界を監視しているといいます。

更に仏陀の誕生・出家の際に出現して守護し、仏陀の前世から今世に至るまでの全ての行動を目撃・証明する存在であったとのことです。スケールが壮大過ぎるお話はこの辺で・・・。

 

よく〝冠を被っている〟と誤解されがちですが、頭髪を複雑な巻き方にした「垂髻」という結び方をしています。本物は垂髻の前面中央部とティアラ風の冠に金色の彩色が残っており、プレミアム帝釈天も本物に準拠しています。
よく観察すると、褪色・汚れ・剥がれといった状態を彩色で表現しているのが判ります。単色で綺麗に塗り上げるのと同様に、現存状況に近い風合いを醸し出す彩色はイSム様ならではの技術です。

この頭部は平安時代初期に造像されたものではなく、何度か修理されたうちのどこかで補修されたものの様です。鎌倉時代の修理においては慶派仏師の手も加わっているとのことです。

 

額には彫眼でサイキック能力を有する〝第三の眼〟が再現されています。
頭髪の表現もさることながら顔の表面のざらついた感じ、そして色彩の残り具合と載せ具合が絶妙です。本物よりも少々〝汚し〟が強めですが、それがまたリアルな感じを際立たせています。

 

横から観た頭部の様子です。
垂髻の巻き方が複雑なのが判ります。
よく〝イケメン〟といわれていますが、鼻筋が低めですね。
耳朶環は大きく表現されていますが、孔は空いていません。

 

後頭部と背面・肩周辺の画像です。頭髪が襟足からたくし上げられている様は本物と〝ほぼそっくり〟の造形となっています。

 

左手は腰に当て、右手には独鈷杵を握っています。
この独鈷杵は「ヴァジュラ/バサラ」と呼ばれ、人びとを苦しめていた阿修羅の守護龍神「ヴィリトラ」を真っ二つに断ち斬った武器だといいます。
このヴァジュラは、もともと稲妻であり、これを持つことで帝釈天は雷神としての性格を備えたのだそうです。

ヴィリトラを切り裂いた〝Dragon Slayer〟として、帝釈天には大地に恵みの雨をもたらす天候を司る神として信仰されたのだといいます。

 

上半身の装備はアーリア人の戦士をイメージし、胸元と鳩尾に飾り留め具を付けた西域風の軽装鎧を着用した姿になっています。
甲冑を装着しながら、その上に柔らかな条帛や腰布などを纏うことで、あからさまな武骨さが鳴りを潜め、エレガントな装いの印象が強調されています。
所々に赤みがかった顔料が見えるので、造像当初の色合いが如何に華やかなものであったのかが推測できます。
また、左右非対称でありながらも全体の均衡が保たれることで〝美しさ〟が表現されています。

上半身・背面の様子です。
肩から背中にかけてをなかなか頑丈な鎧が護っています。その上には襷状に身体へ巻き付けた条帛がたなびきながら表現されています。
この条帛や腰布を纏っていることで武張った厳つさが和らぎ、洒落た雰囲気を醸し出しています。

 

最低2枚は重ねられているであろう「鞍敷」左側の様子です。

 

最低3枚は重ねられているであろう「鞍敷」右側の様子です。

鞍敷に施されている文様も繊細で丁寧に再現されています。黄色・赤色・茶色が差され、かつては華やかな装いであったことが想像できます。

 

帝釈天を背に乗せている白象「アイラーヴァタ(アイラーヴァナ)」の顔を正面から観ています。
インド神話では4本の牙・7本の鼻を持つ巨大な象とされていますが、東寺講堂の帝釈天を乗せているアイラーヴァタは2本の牙と1本の鼻で普通の象の姿となっています。
鋭い牙が、行く手を阻む者たちを蹴散らすかの如く前方に突き出されています。

耳の付け根には輪状の飾りが付けられ、耳は下に垂らされています。
顔の中央と左右の目の下に金色が差された鈴の飾りを装着しています。
アイラーヴァタの肌は黒一色ではなく、所々に赤味・青味がかった箇所があり、こちらも華やかに布・装飾などでお洒落な装いだったことが想像できます。

東寺講堂の立体曼荼羅で現在、帝釈天騎象像は西端に位置していますが、講堂創建当初は東端に安置されていて、後世に梵天像と位置が入れ替えられたのだそうです。半跏で下ろしている左足は西端よりも東端にあった方が自然な姿勢ですからね。
親指の反り上げは、静止している姿の中にも〝動き〟を感じさせるための工夫と考えられています。

 

アイラーヴァタの迫力ある身体が伝わるよう、下から見上げてみました。
身体に見える皺の刻み込みが、象の皮膚の質感をリアルなものにしています。
今にも動き出しそうですね。

アイラーヴァタの鼻下・口元を見上げてみました。
耳の内側に赤い顔料が差されています。
長い鼻も曲線と、交互に肉の盛り上がり・皺を繰り返すことで制止しているにもかかわらず、動きのある描写になっています。

 

アイラーヴァタを後ろから観た様子です。
象の皮膚を表現するための皺が丁寧に彫られています。彩色も施されていることから、実際に生きているかの様な迫りくる迫力が伝わってきます。

 

アイラーヴァタの顔にピントを合わせた帝釈天騎象像を見上げた画像です。
迫力があってカッコいい姿です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝釈天プレミアムを3体、並べてみました。
台座は四隅の下に配されている板が省略されています。
普段は「帝釈天(M-ARTS リアル仏像 キャンペーン非売品 廃盤)」(8/14紹介)を中央に配して並べています。

 

 

一見判らないでしょうが、それぞれ個性(塗りに個体差)があります。観察する角度・箇所によって、結構相違点を見出すことができます。
ここでは3体を比較するために便宜上、左側から帝釈天プレ①、帝釈天プレ②、帝釈天プレ③としましょう。
それぞれ大きな画像で比較してみましょう。

 

 

帝釈天プレ①
顔の汚しが強めです。
独鈷杵の手元が赤味がかっています。
左手が当たっている腰元に赤い顔料が差されています。

 

帝釈天プレ②
顔の彩色が少し明るめです。
独鈷杵は帝釈天プレ①よりも金色が目立ちます。
布・鎧など身体全体の彩色が少々暗めです。

 

帝釈天プレ③
顔が帝釈天プレ①・帝釈天プレ②よりも明るくスッキリした感じです。
垂髻に差された赤味が強いです。
独鈷杵の下に向けられている部分に差された金色が濃くなっています。
身体は帝釈天プレ②と同様、暗めの彩色になっています。

 

 

今回は3体の比較でしたが、帝釈天プレミアムはまだ数体居るはずです。
複数体居る阿修羅たちが暴れた際、速やかに鎮圧できるようにという深謀遠慮からの備えです。
いずれ機会があれば、帝釈天軍団の勇姿を披露しましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

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