美術刀特注 鞘に文字入れ

「武装商店」様HP2011年2/6紹介で、問屋による新技術の実験として〝鞘への文字入れ〟が公表されました。

試作例として、左側:「武装商店」/右側:「臨兵闘者皆陣烈在前」の文字が入っています。文字入れの価格上昇分は2,000~3,000円ということです。

早速、特注したのが以下の一振りです(「武装商店様」HP2011年11/5紹介より)。

刀身は短めの小太刀二尺刀身で、小太刀の刃文は変更できないとのことです。
鞘塗は赤梨子地で、金色の鍬型鐺を装着させています。

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柄下地は黒のプラ鮫黒、柄頭・目貫・縁金具と喰出鍔が金色で統一され、柄巻は黒赤斑です。


かなり前のことでしたが、滋賀県立安土城考古博物館内のレストラン&ミュージアムショップ「ムエール」様にて、茎表裏に「織田尾張守信長」「永禄三年五月十九日義元討捕刻彼所持刀」と刻まれた(金象嵌無し)居合刀「義元左文字」が限定発売されていたことが記憶にありました。当時は高価で手が届かず、限定ということもあり半太刀拵・太刀拵はともに完売となってしまいました。入手できなかった悔恨というのは意外と心に残るものです。
だからといって居合刀特注で茎に銘を刻んで金象嵌を依頼すると費用が如何なるものとなるか見当が付きません。であるならば、美術刀の鞘に文字入れしてもらおうというところに気持ちが収まりました。

鞘の表裏に文字を入れても判りづらいので、鞘の表側に義元左文字茎裏の「永禄三年五月十九日義元討捕刻彼所持刀」を、二行で表現してもらいました(「武装商店様」HPより)。
工程としては文字を彫り込んだあと鞘塗りを施し、武装商店様で文字に金色を差していただきました。
此方の特注は、普段目にすることの無い茎の銘を掘り込んでもらいました。美術刀特注でも製作時間が長くなってしまうこと、さらに費用が高くなってしまうこと、そして文字の配置・バランス・仕上がりについては最終的に問屋任せということで武装商店様は「この鞘字入れに手を出す場合は、ウチでやった事ない鞘塗に挑戦するときと同様、常に人柱的フロンティアスピリッツを持って挑んで下さいね。」というメッセージを発せられました。

 

このメッセージを踏まえ、次の鞘文字入れの美術特注を考えました。それが以下の一振りとなります。

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遠目からみると黒一色に見えますが、柄は黒紺の交差巻、柄下地は黒のプラ鮫黒、柄頭・縁金具と喰出鍔が金色で統一されています。

此方の鞘文字入れは、上杉神社所蔵の上杉景勝所用「日輪雲前立黒漆塗巾着形兜」の前立にある「日天大勝金剛 摩利支尊天/毘沙門天王」を入れてもらいました。

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日輪をイメージした円形の前立には中央に「日天大勝金剛」、向かって右側に「摩利支尊天」、左側に「毘沙門天王」の文字が配されています。文字を入れる鞘はスペース的に長方形ですから、中央の「日天大勝金剛」を大きめとし、その下に「摩利支尊天」「毘沙門天王」を小さくして並べました。

 

以上の二振りは、小太刀二尺刀身でした。
今度は通常サイズの美術刀で、鞘の文字入れを特注してみました。それが以下の一振りです。

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刃文は箱乱れ。柄下地は黒プラ鮫、柄頭・縁金具・喰出鍔が金色というのはこれまでと同様となっています。此方の鞘塗も青梨子地でお願いしたので、調和を考え柄巻は金・青の交差巻をお願いしました。柄の中央が目貫無しの絡み巻きとなっており、先に特注した物とは微妙に仕様が異なります。

鞘に入れた文字は「吾是天帝所使執持金刀非凡常刀是百錬之刀也」でした。
陰陽道で陰陽師が執り行う「反閇」(禹歩)において、陰陽師が手にした刀剣に唱えた呪文「禁刀呪」の前半部分です。

 

最後に、鞘文字入れの三振りを並べてみました。上の二振りが小太刀二尺刀身なので短く、下段の一振りが通常サイズの美術刀になります。中段・下段は共に青梨子地ですが、製作時によってここまで色合いに違いが生じています。

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現時点で当家が所蔵する鞘文字入れは三振りのみですが、今後も色々と考えて特注依頼をしたいと考えております。

 

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