日光菩薩・月光菩薩(仏像ワールド 篁千礼氏彩色 木造 大和国薬師寺金堂モデル)

こういうのって縁、運命的な出逢いですよね。
篁千礼氏の彩色による、木造「日光菩薩・月光菩薩」を入手できました。
「株式会社MORITA」様の「仏像ワールド」ブランドの製品です。
木造は、あまり興味を示さない様にしていました。
だって効果だもん。

ところが、破格の安価で手に入れることができましたぞ。
日頃の行いの賜物です(笑)。
大和国薬師寺の金堂に納まっている薬師三尊像の脇侍「日光菩薩・月光菩薩」2体セットです。



大っきな桐箱に入っていました。

これが差し込み式の蓋になっており、表に「日光菩薩 月光菩薩」の墨書がなされています。


裏側には

彩色師・篁千礼氏のサインと印がありました。
ということは、表の墨書も篁千礼氏の筆によるものでしょうね。



菩薩2体に、箱から出てもらいましたよ。
左が月光菩薩、右が日光菩薩でございます。

2体共に身体をくねらせて立っています。
これは「三曲法」(さんきょくほう)と云う流麗なスタイルです。
もう、双子ですよね。
本物は、見た目が真っ黒ですからね。
こうして違う製品で、本物の風貌を知ることができるというのも感慨深いものです。



先ずは、日光菩薩を前にして観ています。

木目が判るって素敵ですよね。
何時もはポリストーン製の仏像を観察していますが、木造は温かみが伝わってきますからね。



顔をアップで観ています。

「宝冠」を装着しています。
本物は細やかな透かし彫りが施されていますが、こちらは木造ですので透かし彫りはありません。
それでも繊細な彫りが施されていますよ。

瓔珞(ようらく)も丁寧に表現されています。
胸元にあるため「胸飾」(きょうしょく)と呼ばれます。
所々に緑青が注されていますね。
これで金属の感じがでています。

 

頭髪は「宝髻」(ほうけい)と呼ばれる結い方をしています。
金色が注されていますね。
耳朶(みみたぶ)が大きく垂れています。

 

「腕釧」(わんせん)の意匠は、「宝冠」のものと共通です。
肩から垂れ下がっている鎖状の装飾も「瓔珞」(ようらく)で、この形状のものは「佩飾」(はいしょく)と呼ばれます。

木造なだけに、木の質感が美しいですね。



下半身にはスカート状の「裳」(も)を纏っています。

「裳」は薄い布で身体に密着したり、襞(ひだ)を伴っています。
身体のラインと襞のリズムある変化を以て、緩やかな躍動感を伝えていますね。
本物がほぼ真っ黒な状態ですので、こうした仕様の異なる造形は本物の構造を知る上で貴重な題材となります。
平面の写真を観察するだけでは限界がありますからね。

「裳」の上には「天衣」(てんね)が二巻き(ふたまき)されています。
更に「瓔珞」(「胸飾」)も下腹の前で緩やかな孤を見せています。
2つの「天衣」、1本の「胸飾」という3つの曲線が調和を意識しながら形づくられています。
これは本物や写真の目視では判断できないことですよ。



日光菩薩は左腕を下に垂らしています。

手首だけ起こし、親指・人差し指で輪っかをつくっています。
衆生に対する無限の慈愛を表現しているとのことです。

「天衣」や「裳」に施された金の注し色が木彫り像なのに金属的な印象を醸し出しています。
単に茶色い彩色を施しただけではなく、木目がアクセントになる様に茶色の濃淡を変化させていますね。
〝彩色の妙〟ですよね。

本物はほぼ黒っぽいから判りませんが、「天衣」や「裳」に刻まれた襞(ひだ)・皺(しわ)の様子が精密です。



日光菩薩を後ろ側から観ています。

後ろ姿は〝観られること〟を意識していない、簡略された描写となっています。
それでも〝手抜き〟に見えないところが、造像に当たった仏師の感性・技術が卓越していた証拠ですよ。
同じ曲線を使っていても、飛鳥時代の『堅さ』に対する白鳳時代の清新な「柔らかさ」が見事に表現されていますよね。



ぢゃ、今度は月光菩薩を前方に出して観ていきます。

概ね日光菩薩と月光菩薩の容姿は左右対称なのですが、「瓔珞」(「胸飾」)の掛け方が同じです。
本物や写真を見ているだけでは判らない特徴ですよ。

凹凸と濃淡をつけた茶色の塗りが見事に調和していますね。

胸の位置まであげた左手では「施無畏印」(せむいいん)を結び、衆生の恐れや不安を除くという意志が込められています。



日光菩薩と同じく、月光菩薩も胸元に「瓔珞」を付け、更に左肩から「胸飾」(きょうしょく)が掛けられています。
日光菩薩・月光菩薩の体勢は左右対称ですが、「胸飾」の掛け方は同じです。

どこもかしこも左右対称なのに、「胸飾」だけは同じ掛け方なのです。

 

左右対称の中で「胸飾」の掛け方だけが同じっていうのも、全体的に観れば程好いスパイスになっていますね、
仏教的な意味もあるのでしょうが。



日光菩薩・月光菩薩の体勢が左右対称であることは、これまでご覧いただいています。

日光菩薩は右手で「与願印」、左手で「施無畏印」を
月光菩薩は右手で「施無畏印」、左手で「与願印」を
結んでいます。
左右対称ではありますが「施無畏与願印」(せむいよがんいん)は、多くの仏像に観られる印相です。

白鳳時代の仏像らしく、生々しい質感と曲線の組み合わせが美しい造形となっています。



左右対称ということですが、単なる直立ではなく

日光菩薩は左膝を外側に開き、月光菩薩は右膝を外側に開いて横への広がりを表現しています。
機械掘りなのでしょうが、仕上がりを観ると人間の手彫りという温かみが伝わってきます。
さすがは50年を超える老舗「株式会社MORITA」様が有する超越した造仏技術の賜物ですね。



月光菩薩にも背中を向けてもらいました。

腰を捻ることで、直立させて与える堅さが解消されています。
茶色の濃淡があるため、自然な形で木目を楽しむことができます。
左右対称ということは置いといて、前からの姿と後ろからの姿が対比されていて興味深い図柄になりました。



こうして並べて観ると、完全な左右対称ではありませんね。

本物や写真では、そこまでは判りませんね。
こうして立体的な造形を観察することで、新たな発見を幾つも得ることができます。

逆説的になりますが、「株式会社MORITA」様(仏像ワールド/イSム ブランド)の造形は、ディフォルメを施してはいるものの、原則本物準拠にこだわっておられますからね。
本物の仏像はもとより、造像に当たった仏師や仏像を継承してきた寺院に対しても敬意を払って造像されています。

造仏をされている「株式会社MORITA」様に厳しい姿勢を示す寺院も数多存在すると聞きますが、こうした「株式会社MORITA」様の姿勢に理解を示していただきたいものです。
いい加減、適当な商売をしている訳ではありませんよ。
商品開発の段階で、かなりの手間を投入して造形の整備・調整が重ねられていますからね。
限られた資料からでも極めて本物に近く、そして上品で美しい造形を創り上げているぢゃないですか。
寺院関係者・熱烈な信者の方々、確かに「商売」という見解は否定できませんが、だからといって仏像の品位を貶めるようなことは皆無ですよ。
敬意を以ての造像であるからこそ、この様な威厳・気品ある作品となるのです。
実際に寺院へ参詣して本物の仏像を拝観することは素晴らしく、素敵なことです。
「河越御所」も素敵な仏様がおいでの寺院には、何度も拝観料を納めて参詣していますからね。
決して安価ではありませんが、自宅に尊崇する仏像を迎えることで常日頃、「思い入れのある仏像に手を合わせて心を寄せることができるというのは素晴らしいことと思われませんか?
なかなか現地に参詣することができなくても、こうして本物の仏像に経緯を払って造られたものを「前立」(まえだち)として自宅で大切にすることって尊い行為と思われませんか?

決して「河越御所」の考えを強要するのではありません。
でも〝数物のかたち〟って様々だということ、そして仏像を製作・販売されている側の誠意にも寄り添うという気持ちは持っていただきたいものです。
〝仏の慈悲〟に惹かれた人であれば、理解していただけることと存じておりますよ。



堅苦しい話になってしまいましたね。
日光菩薩・月光菩薩を、ちょいと向き合わせることで、穏やかな雰囲気を満喫しましょう。

まるで双子の如き容姿ですからね。
〝仲の良さ〟が伝わってきます(笑)。



向きを変えたらどうなるか?と思いまして名。

外側を向けてみました。
あらっ、喧嘩してそっぽ向いちゃった様に見えます。
・・・でもね、体勢がここまで同じだと、仲の良さは隠し切れませんよね(笑)。



「イSム」ブランドからも「日光菩薩・月光菩薩」がセットで発売されていました。
サイズは、こちらの2体に比べるとかなり小さいものですがね。
不定期に復刻再販されています。
初版は光背無しで、復刻再販では光背ありでした。
なかなか再販も実現せず、オークションなどにも出品されることはありませんのでね。

「河越御所」は、念入りに創作することをしていませんが、偶々こうして運命的な巡り合わせで素敵な仏像フィギュアを引き寄せることができています。
ホント、日頃のおこないの賜物(笑)。

純粋な仏像への想い(敬意)があれば、被清瀬は可能ですよ(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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