居合刀特注 山鳥毛一文字

此方は「武装商店」様HPで2013年3/21に紹介された、既製品の山鳥毛一文字をベースに可能な範囲で本歌に似せる(〝スーパー山鳥毛〟製作の)挑戦でした。武装商店・店主様から東京国立博物館『特別展 日本のかたな 鉄のわざと武のこころ』(1997)・高山一之氏『日本刀の拵 高山一之作品集』慶友社(2006)・竹村雅夫氏の著『上杉謙信・景勝と家中の武装』官帯出版社(2010)の存在を教えていただき、柄巻革と柄下地の鮫皮の色を変更してもらうくらいの軽い気持ちで始まった特注依頼でした。

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〈 こだわりポイント 〉
問屋企画の山鳥毛をベースに、可能な範囲で本歌に似せてもらいたいということをお願いし、具体的には革の柄巻、金虎の目貫、そして鎺は銀地で表に愛染明王の梵字「ウン」を、裏に毘沙門天の梵字「ベイ」を金で彫刻してもらうこととしました。大河ドラマ「天地人」放映後であったので、越後上杉氏といったら毘沙門天・愛染明王の組み合わせという安直な発想によりました。
あとの細かいところはいつもの様に職人さんにお任せでした。


〈 お任せポイント 〉
鞘塗はカシュー漆塗の黒呂とし、下緒は角朝風の朱を付けていただきました。
最初の構想では柄革を青色とするため、鞘塗りは青貝散塗りとすることをお願いしたのですが、作業の都合により黒呂となりました。特注だと、こういった事情も受容せざるを得ないことがあります。

                                (画像は「武装商店」様HPより)

栗型が本歌用の物が装着されています。返角は上杉型で、やや峰(棟)側に近い位置となっており、本歌の山鳥毛に倣っています(画像は「武装商店」様HPより)。

問屋企画の山鳥毛にも小柄・笄櫃がありますが、スーパー山鳥毛の鞘は合口拵とする兼ね合いから本歌を手掛けている本職鞘師の方にお願いしたそうです(画像は「武装商店」様HPより)。

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本歌の山鳥毛に準じて、鍔・切羽はありません。
縁金具はスーパー山鳥毛のために新造・鍍金された縁です。一般流通品だと隙間や少々のズレが生じてしまうのですが、本歌制作に携わっている職人さんの技術によって合口拵の完成度が極上となっています。

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上がスーパー山鳥毛、下が通常の山鳥毛です。
合口拵の具合を比較する画像ですが、柄の長さや柄成りの様子も両者ではだいぶ相違があります。通常の山鳥毛の目貫は龍図ですが、スーパー山鳥毛は虎図に替えています。

柄巻は、藍染めの牛本革による天正拵です。柄下地は親粒の入った燻し銀色の鮫皮としています。目貫は本歌・山鳥毛を意識して虎図を金塗りにしていただきました(画像は「武装商店」様HPより)。
目釘は煤竹を使用し、本歌の位置を意識して通常より柄頭寄りとし、目貫を表裏同位置に据えていただきました。

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柄頭は水牛角製の大きく張ったものを新規製作、この柄頭のために柄下地自体も本歌用のものが製作されたそうです。立鼓も強めの柄になっています。

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スーパー山鳥毛の抜き身表裏です。刃文は山鳥毛一文字。

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上がスーパー山鳥毛、下が通常の山鳥毛です。刀身はいずれも市販の山鳥なので両者に刃文の相違はありません。スーパー山鳥毛の柄が通常品よりも太く短くなっています。それでいて立鼓が強めであることがわかります。

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鎺は銀地のもので、表に愛染明王の梵字「ウン」(右側画像)を、裏に毘沙門天の梵字「ベイ」(左側画像)を金で彫刻してもらいました。

軽い気持ちでの「可能な限り本歌に似せて」という要望が、拵えが本歌になってしまう嬉しい誤算もあり、想像を絶する逸品となりました。満足この上ありません。

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既製品の山鳥毛一文字と並べると、その違いが際立っています(上:スーパー山鳥毛、下は通常山鳥毛)。
スーパー山鳥毛は、現在下緒を桜印伝のものに替えております。

 

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