不動明王立像(イSム Standard 相模国浄楽寺モデル 旧版・火焔光背無し)

「イSム」様から発売されている「不動明王立像Standard」は発売された2011(平成23)年7月20日(水)以来、販売が継続されている人気商品です。
2019(令和元)年9月20日(金)には、江戸時代に補われた火焔光背を装備した姿にリニューアルされました。
「河越御所」の「不動明王立像Standard」は初版なので、火焔光背がございませんの。

イSム「不動明王立像Standard」は、相模国浄楽寺モデルの不動明王です。
「浄楽寺」は神奈川県横須賀市芦名(あしな)に所在します。
陰謀渦巻く鎌倉時代初期、策略家の三浦一族として生まれながら実直な人柄で信頼された和田義盛の発願による〝運慶仏〟がモデルですよ。



360度、まわしましたよ。

火焔光背が無いので、ナチュラルな力強さを備えた不動明王の肉体が露わになっています。
ゴツゴツした筋肉質ではなくとも〝強さ〟が伝わるのは、本当の強さを内包しているからですよ。



不動明王は平安時代初期、空海が中国・唐王朝から招来しました。
山城国東寺講堂の「不動明王坐像」に見える〝総髪〟(そうはつ)が最も古い頭髪の形状でした。
総髪の毛先は結わいて左側に垂らす〝弁髪〟(べんぱつ)になっていますよね。

平安時代前期の天台僧・安然(あんねん)が『不動十九観』において台密(たいみつ:天台宗の密教)の考え方から〝巻髪〟を標準と位置付けました。

時代や作例によって個性が創られていきますが、鎌倉時代になると慶派仏師の作例では不動明王の頭頂部に〝莎髻〟(しゃけい)という蓮華の形状をした髷(まげ)を結う姿になります。

ねっ、頭頂部に蓮華のお花が咲いていますよ。
クルクル巻髪が丁寧に創られています。
前頭部のところ、ティアラの様な飾りが見えますね。
冠ではない様ですが、ちょいとしたアクセントなのでしょうね。



不動明王の巻髪を、左側の横・斜め後方から観ています。

耳前の巻髪、とでも言いましょうか。
もみあげまでもが渦を巻いています。
巻髪は、全てが同じ向きに捲かれている訳ではありませんね。



不動明王の頭部を、後方・右横から観ています。

場所によって捲かれる向きに違いが見えます。
右側のもみあげ、垂れていませんね。
ってことは、左側の渦巻きもみあげは弁髪の名残りと考えて良さそうですね。
不動明王は「天地眼」(てんちげん)ですから、左右の目の形状が異なります。
真横から観ると目の形状は勿論、目尻の皺の形状にも違いが生じていますね。



不動明王の顔、正面から観ています。

「天地眼」(てんちげん)は、安然(あんねん)が『不動十九観』において不動明王の定形とした特徴です。
右目を大きく見開いて、天(上方)を睨んでいます。
左目をやや細めるか半眼にして、地(下方)を睨んでいます。



「天地眼」(てんちげん)は、
 1)全てを見渡す
 2)天の神仏からの指示を仰ぎつつ、現世や地獄の人びとを洩らすこと無く掬い上げる
   (救い上げる)
という意味が含まれているのだそうですよ。

運慶は、この「天地眼」(てんちげん)に水晶の瞳〝玉眼〟(ぎょくがん)を嵌め込むことを始めました。
まるで本物の瞳に見える技法ですね。

イSム「不動明王立像」Standardは、玉眼を彩色で表現しています。
玉眼をリアルに表現されていますよ。

口を「へ」の字に結んでいますね。
これは「牙上下出」(がじょうげしゅつ)と云い、安然(あんねん)が『不動十九観』で不動明王の特徴としたものです。
 右牙:上唇を噛み、上から下に向かって突き出す。
 左牙:下唇を噛み、下から上に向かって突き出す。
この左右非対称は、人間の顔では表現できない憤怒の念を表現したものです。



不動明王が右手で握り剣先を天に向けているのは「三鈷剣」(さんこけん)」ですね。

柄の形状が、密教法具の「三鈷杵」(さんこしょ)となっています。
単なる武器ではありませんよ。



視点を変えて、「三鈷剣」を観ています。

ポリストーン製ですけれどね、彩色で金属っぽくしています。
人間が持つ「三毒」(さんどく)、つまり根本的煩悩
  「貪」(とん:むさぼり)
  「瞋」(じん:怒り)
  「癡」(ち:おろかさ)
を、断ち切るそうですよ。



下方に垂らした左手には

「羂索」(けんじゃく/けんさく)が握られています。



元々は狩猟で用いられた古代インドの投げ縄ですと。
「五色」(青・黄・赤・白・黒)の麻糸を縒り合わせています。

「羂索」の端には、異なる2種類の金具が装着されています。
環状の金具は、そのまま「環」(わっか)と云って掴みます。
もう片方には「半三鈷」(はんさんこ)と称する、独鈷杵の形状を意識した錘(すい)が装着されています。
衆生(人びと)を救済したり、邪悪な連中を縛り上げたりと用途は様々にございますよ。



不動明王の上半身に捲かれている布は「条帛」(じょうはく)と云います。
重ねて挟み込み、脱げない様にしていますね。

案外とポッチャリお腹なのですよ(笑)。

決して筋骨隆々ではありませんが

サモア人レスラーの如き、〝天然の強靱さ〟を感じますね。
明王だから、人間と比較してはならんのですが(笑)。

左腕の臂釧・腕釧は金色です。
右腕の臂釧は金色ですが、腕釧は緑色で、これは本物準拠です。



下半身を覆っている、巻きスカート状の布は「裙」(くん)と呼びます。

腰の部分、帯状の布が「裙」(くん)とは別に捲かれています。
「腰布」(こしぬの)もしくは「覆裙」(ふくん)と呼ばれる布です。
動くことによって「裙」(くん)がずり下がらないようにするために捲いているそうですよ。



背中にまわって観ます。

条帛が綺麗に重ねられています。
「裙」を腰で折り返している様子が表現されています。



臀部の下に捲かれているのが「腰布」(こしぬの)もしくは「覆裙」(ふくん)ですよ。

不動明王が活動的に動いた時、「裙」がずり落ちないようにしているのだと云います。

単純な描写に見えますが、着衣の様子は細やかに表現されていますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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