美術刀特注 薩摩柄 黒・赤微塵切返黒散鞘

此方は「武装商店」様で特注をお願いした、長い薩摩柄に黒・赤微塵(赤ラメ)を切返しとし、赤微塵部分に黒散らしを施した一振りです。

 

4/27紹介の「拵短刀/Rose et Noir(仮)」に感化された切返鞘」はショッキングピンク・ラメに黒散らしを重ねたものでしたが、此方は赤微塵に黒散らしをのせたもので、赤微塵・黒散らしの方がかなり前に特注でできあがっていました。似てはいるものの、比較してみると相違点が幾つもあります。それでは、各部位について観ていきましょう。

柄頭は薩摩柄専用の丸型、黒一択となります。
そのため、全体の調和を重視するのであれば鍔・鐺金具も黒色にせざるを得ません。

 

薩摩柄を選択すると、目貫の装着はありません。
もし目貫が必要とお考えであれば、お好みの目貫を用意して、自分で組み込むしかありません。勿論、柄糸を外して新たに巻き直すという工程を踏まねばなりませんが。
柄下地は黒合皮もしくは茶合皮のどちらかを選択します。
この特注では茶合皮を採用しました。鞘の赤微塵との調和を考えてのことです。
茶合皮といっても柄糸(柄合皮)との組み合わせによっては赤っぽく、厳密に言えば〝暗朱色〟に見えます。

 

柄巻は、美術刀用の黒合皮にしています。
居合刀の柄革とは異なり、美術刀用の合皮は薄目のものでが、充分滑り止めとしての機能を有しています。

鍔元から鞘尻を観た画像ですが、微塵塗りは金・銀以外だと光の当たり具合によって黒っぽく見えてしまいます。
逆説的に考えれば、黒っぽい中に光の当たり方によって微塵塗りの色がキラリと自己主張すると表現することもできます。

 

鞘尻から柄を観た画像です。
暗く見える赤微塵(赤ラメ)の上に黒散らしを掛けています。
特注を何振もお願いしているので、職人さんの〝黒の散らし方〟がどんどん繊細になっています。刷毛で塗料を塗っているというよりも、絶妙のバランスで黒色塗料を吹き付けているような印象を受けてしまいます。

 

黒呂(石目?)と赤微塵の切返し部分の拡大画像です。
斜めにマスキングして、まず赤微塵を塗り、そのまま黒散らしを施すという手順で鞘塗りが仕上げられている様です。

 

赤微塵に黒を散らした箇所の拡大画像です。
電灯の光が反射して白くなってしまいましたが、光が当たっている・当たっていないところの見た目の色合いがここまで異なります。

 

切返しが始まる箇所から鞘尻の方向を観た画像です。
微塵(ラメ)塗りにすると、見る角度・光の当たり具合等によって〝鞘の表情〟が多様に変化を魅せてくれます。だから、鞘の微塵塗りは止められなくなってしまうのです。

 

鞘を払った抜き身の状態です。
刃文は、「箱乱れ」が登場するまで美術刀で好んで用いていた「互の目」です。

 

鍔元から切先を観た画像です。
そもそも薩摩柄は通常美術刀の柄よりも太く長いものです。
いつもは太くて長い柄に大きめの鍔(例えば大車輪鍔)を装着してもらうのですが、この特注では敢えての小振りな鍔を選んでみました。
あまり意識していなかったのですが、ショッキングピンク・ラメも薩摩柄に小振りの木瓜桜図鍔を合わせていました。柄下地の色が違うので〝同じ物〟ではありません。

 

小振りな木瓜桜図の鍔を拡大してみました。
美術刀の鍔としては喰出鍔の次に小振りなのではないでしょうか(勝手な推測です)。
ゴッツい薩摩柄に〝敢えて小振りの鍔を装着〟させることで薩摩柄が際立つという効果を狙ったのです。

 

 

 

 

上段が今回紹介の赤微塵+黒散らし、下段がショッキングピンク・ラメ+黒散らし。共に切返鞘です。
一般の方々には〝同じ〟に見えるのでしょうが、「赤」と「ショッキングピンク」は別物なのです。

 

色味の相違を顕著にするため、上下を変えてみました。
この画像だと、「ショッキングピンク」と「赤」が別物であることに共感していただけるのではないでしょうか?

 

赤微塵(ラメ)塗りは、特注で何振かお願いしていますが、その特注時によって赤ラメの色合いに「個性」(違い)を見て取ることができます。それに黒散らしをかければ、同じ赤ラメでも完全なる別物に見えます。今回の赤ラメとは別の一振が発見されたら比較考察をしますね。

 

 

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