亀ヶ岡型「遮光器土偶」(陸奥国)

此方は、青森県つがる市木造に所在する「縄文住居展示資料館カルコ」様で購入したレプリカ「遮光器土偶」です。
〝カルコ〟は亀ヶ岡考古資料館の名称を英語訳した際の「KAmegaoka aRcaeology‐COllections」のうち、赤文字で表現したところを繋ぎ合わせたのだそうです。

 

立地的に公共交通機関では時間の制約等が生じるので、自家用車で向かうことをお勧めします。
「縄文住居展示資料館カルコ」様の入口・受付で入館手続を済ませ、展示を観させていただきました。
館内に原寸大の再現・竪穴住居があり、内部には当時の人びとの生活を垣間見ることができる展示となっていました。また1887(明治20)年に亀ヶ岡遺跡から出土した国指定重要文化財「遮光器土偶」の精巧な複製品が展示されていました。因みに本物は上野・東京国立博物館に展示されています。2階に上がると、亀ヶ岡遺跡を中心に青森県内遺跡で発見された出土遺物の展示が充実していました。入館料(一般)は200円ということと施設規模を踏まえれば、とても努力をされていると感じます。
ミュージアムショップはありませんでしたが、受付窓口の対面に遮光器土偶レプリカが大・中・小の3種類が並んでいました。「大」を購入したかったのですが、旅の始まりで立ち寄ったものでしたから、その後のことを考慮して「中」を購入しました。次回訪れた際は「大」を購入したいと考えております。

 

遮光器土偶を回転させ、その全体像をご覧いただきます。
亀ヶ岡遺跡出土「遮光器土偶」をイメージしていますが、詳細までの再現はなされていません。全体の各パーツのバランスが良くとれていて、本物によく〝似ている〟造形です。

 

頭部・顔面を拡大した画像です。
この表情から、縄文時代の日本列島に飛来した宇宙人だのという妄説が流布していますが、決してそうではありません。
日本人初の人類学者で考古者の故・坪井正五郎氏が留学中に英国ロンドンのBritish Museumにて極寒の雪深い地域の人びとが使用する〝雪中遮光器〟を発見しました。坪井氏は最初、これをシベリアの人びとが防寒具としていた覆面と解釈されたそうですが、British Museum収蔵資料を調べられてシベリアのエスキモーが雪中狩猟の際に着用するサングラスであると考え方を変えられたといいます。
こうして太陽光の照り返しを遮り、紫外線から目を保護するこの道具の呼び名が「遮光器」となったとのことです。

土偶の造形(特に顔面)について、従前は〝遮光器を装着した姿〟という解釈がなされていましたが、最近では〝目を誇張表現した姿〟と考えられているそうです。

 

判りづらいのですが、乳房・大きい臀部・太ももといった身体的特徴から女性を象っているのだとされています。遮光器土偶の造形と、イヌイットの民族衣装や入墨のデザインが極めて共通点があることも指摘されています。

身体の胴体部には各種の文様が施されており、各部や窪み等に朱色顔料の痕跡が確認されているものも多いそうです。
大型の遮光器土偶は成形・焼入の際にヒビ割れを防止するため内部を空洞とする工夫がなされているとのことです。

 

左脚が欠損した状態で発見されたことを再現するため、左脚は無い状態となっています。

土偶は、出土時に完全体で発見されることは極めて稀です。
多くの場合は、片方の腕・脚、頭などの身体の一部が損なわれた状態で発見されています。
身体の一部を切断した状態のものもあり、切断部分を天然アスファルト(天然の接着剤)で接着し、いわば修理をして繰り返し使用したと推測されるものもあるそうです。
〝女性の身体〟を象ったことについては多産豊穣のまじないで使用したとする説が一派的です。
また、〝身体の部分欠損〟については、病気や負傷の治癒祈願(まじない)のために使用したと考えられています。
こうした推論は、人類学者による原始以来の生活様式を継続する少数民族との交流・調査データを基にして考えられたものです。

 

 

 

青森県つがる市のJR五能線・木造駅の駅舎には遮光器土偶の造形が備え付けられています。自動車で通過する際、ついつい余所見をしてしまいたくなる〝運転手にとってのキラー・スポット〟です。

1988(昭和63)~1989(平成元)年における竹下登内閣の「ふるさと創生事業」でなされた駅改築で、亀ヶ岡遺跡の宣伝と木造町の象徴である土偶を象った〝町のシンボル〟が制作されたのだそうです。
土偶は電車の到着時に〝目を点滅〟させるそうです。

 

 

 

 

 

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