「稲荷山古墳出土鉄剣」を模した真鍮剣(武蔵国)

かなり以前のことです(2009~2010年頃かと・・・)。武装商店様で法具型武器の独鈷剣を購入した後、暫くしてから「剣身だけ」の購入は可能かと問い合わせたところ、可能でしたので真鍮製・剣身を入手しました。
この剣身は紙に包まれて、そのまま保管をして数年が経過していました。

以前の模造刀業界はいろいろと融通が利いていたのですが、年月が経つと業界内での状況に変化が生じ、前にお願いしたような事ができなくなってしまいました。残念なことです。

さて、真鍮製・剣身は入手しましたが、拵えがある訳でもないので刀掛けにのせていても〝何か物足りない〟と思って見ていました。

ある日曜日、早起きをしたら急に博物館に行きたくなり、しかしながら昼までには帰宅したかったので、ちょっと考え行田市の「さきたま史跡の博物館」に行くことにしました。軽い気持ちで古墳を上り下りしたながら散歩し、その後「さきたま史跡の博物館」に入館して頭だけの武人埴輪に逢い、更に稲荷山古墳出土鉄剣(国宝「金錯銘鉄剣」)をガラス越しに愛でてきました。帰り際にミュージアム・ショップに立ち寄ると、目に入ってきたのが〝金錯銘鉄剣ペーパークラフト〟でした。

商品名「金錯銘鉄剣ペーパークラフト」
こちらは、国宝「金錯銘鉄剣」の原寸大ペーパーモデルで、銘文を解説した紙製の台が付属しているものです。1つ300円なので、極めてお手頃です。

決して非難しているのではありませんが、せっかく国宝の稲荷山古墳出土鉄剣を有しているのですから、それらをもとにしたミュージアム・グッズをもっと開発・販売していただきたいものです。

道路を挟んで反対側の「はにわ処さかもと」様が、バラエティに富んだ商品を販売していた頃は、そちらに立ち寄りいろいろと購入することが楽しいイベントでしたが、2012(平成24)年7月の店舗火災により同所での営業再開は断念され、現在ではHPでの通信販売を行われております。

 

話を戻しまして、「金錯銘鉄剣ペーパークラフト」を購入しました。
鉄剣の表裏・原寸大写真を購入したいと思っていたのですが、その時は販売していませんでしたので。かなり前に板に写真を貼り付けて〝稲荷山古墳出土木剣〟を作って遊んだことを思い出し、また作ろうと思ったのにできませんでした。
帰宅してからペーパークラフトを袋から出してみると、鏨(たがね)の入り方が判るように文字が印刷されていました。こんな感じです。

・・・こっ、これだぁっ・・・

 

 

・・・ということで、入手していた真鍮製・剣身をこんな風に改造してみました。

 

ちょっと剣身の表面を拡大してみました。お判りでしょうか?

 

反射等で切先から中央部までは見えませんが、手前になると文字が見えていますね。

では、切先から。

 

 

 

 

稲荷山古墳出土鉄剣の表側には
「辛亥年七月中記乎獲居臣上祖名意富比垝其児多加利足尼其児名弖已加利獲居其児名多加披次獲居其児名多沙鬼獲居其児名半弖比」
の57文字が金象嵌(きんぞうがん)されています。
それを真似てみました。

 

ここからは剣身の裏の様子です。

 

 

 

 

 

 

 

稲荷山古墳出土鉄剣の裏側には
「其児名加差披余其児名乎獲居臣世々為杖刀人首奉事来至今獲加多支鹵大王寺在斯鬼宮時吾左治天下令作此百練利刀記吾奉事根原也」
の58文字が金象嵌されています。

 

ご覧いただいた画像の剣ができるまでの過程を、ご説明申し上げましょう。

真鍮製の剣には鍍金(メッキ)がかけられ、刃文も入れられています。
素人がここに鏨(たがね)をいれるというのは無謀です・・・。
また、鍍金に深い傷をつけると、そこから腐蝕が始まっていくということも聞いていました。
ですから思案し、彫りを入れるのは断念・・・。
代わりに油性の金色ペンで文字をのせることにしました。
失敗したら「Mr.カラーうすめ液」で拭き取ってしまえば良い、と思って。

いよいよ、作業開始。
剣身の横に、ペーパークラフトを並べて文字をのせていくのですが、剣身とペーパークラフトのサイズが合わない・・・。真鍮製の剣が、原寸大のペーパークラフトよりも長いという問題が発覚。

致し方ないので、フィーリングで文字を拡大してバランス調整をすることにしました。

ペーパークラフトの文字再現が、ちょうど鏨の入れ方がわかるようになっていたので、彫っていった順序を推測しながら金色のインクを剣身にのせていきました。

ペーパークラフトの剣身の真ん中が山折りできるようになっていました。
真鍮製・剣身も真ん中に鎬のラインがありますので、それを参考にしながら、文字の位置とバランスを調整します。

片面1時間ほど、両面で2時間超かかってしまいました。
表面の鎺付近にかかる数文字の大きさと間隔が不調で、一度消して書き直しをしました。
〝文字を消して修整〟は3度ほどで済み、無事、表裏に文字を描き切ることができました。

離れて見ると、ペンのインクをのせただけとは感づかれないくらいにはなりました。

 

両面に文字をのせ終えてから、暫くそのままにしていました・・・が、せっかくなので柄を装着してしまおうということで、鎺を装着して柄を造っていただきました。2010(平成22)~2013(平成25)年頃のことだったと思います、多分。

 

古墳時代っぽさを表現しながら安価になるよう、籐巻に黒呂塗を施していただきました。縁金具や鎺もこの剣のための新造です。
目釘は銀色の物を、やはりこの剣のために新造していただきました。

 

目釘は飾り気の無い丸型の物で、この画像の様に出っ張っています。
柄を握ることは無いので、特に邪魔に感じることはありません。

 

 

モデルが古墳時代の鉄剣なのですが、縁金具と合わせて柄頭は単純な形のものにしていただきました。
古墳時代の剣を再現することがメインではなかったので、また、いつもの様に〝デザインはお任せします〟で柄等の装着を依頼したので、格好良く素敵な仕上がりになったと感じています。

本物よりも大きめ・長めの、金象嵌風の剣ができあがりました。
この改造は〝遊び〟としては、充分に楽しむことができました。

 

6/19紹介の独鈷剣と並べてみました。
剣身は同じですが、柄の形状で別物に見えてしまいますね。
因みに「稲荷山古墳出土鉄剣」を模した真鍮剣の柄は、居合刀の柄と同様に作成されていますので、しっかりと固定されておりカタカタと音がすることはありません。

 

稲荷山古墳出土鉄剣レプリカは存在していたらしいのですが、写真でしか見たことがありません。入手するのも困難と思われます。ですから、忠実なレプリカではありませんが、似たような物を作ってみました。
「武装商店」様にはいろいろと手間の掛かるお願いを承けていただきましたが、これは融通の利いた頃のお話なので、現在はこうした特注改造は不可能でしょう。古き良き日の思い出話でした。

 

 

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