2021.8.18 東京国立博物館の常設展で展示「刀剣」たちと遊んできました。

2021.8.18 東京国立博物館の常設展で展示「刀剣」たちと遊んできました。

本物の聖林寺十一面観音をじっくりと鑑賞するため、早起きして行ってきましたよ。東京国立博物館(トウハク)へ。
涼しいうちに、ということで開場時間からの予約を入れて向かいました。世間の方々は「暑い」と言われていますが、風の流れがあるので心地良かったですよ。

んーっ、いい天気でした。

・・・イヤイヤ、折角平日の開場時間を狙ってきているのに入口付近に列ができていました。「この列は聖徳太子を目当てに来た人びとだ」と言い聞かせ、列に並びましたが、直ぐにゲートを通過できました。

 

はいトーハクくんとユリノキちゃん、久し振り。
お互いにマスクを着用している状態での再会を果たしました。
・・・話は脱線しますが、往来の過程で感じたのは「マスクを着用しない人」「マスクを着用しても咳をしている人」「ずーっと喋っている人」の多いこと。これでは感染拡大となりますわな。

今回は、常設展に居た刀剣たちのお話にしますね。

まずは、

南北朝時代の「長船長義」(おさふねながよし)。刃部が下に向けられていますから太刀ですな。

どんどん、見て行きますね。

鎌倉~南北朝時代の「相州貞宗」(そうしゅうさだむね)。国宝に指定され、名物〝亀甲貞宗〟(きっこうさだむね)と呼ばれています。刃部を上に向けているので打刀ですね。

 

室町時代の「長船宗光」(おさふねむねみつ)。脇指でござる。

 

室町時代の「金房政長」(かなぼうまさなが)。
金房派(かなぼうは)は大和国の刀鍛冶集団です。
太刀なので刀身の差し表に「大織冠神寳」(たいしょくかんじんぽう)と彫りが入っています。
「大織冠」とは中臣鎌足(なかとみのかまたり/ふじわらのかまたり)のことで、大和国談山神社(だんざんじんじゃ)に長く伝来していたということです。

 

江戸時代の「山城大掾国包」(やましろだいじょうくにかね)。

 

江戸時代の「大慶直胤」(たいけいなおたね)。脇指でござる。
梵字と倶利伽羅龍が彫り込まれています。

 

ちょいと脱線して、

安土・桃山時代の「金家」(かねいえ)による野晒図鐔(のざらしずつば)。
居合刀・圧し切り長谷部の特注で、本歌(ほんか:本物のこと)の裏側のデザインが当時判らなかったため、武装商店・店主様のご提案にて野晒図にしたという経緯がありますので思い入れがあり、今回の〝再会〟(これまでに何度も観ているので)は、嬉しい限りです。

 

鎌倉時代の「畠田光守」(はただみつもり)。重要美術品の脇指でござる。
畠田派(はただは)は備前国(現在の岡山県)を拠点とする刀鍛冶の一派です。
因みに「重要美術品」とは、重要価値を有すと認定された準国宝級の文化財を指しており、文化財保護法によって認定・名称は廃されてしまいましたが、輸出・移出の際には関係大臣の許可が必要とされています。

 

鎌倉時代の「大和千手院」(やまとせんじゅいん)。重要美術品です。
千手院派(せんじゅいんは)は、大和五派のうち最古の流派で、大和国東大寺の千手院に属した刀工集団です。

 

鎌倉時代の「二字国俊」(にじくにとし)。

 

鎌倉時代の「粟田口国吉」(あわたぐちくによし)。重要文化財に指定されています。

 

鎌倉時代の「古青江康次」(こあおえやすつぐ)。重要文化財に指定されています。

 

平安時代の「古備前正恒」(こびぜんまさつね)。

 

鎌倉時代の「福岡一文字吉房」(ふくおかいちもんじよしふさ)。国宝に指定されています。

 

鎌倉時代の「綾小路定利」(あやのこうじさだとし)。重要文化財に指定されています。

 

鎌倉時代の「来国光」(らいくにみつ)。国宝に指定されています。

 

展示場所が変わりまして、

室町時代の「溜塗打刀」(ためぬりのうちがたな)。
「明智拵」(あけちごしらえ)の通称が有名ですね。
こちらも居合刀の特注をお願いしたことにより、思い入れのある一振りです。

 

萌葱色(黄緑色)と推測される柄糸の天正巻です。
柄頭が大きく張っているのも特徴ですね。柄頭近辺に鮫皮の親粒が見えています。
鐔は居合刀にも採用されている「瓢箪透かし」のデザイン(こちらが元です)です。

 

返角(かえしづの)の近辺に複数の圧迫痕(あっぱくこん)が見えますね。
実戦的に用いられたことが推測されます。

 

鞘尻に注目すると通常の木製鐺は当てられていますが、鐺金具は無い様です。
鞘の木地を覆っている漆塗りの膜が剥がれているのでしょうか、損傷している様に見えます。
こんなん観ていると、また特注をお願いしたくなってしまいます。

 

明智拵の隣に居たのが、

安土桃山時代~江戸時代にかけての制作と考えられている「青漆銀流水文半太刀大小拵」(せいしつぎんりゅうすいもんはんだちのだいしょうこしらえ)でした。

 

鎌倉時代の「長船景光」(おさふねかげみつ)。重要文化財に指定されている薙刀(なぎなた)でございます。
薙刀の遺品は現存しにくい文化財(武器)です。
歴史上の人物たちが〝自分の体型〟に合わせて「磨上」(すりあげ)というとんでもないことをしてしまうからです。
太刀・打刀ならまだしも、脇指にする様な族(やから)は許し難いです。

そこそこ駆け足で観てまわりました。
それでもたくさんの刀剣たちと遊べて、とても楽しかったです。
「撮影禁止」の表示がなされている刀剣は、当然ですが撮影さえもしていません。当たり前ですが常識的なマナーは堅守する方針ですので、今回掲載した刀剣たちは撮影O.K.となっているものばかりです。
学芸員の方々の監視がありますが、アノ展示状況ですと撮影禁止対象の刀剣でも撮ろうと思えば撮れてしまいます。鑑賞者の良識・良心に委ねられているところが大きいことも自覚・認識しましょうね。

東京国立博物館の常設展で、刀剣は定期的に入れ替えがなされます。
東京国立博物館公式HPを参照されると現在展示されている刀剣は勿論、次回の入れ替えが何時で「何が展示されるか」が判りますので、楽しみ方の幅・深さが広まります。