月光菩薩(リアル仏像 大和国薬師寺モデル 廃盤)

「日光菩薩」に続き、ポリストーン製のリアル仏像版「月光菩薩」の観察をしていきますよ。

台座の裏側には「仏像ワールド」時代の「リアル仏像 月光菩薩」の白文字が印刷されています。
こりゃぁ、レアですぞ(笑)。

「株式会社MORITA」様本社へ何時迎えにいったのか・・・具体的なことはもう失念してしまいましたよ。
それはね、まぁいいぢゃないですか。



リアル仏像版「月光菩薩」の全体像は、この様になっています。

「日光菩薩」と対称的な体勢ですが、厳密に左右対称ではありません。
並べると、双子ですよ。

全身〝真っ黒〟っていうのではないのが、判りますね。



260度。まわします。

「日光菩薩」の記事でも触れましたが、リアル仏像版「日光菩薩・月光菩薩」は光背の無い仕様でした。
黄金の光背が無いことで、〝真っ黒ではない〟身体の様子がよく判ります。



これから各パーツ毎に注目していきますが「日光菩薩」と双子なので、図柄は左右対称ではありますが、ほぼ同じです。

頭頂部に盛り上がっているのが「宝髻」(ほうけい)と呼ばれる頭髪の結い方です。

「宝髻」の先端が茶色っぽくなっているのは、薬師寺金堂が焼失した時に熱に当たったための変色を表現しています。

頭部には「宝冠」が乗せられています。
正面、左右にそれぞれ装飾板が立てられています。
なかなか繊細な彫りが施されていますね。



この宝冠の装飾、「三面頭飾」(さんめんとうしょく)と呼ばれているのだそうです。

正面と左右で、飾りの形状は異なりますが意匠は共通していますね。
花の装飾だそうです。
造像当初は、宝石(ガラス玉)が嵌め込まれていたそうですよ。
造像当初は、全て金色だったそうです。
さぞや華麗な姿だったことでしょう。



「月光菩薩」のお顔、正面から観ています。

薄らと瞳が描かれています。

もともとは金色だったのですが1528(享禄元)年、柳本賢治と筒井順興の軍事衝突による「享禄の兵火」で猛烈な熱に当てられてしまいました。
像の素材・青銅と鍍金が溶けて混じってしまい、更に煤(すす)が付着したり、金堂焼失後のおよそ70年間の雨曝し、仮堂での安置という状況で単一の黒色ではなく茶色や赤味みがかったりする色合いになっていったのだといいます。
身体の彩色が茶色・赤味のある状態の背景は、そうした日光菩薩・月光菩薩が経験した苦難を物語っています。



頭部を左・右から観ています。

顔の高さと同じ、耳の長さ(笑)。
耳朶環状(じだかんじょうという、耳朶(みみたぶ)に孔(あな)が開いています。
ピアスを着けていた王族・貴族の名残です。

宝冠・左右の装飾のあたり、髪の毛が大きく張り出しています。
この部分は「鬢」(びん)と呼ばれます。

お顔は、案外平坦ですね。



左右の横から、臂釧(ひせん)の様子を観ています。

この「臂釧」は後に追加したものではなく、菩薩の身体と一緒に鋳造されたのだそうです。
つまり、ひとつの鋳型で〝金属製の腕輪〟をここまで精密に彫り込んでいたことになります。
そして、本物の「臂釧」には「槌目」(つちめ)が打たれており、立体感を強調しているのだそうですよ。
白鳳期の卓越した鋳造・造像技術をうかがい知ることができますね。



胸元を注目しています。

胸元に見える装飾が「瓔珞」(ようらく)です。
本物だと、この胸元の「瓔珞」だけ別に鋳造され、菩薩がアクセサリーを着けている自然な立体感が演出されているのだそうです。
造像当初は瑠璃(るり)などの宝石が嵌め込まれていたことが判っています。
残念ながら、現在はそれらの宝石は欠損していますがね。



ちょいと視点を下ろします。

「日光菩薩」にも共通することですが、「月光菩薩」も金銅像であるにも関わらず胸から腹にかけて質感が実に見事です。
リアル仏像版「日光菩薩・月光菩薩」も本物準拠ですから、この身体の写実的な表現が見事に再現されています。
因みに身体を捻ったことで生じる、脇腹に横に入るラインは日光・月光菩薩で微妙な違いがありますよ。



「月光菩薩」は、右手を下ろして「与願印」(よがんいん)を結んでいます。

手首に「天衣」(てんね)が掛かっていますね。
指の間には「縵網相」(まんもうそう)が見えるはずなのですが・・・判りませんね。
「施無畏印」を結んだ左手でも「縵網相」は判り辛いですね。



今一度、「瓔珞」(ようらく)を観察します。

胸元の「瓔珞」とは別の、左肩から垂れている鎖は「佩飾」(はいしょく)と呼ばれる「瓔珞」の一部です。
胸から脇腹に垂れている太い「佩飾」は健在ですが、細い「佩飾」は左肩で途切れています。
これは勿論、1528(享禄元)年の「享禄の兵火」による損傷を表現しているものです。

肩から腕にかけて「天衣」が複雑な動きを見せながらなびいています。
立体感と躍動感を主張していますね。



反対側(右肩側)から観察してみます。

右肩のは、細い「佩飾」(はいしょく)だけが表現されています。
途中で途切れてしまっていますがね。
「享禄の兵火」による損傷を物語っていますよ。
右肩の「佩飾」が、左肩のものより若干長く残っていますね。

右肩にも「天衣」が掛けられています。



「「佩飾」(はいしょく)の様子を追跡しましょう。

太い「佩飾」は、左肩から臍の下を通って右腰へと流れています。
この「佩飾」は太かったから?それとも2本が固まって?残ったのでしょうかね。

胸から腹にかけて肉身部分、単なる黒/茶色のベタ塗りではありませんね。
薬師寺金堂の炎上時、激しい高熱を浴びたことで表面の鍍金と像の素材・銅が融合してしまい、更に付着した煤(すす)や長年にわたる酸化の結果、複雑な色合いになったことを彩色で表現されています。
今度、大和国薬師寺金堂を参詣した際に改めて確認してみますが、本物でこの色合いを目視するのは困難ですよね。

量肩から下腹部まで垂れている「天衣」も金属製(これはポリストーン製)とは思えない〝柔らかさ〟が見事に表現されています。



下半身に巻き付けているスカート状の「裳」(も)の様子を観察します。

臍の下、「裳」が折り返されています。
「裳」を、結んだ「腰紐」(こしひも)に被せて、薄い布(天衣)の立体感を表現しています。

撓わな腹部、身に着けた「天衣」・「裳」・「佩飾」が調和のとれた曲線を構成しています。
この〝曲線の主張(強調)〟が醸し出す着衣の質感も白鳳仏の特徴ですね。

左手の「施無畏印」、中指と薬指の間に「縵網相」(まんもうそう)がありませんね。



下半身の「裳」を着用している様子です。

決して複雑な技術を用いている訳ではなく、単純な襞(ひだ)の繰り返しですが〝物足りなさ〟を感じることは無く、また襞が多過ぎてゴチャゴチャした感がある訳でも無い絶妙な表現です。

この画像で観ると、外側(右側)に膝を突き出しているのが確認できますね。



足の配置を見てしまうと直立しているかの様に感じてしまいます。

でも僅かですが〝右膝の曲がり〟が表現されているので、躍動感が表現されています。
リアル仏像版「日光菩薩・月光菩薩」でも、角度を変えて気付くくらいです。
薬師寺金堂の本物を拝観して、こうした表現が目視できるか・・・。

 

足の指、本物は〝親指が立っている〟そうですが、リアル仏像版「日光菩薩・月光菩薩」では、そういった描写はありません。
赤ん坊の如き〝ふくよかな指〟になっている印象を受けますね。

蓮の花をイメージした「蓮台座」の上に立っています。



「月光菩薩」の後ろ側にまわってみます。

単調な一緒のベタ塗りではありません。
造像時は金色の目映きお姿だったそうです。
「享禄の兵火」による戦傷が、彩色で表現されています。
本物準拠でしょうが、ディフォルメも施されているでしょう。
経年による変速、つまり長い時間の移り変わりが彩色によって表現されているのです。



後頭部を観ています。

「三面頭飾」(さんめんとうしょく)えお後ろから観ている状態ですね。
輪っかが金属製なのか、紐状なのかは判りません。
でも「宝冠」って言うくらいなので金属製でしょうな。

「宝髻」(ほうけい)の根元を縛っているのが「元結」(もとゆい)です。

「宝冠」も頭髪も、造像時は金色だったはずですが、「享禄の兵火」によって鍍金と銅が融合してしまい、さらに酸化も相俟って黒っぽい姿になってしまいました。
像の凹凸部、特に凹んでいる箇所には水分が付着して緑青(錆)が生じてしまいましたと。
ですから、この緑の注し色は緑青(ろくしょう)を表現しているのです。
錆(さび)の浮き具合も、自然さを意識されています。



斜めからですが、背中の様子です。

胸元の「瓔珞」は、ペンダント式であることが判ります。
肩の部分が一部欠損しているのは「享禄の兵火」による戦傷です。

左肩から右腰にかけて太い「佩飾」が垂れています。
〝太い〟とは言いましたが、2本の鎖がが密接したものの可能性が高いですね。

「裳」の折り返しも、折り重なっている様子が緻密に表現されています。



下半身に纏っている「裳」の様子です。

前方よりも、だいぶ襞(ひだ)の描写がスッキリとしています。
見えないからか?
余り手が込んでいませんね。
それでも布の軽やかさ、菩薩の身体の柔らかさが伝わってきます。
造像に当たった仏師たちの技術・表現力の素晴らしさが判りますね。

熱に当たって
 鍍金と動画融合/酸化して黒くなったところ
 熱によって茶色く変色したところ
 水分によって緑青(錆)の浮いたところ
が、自然な状態で調和がとれています。
「株式会社MORITA」様の木造・ポリストーン製の仏像に施された彩色技術、注目してみてください。
他には見られない〝彩色の深み〟と意味を考えると楽しいですよ(笑)。

薬師寺金堂で本物を拝観しても、こうして後ろ姿をじっくりと観察することはできませんからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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