彩色師・篁千礼氏による〝現存する姿をリアルに再現した四天王〟のうち、「持国天」を個別に観察していきますね。
このシリーズの最終個体です。
尚、掲載した画像は以前撮影したものを利用していますので、ピンボケ等は気になさらないでくださいな。
背景を黒くして、胡粉塗の「持国天」の姿をご覧いただいております。
「株式会社MORITA」様から発売されている「四天王」のうち、「広目天」と「持国天」はバランスが秀逸なのです。
360度、回ってもらいますね。
足の開きと、左右の高低差がありますからね。
造形のバランスが難しかったことでしょう。
美しい、仕上がりですよ。
東大寺戒壇院(戒壇堂)モデルの「四天王」のうち、「持国天」だけが兜を着用しています。
この「持国天」が被っている兜は、
「折耳盔」(せつじき)
「折耳兜」(せつじとう)
と呼ばれるものだそうです。
左右の「耳隠し」が外側に向かって反り返る独特の形状が、命名の由来といいます。
中国、唐代の武将が被っていた兜をモデルにしています。
日本の天平期において、この唐代の武装は最先端の流行を具現化した造像だったことが判ります。
では「持国天」の顔を観察しましょう。
四角い形で見開いている「瞋目」(しんもく)。
目力(めぢから)が強いですね。
瞳を黒く塗り、クリア彩色を注していますね。
この角度で、もうちょい下から見上げると「持国天」と目が合ってしまいます。
睨まれちゃいますよ(笑)。
口を〝への字〟に結んでいますが、怒りの表情を湛えていますね。
口を開けて方向している「増長天」が〝阿形〟であるならば、口を閉ざしている「持国天」は〝吽形〟と解釈することもできますね。
「多聞天」と「広目天」が冷徹な表情をしていますのでね。
東大寺戒壇院(戒壇堂)モデルの「四天王」は、
「多聞天」と「広目天」:冷徹な表情でセット
「増長天」と「持国天」:阿・吽形でセット
と2グループに分類することができますね。
では、「持国天」の上半身を正面から観ています。
あらっ、「多聞天」と鎧の豪華さが類似していますよ。
胸甲を重ねてはいませんがね。
紐の結び目や、各甲を締めているのが紐帯ではなく革のベルトですね。
小さい胸甲を重ねていないという点以外は、リーダー「多聞天」の鎧と酷似しています。
回り込んで、背中の様子を観てみましょう。
やはり、背中②は革簿ベルトが描写されていますね。
腰元の括れが急であるため、細身な印象が強調されています。
東大寺戒壇院(戒壇堂)モデルの「持国天」が手にしているのは
形状としては〝直刀〟なのですが、仏教の観点からは片刃であろうが諸刃であろうが「剣」と呼ぶのだそうです。
柄頭も含め、束の形状からは直刀か剣かは判別できません。
この形状だと「剣」をイメージしていますね。
東大寺戒壇院の持国天、本物の画像を確認したところ〝片刃の刀〟でした。
イイんですよ、忠実なコピーを造っているのではありませんのでね。
因みに、本物が持っている〝片刃の刀〟は後世の補作です。
獅噛(しかみ)の様子を観ていきましょう。
右肩から腕にかけての獅噛の形状です。
やはり「獅子」(ライオン)なのだそうです。
騎馬と歯が見えますよね。
右肩から腕にかけてを、横から後方にかけて観ています。
では、左肩から腕にかけての獅噛の様子を観察していきます。
前から横にかけての様子です。
横から後方に掛けての様子です。
「獅噛」は胴体を護る鎧と一体化なのでしょうか?
それとも独立しているのでしょうか?
塑像の造り方では、肩に被せているのでしょうがね。
下半身を防護する下甲の様子を観察していきます。
足を開いていますし、左膝が高くなっていますので、その動きに合わせて左右非対称となっています。
甲は重なっていますが、足の動きに応じてズレているところが、本当に鎧を着用している立体感を表現しています。
後方に回って観ています。
左膝を挙げているので、左側に〝伸びている〟様に見えます。
これだと革製の甲ではなく、布の形状変化になっていますね。
まぁ、造像時における仏師の感性の表れですからね。
ケチはつけないでおきましょう。
邪鬼の踏み方です。
そんなに踏ん張っている感じはしませんが、邪鬼の表情が苦悶で満ちています。
邪鬼の顔が見えていないと、足を載っけているぐらいにしか思えませんがね。
余りにも踏みにじられている邪鬼の表情が〝良かった〟ので
大っきい画像にしてみました。
今度は、踏みにじられている邪鬼に注目です。
ちょいと視点・角度を変えるだけで・・・あらっ、変えても邪鬼の苦しんでいる状況は変わりありませんでした。
台座に古めかしさを強調する加工が施されていますね。
溝の彫り込みは通常と変わりは無いのでしょうが、彩色を施すことで一気に1000年くらい古く見えてしまいますね。
これが〝彩色で歴史を語る〟っていう、物凄い技術なのですよ。
はい、以前撮影していた画像ですよ。
左:仏像ワールド版 篁千礼氏による胡粉塗の「持国天」
右:M-ARTS版 「持国天」
造形は同じでも、かなり雰囲気・印象が違っています。
こうした像の表情・違いにハマってしまうと財政的には苦しみますが・・・娯楽としては凄く楽しいのですよ。
購入する時は辛くても、それが長く愛でる時間の長さによって〝大きな喜び〟に変わっていきます。
〝オトナの遊び〟って、こういうことなの(笑)。
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