彩色師・篁千礼氏による〝現存する姿をリアルに再現した四天王〟のうち、「多聞天」を個別に観察していきますね。
尚、掲載した画像は以前撮影したものを利用していますので、ピンボケ等はご容赦くださいな。
さて、背景を暗くして、篁千礼氏が胡粉(ごふん)を用いて彩色された、まるで塑像(そぞう)の様な「多聞天」のお姿を楽しんで参りましょうか。
「広目天」にも360度廻ってもらい、バランスのとれた全体像をお楽しみください。
「広目天」と同様、武器を持たないにもかかわらず重圧を発散するお姿ですね。
東大寺戒壇院(戒壇堂)モデルの「多聞天」も丸顔ですが、「株式会社MORITA」様の仏像ワールド版は、小顔化というディフォルメを施して調整しています。
仕上がった表面にご注目ください。
篁千礼氏が胡粉(ごふん)を使用した彩色を担当されました。
この胡粉塗りの結果、まるで本物と同じ様な「塑像」の風合いが備わっています。
ざらついて見えるのが胡粉塗りの効果であり、これが粘土造りの「塑像」的な印象を強調しているのです。
この「多聞天」(他の3天も)、ポリストーン製なのですよ。
全く、そのような印象はありませんよね。
現在から10年ほど前、彩色師・篁千礼氏の特別彩色・限定版として発売されたものです。
もうネット上に、この篁千礼氏による「リアル彩色仕上げ」の四天王に関する情報は消えてしまいました。
受注も期間がとても短かった様に記憶しています。
限定数も10セットくらい?
当時13~15万円におさまるくらいの価格だったと記憶しています。
未だ若造だったので、軍資金調達に苦労しましたよ。
でも、その苦労を厭わずに来たため、こうして楽しく遊ぶことができています。
善哉善哉(笑)。
「多聞天」も、頭髪を「五山髻」(ござんけい)に結っていますね。
「広目天」と同様に、頭髪が段々になっていますので、嘗ては冠を装着していた可能性が大きい様です。
肌の質感生々しく、まるで活きているかの如しですね。
「河越御所」の仏像たちは皆〝活きている〟かの様ですからね。
意に介してはいませんけれど(笑)。
上半身を正面から観察しています。
「多聞天」が着用している鎧、他の三天の鎧と比較して重厚な印象を受けます。
そりゃ、そうだっ。
「多聞天」と云ったら〝四天王のリーダー〟ですからね。
胸甲も最低3枚は重ねていますしね。
右腕を高く上げていますので、全体的に細身と感じてしまいますが、紐の合わせ目に金具を用いたり、紐の結び目/合わせ目が他の三天とは異なり豪華な印象を受けます。
観察してみると、他の三天の鎧と比較して様式美まで意識されていますからね。
高く掲げた右手の掌(てのひら)には「宝塔」を乗せています。
本物の宝塔もまた、天平期の造像時の物は失われてしまい、後世の補作なのだそうです。
古写真を見ると、現存する有名な仏像も何らかの箇所が欠損しており、修理が施されているものが多いですからね。
右手には「広目天」と同様に巻物を持っています。
本物の戒壇院モデル「多聞天」が持っている巻物は、もっと長いものです。
この長さに決まったのは、破損しない様にという深謀遠慮によるものでしょう。
右肩から腕にかけての「獅噛」を観察しています。
前から横見の様子に注目しています。
右肩の後ろから、観察しています。
「増長天」の獅噛と同じく、牙・歯が表現されていますね。
左肩から腕にかけての「獅噛」の様子です。
前から横へと視点を変えて観察しています。
左の斜め後ろから後方にかけて、視点を変えながら観察しています。
やはり「多聞天」の鎧の獅噛も獅子(ライオン)なのだそうです。
龍(ドラゴン)みたいにも見えるのですがね。
イイんですよ、異論を説くつもりはありませんのでね。
上半身・背中から観ています。
他の三天(増長天・広目天・持国天)は、各甲を紐帯で結び、締めています。
「多聞天」の場合、細い紐ではなく、太い川のベルト(帯)で繋いだり、締めたりしています。
こうしたパーツの違いから〝四天王のリーダー〟という区別ができる様になっているのでしょうかね。
こうした鎧の表現、封建社会の時代・軍事を反映しているのですね。
何とも興味深いこと。
下半身を防護する甲は、この様になっています。
右腕を掲げていることで、全体像のバランスをとるために細身となっています。
胸甲は少なくとも3枚は重ねていましたが、鳩尾のところで交差しているのは革のベルトです。
下半身を防護する下甲が最低2枚は重ねられていますね。
巻き付けた合わせ目は、右足の大腿部にきています。
どういったパーツの組み合わせで中国風の鎧が構成されているのかは判りません。
鎧の下には、日本でいうところの鎧帷子(かたびら)の様な衣類を着用しているのでしょう。
この甲の重ね具合から、騎馬はできないでしょう。
まぁ、四天王ですから乗馬を必要とはしないのでしょうからね。
ズボン状の袴を履いているのでしょうが、臑甲を装着して沓へと被せていますね。
邪鬼の踏み方に、力(りき)みはありません。
ほぼ、自然体での立ち姿ですね。
一方、踏みにじられている邪鬼は、こうした表情しています。
「助げで~ぇ」って、声を絞り出しているかの様です。
もう観念していますね。
邪鬼が踏まれている様子を
回りながら観てみると、邪鬼が立ち上がるのは無理ですな。
このまま踏みつぶされてしまうのでしょうね。
以前、比較用で撮っていた画像です。
左:篁千礼氏が胡粉塗りした「リアル彩色仕上げ」の多聞天
右:M-ARTS版 多聞天
ねっ、こんなに彩色が違っていたら、欲しくなっちゃうでしょ(笑)。
2015(平成27)年段階では、篁千礼氏の彩色がなされても現在(2026年時点)と比較して〝お求め易い価格〟だったのですよ。
胡粉(ごふん)塗りって、像の古さを強調、際立たせるに適している彩色方法であることが改めて実感できましたよ。
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